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第41話:不穏な足音。
「フィーガ! あんたに、手紙届いてるよ!!」
「本当ですか!」
「ほら、これ・・・こないだの返事じゃないのかい?」
「本当だ!!」
「読んでみたらいい。」
「は、はい。」
手渡された手紙の封蝋を外すし、中を見るて、フィガロの顔色が変わる。
「・・・ぼ、僕・・・。すいません。今日は、もう・・・帰ります。」
「え・・・ちょ、ちょっとフィーガ!?」
「なんだ、どうした?」
ナミの様子が騒がしくなってラビが厨房から顔を出す。
「す、すみません・・・。ちょっと・・・・」
「あっ・・・おい!フィーガ、真っ青だぞ・・・!!」
ラビが慌てて引き止めようとするが、フィガロは一心不乱に外へと駆けて行っていった。
「・・・一体何があったんだ?」
「あの子宛に、手紙が届いたんだけど・・・、それみた途端に・・・」
「後で、グリズに伝えておくか・・・。」
「そうね・・・。」
届いた手紙を見て、すぐに兄弟から来たものじゃない事に気がついた。
けれど、それは家族だからわかった事で、何も知らなければ信じてしまっただろう。
ど、どうしよう!!
「うわっ!!」
「す、すいません!!! ぼ、僕急いでて・・・・!!すいません!!」
ドンと思いっきりぶつかってしまった相手も見ずに謝り、ボルテの家へと急いだ。
「うわっ・・」
後ろから、ドンっと当たって来たと思ったらその相手は、謝罪の言葉と共に風の様に走り抜けて行ってしまった。
「・・・ん? 今の匂い。」
「どーしたんだ、んなとこ突っ立て?」
「いや、今、なんか嗅ぎ覚えのある匂いがしたんだけど・・・気のせいかぁ?」
「それよりも、さっさと行くぞ。」
「ああ、そうだな。嫌なことは、さっさと終わらせよう。」
ゆらりと豹柄の尾を揺らしな先を歩き始めた相棒の後についていった。
ついた場所は、国境警備隊の詰め所だった。
門の見張りに声をかけると、すぐに中に案内される。
少しして現れたのは、この国境警備隊の第一隊副隊長だった。
「わざわざ、ご足労いただき申し訳ないな。」
「・・・そう思うなら、もっと良い歓迎をしてもらいたいですね。」
ソファーに腰掛けていた男達が不遜な態度で、答えると場の空気が一気に冷たくなった。
「・・・容疑者扱いをしても構わないんだが?」
その言葉に、一緒に座っていた男から殺気を感じる。
その手は、胸元の仕込みナイフを抜こうとしていたのだが、それを冷静隣の男が静止する。
「・・・フェイ。やめろ。 フォックスさんよ。俺らは、あんたらに呼ばれてわざわざ来てやったんだ。そこんところを、履き違えてもらっちゃ困るんだが?」
「・・・ええ、そうですね。 では、もう一杯、お茶でも入れて差し上げますよ。」
すっかりと冷めた茶を下げ、温かな湯気の出ている茶が新しく用意された。
にっこりと胡散臭い顔で、フォックスは茶を勧めた。
「・・・あんた、俺が猫獣人だからって、バカにしてんのか?」
「いいえ、そんな事はありませんけど・・・、猫舌なんですか?」
「・・・。」
フェイが少し冷ました茶を、ピンイの前に置いた。
「・・・では、報告書を拝見してさせて頂きましょうか。」
「ああ。」
フォックスは出された報告書に目を通しながら、目の前の獣人達を観察していた。
猫科獣人のピンイと自分と同じ狐獣人のフェイ。
魔獣に襲われたネズミ獣人が最後に会った人物とされていたが、実際はネズミ獣人は北の外れの酒場で、見知らぬフードの客と酒を飲んでいたのが最後だった。
だが、ピンイが猫科樹人で、ネズミ獣人の被害者と昼間、いざこざがあったのを巡回中のボルテが、止めに入っていた事が、ボルテが魔獣に襲われ眠っていた期間に噂になってしまったのだった。
『猫獣人に関わったせいで、不幸になった。』
『猫獣人の呪い』
『猫獣人は不吉』
『不幸を呼ぶ猫獣人』
そんな噂や、転移者の教えがノーザの中にも広まりかけたが、中央が先に今回の事件を公表した上、ピンイとフェイの身元も、サウザの国境警備隊が保証をしたのだった。
・・・猫科ねぇ。そういえば、ボルテのやつが、色々と漁ってたな・・・。
ゆらゆらと揺れる豹柄の尾から、報告書へ視線を戻すとこちらを伺い見ていたフェイの視線がぶつかる。
「・・・何か?」
「いや・・・。」
「はぁ・・・、お前らピリピリしすぎなんだけど。あー、そうだ! あの犬獣人呼んでよ。ここの第二服隊長だろ?」
「・・・犬・・・ですか・・・。」
フォックスの微妙な表情をする。
「・・・ボルテってやつ、ここの第二服隊長だよな?」
「・・・ええ、そうですが・・・彼は、犬ではありませんよ。」
はぁ・・・と、一つため息をつくと胸元からホイッスルを取り出し、吹いた。
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