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制裁
青葉からあずさへ携帯電話が渡り、あずさから龍臣へ電話があった日の夜、龍臣は柊木 の部屋で向かい合って座り話をしていた。
「どうしたよ?竜胆。待たな?とは言ったが昨日の今日で」
「うちの債務者 のことなんだが…1人消息を絶った。何か手掛かりがあれば…と思ってな」
龍臣はノートパソコンを開き、債務者情報のページを柊木に見せ
「コイツがその債務者だ」
「飛んだってことか?」
「そうだ」
「保証人は?」
「あずさだ」
「あずさ?もしかしてお前のΩか?」
「ああ、そうだ。あずさに会えたのはコイツのおかげだからひとこと礼をしてやりたい。が、居どころが分からねぇ」
「詳しくは聞かないが、借金を回収にいったつもりがあずさとやらにハマって、さらってきたってわけか?で、ガキの母親にすると?」
「その通りだ。運命感じまったから仕方ない。誠哉も懐いている」
「なら早く噛め」
「言われるまでもない。がらにもなく大事にしすぎた。迎えにいき次第噛む」
「また、そいつを見せな」
「…見てどうする…」
「おまえを骨抜きにした子の顔を見物したいだけだ。いいだろう?減るもんじゃないし」
「減る」
「本当にぞっこんだな?」
「うるさい。で、心当たりは?」
「ある。こいつは俺んとこでも借りて女に返させてるようなろくでもないやつだ」
柊木は、メモに居どころを書き龍臣に手渡し
「そうか。恩に着る」
龍臣はパソコンをしまい立ち上がると柊木に頭を下げ、柊木に背中を向け歩き出し、柊木は龍臣の背に話しかけた。
「殺さない程度にな?そいつにはうちもまだ用事がある」
「分かった…」
一瞬動きを止め、龍臣は柊木に手を振り再び歩き出すと扉の外で控えていた手下にメモを渡し
「見つかった。行ってこい。ただし、ヤツにとどめはさすな。が…ヤツがとどめを懇願するほどひどく痛めつけてやれ」
「はい、若っ」
あずさをどん底に追い込んだ男の制裁をすべく、手下数名は夜の街へと駆けていった
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