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第38話:ついに・・・?

「おーい、フィーガ・・・どこ・・・って、ボルテか?」 顔に黒い塊を乗せていたボルテに、恐る恐るラビが声をかけると、ボルテは黒い塊を抱え直してラビと向き合った。 「・・・勝手にお邪魔して、すいません。」 「えっ・・・、ああ。 今、丁度うちのが・・・っと、そいつは・・・。」 「あ、ああ!! もしかして、うちのフィーの面倒を見てくれてたんですか?!」 ボルテの言葉に反応したフィガロは、顔をあげてラビの方を見る。 ラビを見つめる黒い塊の金色の瞳にラビも何かを感じ、思わず頷いてた。 「あー、だからかぁ。フィーから、僕以外の匂いがしたんですよね。」 一瞬だったが、ボルテの腕に力が入る。 「うにゃぁ・・・」 ボルテがフィガロの顔に頬擦りをしながら、ラビを見上げた。 オッドアイの瞳に、一瞬冷たさを覚えたラビは、即座にその場から退散しようと思ったのだった。 「あ、ああ。 お前を運んだ時に・・・な。」 「・・・そっか。ラビさん、色々とご迷惑をおかけしました。」 「い、いや・・・気にするな。それよりも、さっきうちのが出産したところでな・・・。」 「えっ!? そ、そうなんですか!!! 引き止めてしまってすいません。」 「あ、ああ。」 ラビが、ちらりとフィガロの方を見る。 「うにゃぁ。」 「ん?フィー、どうした? あ、お腹すいたのかな?」 「うなぁ。」 「そっか。ラビさん、また改めてお祝いのご挨拶に伺います!」 「あ、ああ。気にするな・・・。えっと、フィーもまたな。」 「うにゃ。」 「・・フィー? 勝手に家を抜け出したらダメだぞ。」  「う、うなぁ。」 ラビに返事をしたフィガロに、ボルテが注意をしてくる。そのまま、フィガロの鼻先にキスした。 「「!!!!」」 フィガロの尾が太くなるが、ボルテは気にせずフィガロを抱き抱えて兎まい亭を後にした。 ひょこっとボルテの肩越しに顔を出したフィガロに、ラビが手を小さく振った。   「パパ? おにぃちゃん、居た?」 「えっ・・・、あぁ。今、迎えが来て帰ったみたいだ・・・。」 「そっかぁ。 リサの妹、見てもらいたかったのになぁ。」 「そうだな。」 色々と言いたいことはあったが、生まれたばかりの自分の子の元にラビは戻って行った。 ボルテに抱き抱えられたまま、フィガロは家に戻ってきた。 家の中に入るなり、ボルテはフィガロを浴室に入れた。 ・・・ど、どうしよう。 ルテ・・、怒ってるのかな? 「フィー」 「うにゃっ!!!」 頭から、お湯をかけられびっくりし、少し飛び上がったフィガロをボルテがキャッチする。 「ご、ごめん。びっくりしたよね。けど・・・しっかり洗わないとね。」 「う、うにゃぁ・・・」 ゆるゆると、ボルテの手がフィガロの身体を撫でながら石鹸を泡立てていく。 両手、両足の隅までしっかりと洗われる。 「んー、なんだろ・・・気になるなぁ。」 ボルテは泡を流し、濡れたままのフィガロの匂いを嗅ぐ。 「はぁ・・・もういいや。一緒にお風呂入ろうか。」 「うにゃ」 隊服を脱いだボルテが、フィガロを抱き上げ湯船に入った。 「うなぁ!!」 抱き抱えられたフィガロが、ボルテの胸にしがみつく。 思わず爪を出しそうになったが、お尻から抱き抱えられフィガロは安心する。 あ、ルテの音だ。 トクントクンと聞こえる心音と、お湯の温かさにフィガロの身体から力が抜けていく。 「ん? フィー、もしかして眠いのかな?」 胸元でくったりとし始めたフィガロに、ボルテの顔が緩む。 指先で、フィガロの喉を擽れば、ゴロゴロと気持ち良さそうに喉が鳴る。 「うにゃぁ・・・ん。」 くぁっと、欠伸したフィガロの口にボルテが思わず指を入れる。 「んぁ・・・。」 反射的に吐き出そうとする、フィガロだったがボルテの指が上顎を撫でた。 「んなぁ!」 「いたっ・・・あがっ!?」 「うなぁ!!!!」 ガブっと反射的に噛まれて、フィガロの口から指を抜いたボルテの口にフィガロの前足が突っ込まれた。

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