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診察台 3

なんでこんな目にあっているんだろう?意味分からないよ 「何してるの?そんなところにそんな硬いもの挿れないでよっ!痛いじゃんかっ」 「痛くて怒れちゃうし涙出ちゃうね。ごめんね、あずさくん。あー、ほらほら。テレビ画面見て」 画面? あー、椅子の横のこの小っこいコレのことか?これ見てどうするんだ? 「いま、画像映しますね」 と、言われ画面に出てきたのはモノクロのなだらかな山? 何コレ… 「これがあずさくんのいわゆる女性で言うところの子宮ですね。この山のように見えるのが内膜…ママのお腹の中での赤ちゃんのベッドになる部分です。これの厚みが…」 画面上に点線があらわれると10と数字があらわれ 「10mm…と。うん。発情期真っ只中の数字ですね。ちなみに妊娠するとこの画面の中に丸い小さな点が見れるようになるんですよ」 「それって何?ぐすっ」 画像に興味の沸いたあずさは鼻をすすり画面を目で追い、その様子に樹医師は微笑み 「赤ちゃんの心臓が見えるようになるんです。それについてはまたそうなった時に詳しく教えましょうね。そして…うーんと、ここですね。見えます?いま、丸で囲んだ黒く見える部分」 「これは何?」 「いわゆる子宮の入り口で普段は直腸内容物と混ざらないようにかたーく蓋をして閉ざされている部位です。いま、黒く見えるということは蓋が開いて精子を中に迎えいれる準備ができている…ということです。じゃあ、エコーを抜きますよ」 「…んっ…ぅ…うー…やな感じ」 「ごめんね?じゃあガンの検査をしますね。発情期の今じゃないとできない検査なので頑張りましょうね」 「頑張るって…血液検査でもするの?」 「それもしますよ。風疹の抗体とか貧血の有無を診ないといけないですから」 「じゃあ今から何を…」 不安そうに樹医師の手元を追いかけて見ると長い綿棒のような物体を樹医師は掴んだ。 な、何あれ… 30cm近くあるんじゃ、、 「それじゃ、さっきの要領で楽にしていましょうね?あずさくん。ちょーっと、違和感がありますよ」 「…っ」 入ってくる感じはさっきのエコーに比べたら全然大したことない… で、でも…深いっ 深いっ、というより痛い!! 「いっ…たぁーい!やだぁー。ぐりぐりしないでーっ。やぁっっ」 エコー画像のおかげで泣きやみかけていたあずさだったが再び声をあげて泣いた 「痛い?ごめんね。今、内膜を擦っているからね。コレ、ほとんどの子が泣くんですよ。あと少しね」 「終わってー終わってーっ」 「んー…蒼炎さん。この子、出産するの大変かもしんない。稀に見る痛がりかもですよ」 「無痛分娩は?」 「うちはソフロロジーですからね。麻酔は極力使わないんです」 「そふ?」 「ヒーリングミュージックを聴きながらリラックスした状態で臨む出産方法ですね。詳しくはご懐妊されたらパンフレットを差し上げますね。はい、おしまいです。後はフェロモンを一時的に止めるお薬をナカに挿れますよ。少し痛いけど頑張りましょう」 あずさはようやく止まった痛みに安堵するのも束の間、樹医師から放たれた言葉にひどく落胆した。

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