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第53話:執着1
・・・・どうしよう。
袋を被せられたまま、横倒しになっていたフィガロはなんとか体勢を変えようと左右に揺れたが、思うように動けなかった。
うーん・・・。どうしよう。
獣化したら、動けるけど・・・、どこに連れてこられたんだろう?
袋の中で、鼻を動かすが、この部屋からは何も匂わなかった。
うーん。
どうしよう・・・。
カッツカッツ
ん、足音?
獣化しようか悩んでいたフィガロの耳に、廊下から響いてくる足音が聞こえてきた。
さっきの獣人達とは別の音を響かせ、だんだんと音が近づいてくるのが聞こえてくる。
ど、どうしよう・・・。もう、扉の前に居る・・・。
「おや・・・。随分と良い格好だな。」
「!!」
扉を開けて中に入ってきた男の声に、フィガロの全身の毛が逆立つ。
「なんだ? お前が付けた傷が気になるか?」
フィガロの顔を覗き込む様に、しゃがみ込んだ男の左目には縦一文字の傷痕が残っていた。
その傷からフィガロが目を逸らそうとした瞬間、フィガロの顔が踏みつけられる。
「!!」
「ちゃんと、見るんだ。私がこの傷を見るたび、どんな気分だったと思う?」
「そ、そんなの、僕には関係ない!!」
顔を踏まれながらも、男の顔を睨みつける。ニヤニヤとしながら、踏みつける足に圧がかけられていく。フィガロの顔が苦痛に歪むたびに、男の顔が愉悦に染る。
「っつ!!」
硬い靴底に、フィガロの顔が歪む。
柔らかな絨毯が敷かれている床も、押さえつけられる強さに顔が擦れて、ヒリヒリと痛み出してくる。踏みつけられている部分からは、血が滲んでくる。
「ああ、やっぱり君の肌には赤が映えるねぇ。」
「うあっ!!」
踵で血の滲み出している部分を抉られ、フィガロは思わず声を出してしまう。
「ああ、その声も良い。さて、君には選ばせてあげよう。」
「え、選ぶ?」
「このまま私のモノになるか・・・ならないか。」
「!!」
「・・・ああ、そうだった・・・。君の兄妹は今、サウザにいるんだったね。知っているかい?あそこの酒場に、最近、質の悪い獣人達が出入りしているらしいけど・・、君の兄妹達が被害に遭わないと良いね。」
「!! まさか、あの手紙・・・。」
ニヤリと笑みを浮かべ、先が二股に分かれた舌が男の唇を舐める。
蛇獣人の執着は、獣人の中でも最上位。
獣人の個体差があるとはいえ、蛇獣人はその中でも死しても尚、獲物に喰らいつく執念を持つ。その上、この男は大陸警備隊第一部隊隊長としての地位がある。そんな獣人に目を付けられたのが運の尽きなのかも知れない。
フィガロの背中に、嫌な汗が伝う。
ガシャガッシャと、手足を動かすが、しっかりと椅子と繋がれていた。
・・・どうしよう。獣化すれば逃げれるけど・・・。
ネロウやトネリ・・・ロマ・・。
「まぁ、良い。少し時間をやろう。オイ!こいつを、湯へ連れてけ!!」
「えっ!?」
男の声と同時に、黒い仮面を付けた4人の獣人達が入ってくると、椅子のままフィガロを担ぎ連れ出て行く。
「うわっつ!!」
担がれた拍子に、フィガロの足が1人の仮面を落とした。
その瞬間、担いでいた獣人の顔がフィガロの顔に変わる。
「えっ・・・。」
「・・・」
仮面を落とされた獣人は、フィガロを一度見たが気にする事なく先を進んでいく。
浴室に着くなり、手足に鎖を付けたまま椅子から外され、そのままフィガロの服も破り捨てられる。
「うわぁ!!!」
無言で、浴槽へ2人掛かりで入れられると、残りの2人が石鹸を泡だてフィガロの体を洗っていく。泡のついた手がフィガロの全身を撫で上げる様に隅々まで泡を滑らせていく。
「ちょっ・・・!!まっっ・・・って!!!」
尻尾の付け根から、双丘を割り指先が後孔を掠る。思わず、身体を捩って避けようとするが、フィガロを押さえ付ける力が強くなる。狼狽えているフィガロの上半身を洗っていた獣人の手に泡が足され、胸の小さな粒も執拗に擦り洗われる。その刺激に、だんだんと固く、色づいた粒を摘み指先で擦り潰される。
「!!!!!」
下半身に熱が集まっていくのを感じたフィガロの足が、それを隠すように閉じると押さえつけていた1人が後ろからフィガロの両足を割り開く。
ピョンと、勢いよく立ち上がったフィガロの陰茎を、泡を纏った手で掴まれしごき洗われる。
「やっ、やめ・・・。やっ!!」
腰を引いた瞬間、縁をゆるゆると掠められ、緩んできていた後孔に指先が入り込んだ。
前と後ろにさらに泡を足され、グチュグチュッと浴槽内に水音が響く。
フィガロの中のコリコリとした部分を、中に入った指が刺激すると同時に、勢いよくフィガロは射精した。目の前にいた、仮面のとれたフィガロの顔をした獣人にフィガロ自身の精液がかかったが、気にする様子も無く、フィガロに湯をかけ始めた。
「・・・な、なんなんだよ・・・。」
足に力が入らなくなったフィガロは、そのまま気を失った。
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