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第11話:猫だもん

どうしよう? フィガロは、ナミ達と別れたあと、元来た道を辿ってボルテの家に戻って来ていた。 出てくるときに開けてあった窓から、中へ入るとフィガロは着ていた服を脱いでボルテのベットの下に隠した。革の小袋から、朝首に巻かれていた三つ編みに編まれた銀色の毛を結び直すと、また獣化した。 戻ってきた部屋は、肌寒く。暖炉を付ける訳にもいかず、フィガロはぴょんとボルテのベットへ飛び乗ると、布団の中へと潜り込んだ。 クンクンと匂いを嗅げば、少し甘い匂いがする。 すっかり慣れてしまった香りに、フィガロの喉が鳴り、久しぶりに働いた疲労感からいつの間にかぐっすりと眠っていた。 「フィー!!!!!!!!! どこ!!!?」 んー、何・・・。うるさ・・・。 「フィー!!!フィー!! え、ご飯も食べてない・・・フィー!!!」 モゾモゾと、布団から顔を出すと、台所の方でボルテが叫んでいた。 んー、ここから出たくないなぁ。 「なぁーん」 顔を出しながら、一鳴きするとボルテが寝室まで走ってくる。 「フィー!!ここに居たの!?良かった~。姿が見えないから心配したよ」 布団から出され抱き上げると、ボルテはフィガロの鼻にキスをして、ほおずりをした。 「あー、今日一日フィーと居れなくて、辛かった~。」 そのまま自分の顔に、フィガロのお腹をくっつける。 スンスン すぅーーーーーーーーーーーーーー(この間、数秒) !!!!???! 流れる様に、腹を吸われ、じたばたするフィガロを抱きかかえる。 「あー、フィーのお腹いい匂い~。・・・・ん?なんか、違う匂いもする??」 !?! じんわりと肉球に汗をかく。 「あれ?首輪も、こんな結び方したっけ?」 そう言って、また結びなおされる。ふと、見上げるとボルテの髪の毛が綺麗に整えられていた。 後ろはすっきりと刈り上げられ、前髪は前下がりに顎元にそろえられていた。 ・・・綺麗な髪だったのになぁ。 後ろを振りむたびに、ひらりと揺れる髪は、フィガロの本能を擽った。 家籠りで過ごした期間、あの揺れる髪に何度もじゃれていたので、無くなるのは残念だった。 まぁ・・・今、自分の首に巻かれてるけど。 「ふぅ・・・」 落ち着きを取り戻したのか、台所へと移動していた。 結んであった銀髪が解かれ、尻尾がくすぐったそうに揺れていた。 うず・・・。 パタパタ 左右にパタパタと揺れる、ふさふさで銀色の尻尾。 それに、揺らされる銀色の髪。 だ、駄目だ・・・。き、気になる!!!!!! うにゃ!! 「うわっ!」 フンス!と、尻尾にしがみついてハッとする。 し、しまった・・・。 しがみつかれ方も吃驚して振り向く。 「なんだ?フィーか。どうした?腹減ったか?」 尻尾にしがみついたフィーを、ルテは片手で抱き上げるとそのまま、ほおずりした。

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