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ナカの診察

入ってくる指の感触が不快であずさは唇を噛んだ 「う…っぐ…や~っ」 「上手ですよ、あずさくん。少し深くに指を挿れますよ」 「んやぁっ!それっ痛いっっ」 「力を抜いて。ナカの孔を触っていきますよ」 「ひぃっっ」 「うん、昨日より開いてますね。本来ならαが欲しくて、欲しくて気が狂いそうになっている状態です」 「今は大丈夫だもんっっ」 「それは今してる点滴のおかげですよ?あずさくん。コレを止めたらあっという間に正気じゃいられなくなります」 「この診察の意味が分かんないーっ」 「イライラが止まらないですね?あずさくん。ホルモンバランスの影響でしょうけど…あんまりひどいようなら調整が必要です」 「知らないっもう終わり!!おしまいっ」 「待って待って。ヒートが終了してからの再検査だと産道としての役割が終わっているから内診じゃなく直腸診になってしまいます。ヒート中じゃない時の検査は痛いですよ?今朝のふたばを見たでしょ?」 「う…」 そうだった。痛そうだった… でも、あれ?育ってなかったけど一応妊娠してたんじゃ… 「ふたばちゃん一応妊娠していたのに内診じゃないの?」 「体がもうその時期を終えていますからね?まさに直腸診になった時よりかはいくらかマシだったでしょうけど、痛かったと思いますよ?Ωの体は複雑なんです」 「で、でもさ…本当に妊娠したらそれはどうなんの?毎月検査するんでしょ?怖いんだけど…」 「妊娠をするとホルモンバランスも変化します。ヒートが終了してもナカの孔は赤ちゃんが滑り落ちてこないように時がくるまでピタッと閉まっていますが、直腸のみの役割に戻らず直腸の産道化現象のままでいるから診察もしやすい体になるんですよ。まさにΩの神秘ですね。と、いうわけでエコー検査しましょうね」 「内診だけじゃダメ?その検査、すっごくイヤなんだけど」 「ダメ。むしろこっちがメインなんで」 樹医師は真剣な表情であずさを見つめ、エコー検査の機械の先端にゴムを被せた

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