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抑制剤OFF 2
病室に戻ると廊下でふたばが心配そうにあずさの帰りを待っていた。
「あずさちゃんっ。え…うそ…抱っこされてる…。せ、先生?ね、大丈夫?大丈夫なの?先生に抱っこされるほどの診察されたの?あずさちゃん可哀想」
ふたばは焦って樹医師に詰め寄り
「ふたば。私もそこまで鬼ではありません。内診とエコー、採血をしただけですよ。大丈夫です」
「でもっ!あずさちゃんはまだ慣れてないんだから可哀想っ」
「はいはい。ふたばは友達想いですね?明日の夜、あずさくんが帰って寂しいって泣かないでくださいよ?ふたば」
「泣かないもんっ」
「どうでしょうか?たぶん泣いちゃうと予想していますが?
まあ。明日のことは明日、考えるとして…。さ、今は2人とも夕飯を食べて寝る支度をしてくださいね。あずさくん下に降ろしますよ」
「はい」
あずさが床に降り立つと2人はそれぞれの部屋へと帰っていった
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夕飯も食べ終わりひと段落つくとあずさは睡魔に襲われ、眠りについた。
よかった…このまま寝ちゃえばヒートもたぶん大丈夫だよね?
できるだけ遅くに目が覚めるといいな
しかし、あずさの願いもむなしく日付けが変わるころ、再びヒートの波は訪れた
「んぅ…っん…あ…ぁ…っ」
苦しい…熱い…体が…ダルい…っ
アレが来た。
ここにいる限り襲われることはないから安心だけど…何回味わってもヒートは辛い…
体中の細胞がαを…龍臣さんを求めている。
なんだろう?
気のせいかもしれないけれど薬で無理矢理抑えこんでいたからか、せきとめられてしまった川が決壊するかのように欲があふれでてくる
これだけの欲を抑えこんでいたんだからそりゃ、体に影響が出てくるよね
ようやく納得。
「ふ…ぅっ…龍臣…さ…んっ」
コンコン
「あずさくん、入るよ……っと、これは…きてるね。フェロモンがすごい…」
「せんせ…っ…ヒート…きた…」
「ですね。耐えるの辛くないですか?」
「辛い…」
「お腹が痛いとか吐き気はないですか?」
「ない。えっち…したい」
「そうだね」
「ね…先生、これって面会に来ている人とかにバレない?」
「ん?それは…陣痛と闘ってる子の旦那さんのことかな?」
「うん。だって…α、だよね?」
「彼らはみんな番だから問題ないよ。あずさくんのこの香りに惹き寄せられることはないから」
「不思議…。だよね?お互いにしかフェロモンの香りを感じなくなる。またはフェロモンそのものを出さなくなるって。保健体育の授業とかで聞いたことはあったけどさ」
「Ωの神秘ですよ」
「信じらんない」
「否が応でも近いうちに分かるんじゃないんですか?あずさくんは龍臣さんの番になるんですから」
「そっか。そうだよね」
「お屋敷ではどう凌いだんですか?」
「蒼炎さんがいじってくれて…でも、龍臣さんと匂いが似ているからか少しは落ち着いたけど途中で欲しくなっちゃってここに…」
「そうでしたか…龍臣さんの香りがついたものがあれば今ここにあれば少し落ち着いたかもしれませんが…あいにく何も無いので…」
樹医師はあずさの腰をさすり、つぶやいた。
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