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第36話:国境警備隊にて。

グリズに連れられ、職場復帰をするとシュベールとフォックス。第二隊のメンバーが、ボルテの復帰を待ち構えていた。 「ボルテ副隊長!復帰おめでとうございます!!! 「お帰りなさい!!」 「無事帰還おめでとうございます!!!」 「あ、ありがとう・・・。」 次々とかけられる言葉に、驚きつつも嬉しくお礼を言いながら、シュベール達の元へと向かう。 グリズが、隊のメンバーに訓練や巡回に行くよう檄を飛ばした。 「改めておかえり、ボルテ副隊長。やっぱ、少し窶れたか?」 「あ、ありがとうございます。」 隊長室で、お茶を飲みながらシュベールがしみじみボルテの顔をみながら、言うとフォックスも同意した。 「筋肉も落ちたんじゃないか?」 「ボルテには、当分訓練をメインでやってもらうつもりだ。」 「はい。」 「それに、お前達にも伝えたが正式に、中央から連絡がきたようだ。」 机の上に置かれた書類をグリズが目を通しながら、告げる。 「あ、あの・・・それは、私がボルク様の甥だからでしょうか?」 ボルテが、苦虫を噛み締めたような顔で、言葉を絞りだしたが、グリズはそれを否定も肯定もせず、言葉を続けた。 「・・・今回の魔獣被害者だが、残っていた半身から微量だが毒の痕跡が見つかった。」 「毒ですか?」 「ああ。他大陸でも何件か同様の事件があるらしく、お前が幻影魔獣に襲われた事で状況が動いたってとこだな。それに、今回の魔獣が、幻影魔獣ってのもな・・・」 そう言って、黙ってしまったグリズに代わり、シュベールが言葉を続けた。 「ボルテは、幻影魔獣がどうやってできるか知っているか?」 「? 魔獣は、みな自然発生じゃ無いんですか?」 その言葉に、グリズ、シュベール、フォックスは真剣な顔付きに変わる。 「・・・このことは、限られた地位にしか知らされていない事だが、お前は幻影魔獣の被害にあった当事者だからな・・・。それに・・・。」 「な、なんですか?」 グリズが重い口を開き、ボルテに幻影魔獣の発生原因を伝えると、ボルテの顔から血の気が引いていく。 ずずっとお茶を啜る音だけが、響く。 シュベールの言葉が、場の空気を変えた。 「まぁ、今すぐどうこうできる問題でも無いしな。何はともあれ、お前が無事に目覚めてくれて良かったわ。 ああ、そうだ。ラビさんのとこも、そろそろ産まれるって言ってたし、挨拶に行っておけよ〜。」 「あっ、はい!!」 って、言ってたから・・・、来てみたけど・・・。 今日、休みなのかな? 看板の出ていない兎まい亭の前で、躊躇しているとボルテの鼻が嗅ぎ覚えのある匂いを感じた。 あ、れ?この匂い。 匂いのする方へと進んでいくと、バタバタとラビと白衣を着た老いた犬獣人が走って、部屋に入っていくのが見えた。しばらくすると、部屋の中が騒がしく赤ちゃんの産声が響いていた。 赤ちゃんの声に、慌ただしくなった部屋から、黒い塊が出てくるのが見えた。 「あ・・・って、え?! フィー!!!」 黒い塊が、ゆっくりとボルテの方を見ると、驚いたのか尻尾が太くなったが、その場にうずくまって動かなくなってしまった。 「えっ!? フィー?!」 ボルテが慌てて駆け寄り抱き抱えると、ケロッと黒い毛玉の様なものをフィガロが吐き出した。 「フィー?!! だ、大丈夫??」 「・・・うにゃあ。」 「あぁ、よかった。毛が詰まっちゃったんだね。あー、そっか。お風呂入れてあげれなかったもんね。ごめんねぇ。今日は、ブラシもちゃんとしてあげるからね。」 「・・うなぁ。」 すりすりと、腕の中のフィガロにボルテが頬擦りをしながら、フィガロのお腹の部分を撫でた。 「けど、フィー。なんでここにいるの?」 「う、にゃっん。」 ボルテが、フィガロの顔を覗きこむと思わず、金色の瞳がそらされる。

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