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第60話:その頃・・・
アオォーーーーーーーーーン!!!!!
爆発音と共に、遠くで聞こえた遠吠えに、ボルクの耳が反応する。
その声に応える様に、あちらこちらでも遠吠えがあがる。
ボルク自身も、その声に反応し叫びたかったが、各地で上がった遠吠えに驚きノックもせずに入ってきた獣人の存在に邪魔をされる。
「ボルク様!! これは、一体!!」
「・・・あ・・、はぁ。普段はノックをしろって煩いのに・・・。」
「あ!申し訳ありません。そ、それよりも今のって・・・。」
「遠吠えだねぇ。」
「遠吠えって・・・一体・・。」
「一体って、そんなの決まってるだろ? これから狩りにいくぞ。」
「えっ・・・!ぼ、ボルク様!?」
柔和な雰囲気から一転、ガラリと身に纏う空気が変わる。
ボルクの背後にあった窓から、黒い煙が上がっているのが見えた。
「!! 今のは・・・」
「・・・? どうかしたのかい?」
「い、いえ・・・。」
目の前を行く若い獣人の尾が急に、不安げに揺れ始める。
廊下から外を見ると、黒い煙が上がっているのが見える。
「なるほど・・・。さっさとここを、立ち去った方が良さそうですね。」
「えっ? あっ・・・。」
振り向こうとした時にはすでに遅く、後ろから喉元に噛み付かれた若い獣人は、その場に倒れる。口に入った毛を、若い獣人に向けて吐き捨て、彼の手にしていた鍵を、奪い取ると我が物顔で、屋敷の中を移動し始めた。
「はぁ・・。毛の有る獣人は、やはり好かんな・・・。」
ため息をつきながら、鍵を開けた部屋にはフィガロに似た顔をした獣人と仮面をつけた者たち。そして、その手に持たれた小さな鳥籠には黒い塊りが入れられていた。
「まさか、君が完璧な獣化ができるとは思いませんでしたよ。」
籠を持ち上げ、うっとりとその塊りを撫でようと手を近づける。
その手を、小さな前足が叩き落とそうとした。
ペシッ
スゥッと青白い男の手の甲に、赤く一筋。
「・・・精々、その中で大人しくしてるんだな。」
その言葉が合図だったのか、男のあとをフィガロに似た獣人と仮面の者たちが追従する。
ガシャンガシャン
手荒く持たれた鳥籠は振り回されることは無かったが、揺ら揺らと揺らされフィガロは気持ちが悪くなりつつあった。
ゆ、揺らさないでぇ・・・。
うっぷ・・。
フィガロが紛れた檻が運ばれたのは、大きな屋敷の地下だった。
被されていた布が外されて、フィガロは思わず息を詰めてしまう。
な、何この臭い!!
地下に籠る臭いに、フィガロに似た顔の者達は蕩け切った表情を浮かべ、自らの手で兆し初めた陰茎を刺激し始めた。
!?!! な、何!!?
狭い檻の中で、一斉に始まった光景に、目眩を覚える。
ぐちゃぐちゃと淫靡な音に、耳を塞ぐと、目に入ってくるのは同じ顔をした者同士が互いに刺激し合い、交合し始める。
ええええええええ?! ヤダヤダ・・・何これ!?
目をぎゅっと瞑って耳を塞いだフィガロに、同じ顔をした獣人が手を伸ばしてくる。
その手を避ける様に、フィガロは獣化をした。
檻から出て、獣化を解く。
「ほぉ・・・。まさか、君が紛れてるとは・・・。」
「!!!」
後から羽交締めされ、初めてその場にその男が居たことに気がつく。
慌てて、身を捩るがガッチリと抱え込まれ、身動きができない。
「ああ、また私に爪を立てて逃げるかい?」
「!!」
首筋をチロリと舐め上げられ、フィガロの肌が逆立つ。
檻の中では、フィガロの顔をした者同士が愉悦にまみれた顔で相手を替え、フィガロ自身も経験したことない様な行為を繰り広げていた。
ガシャン!!
「ッツ!」
「ほら、じっくり見るといい。」
檻に顔を突きつけられ、フィガロの目の前にフィガロに似た者達の結合部分を見せつけられる。
「君の中に、しっかりと咥え込まれる姿を。」
ゴリっと、フィガロの後孔に当てられたモノに、フィガロの尾がペショリと隠す様に股座に挟まる。目の前では、グチュグチュと音を立て、何度も出し入れ縁が捲れゴップッと白濁したモノが注がれるのと同時に、フィガロの顔にもかけられた。
呆然とするフィガロの顔を、二股の舌が舐めあげる。
「!なっ・・・ん ぅむ」
顔を逸らそうとしたが後頭部を押さえ込まれ、男の薄い唇がフィガロの唇を塞ぎ込む。
うっすらと苦味を感じながらも、逃れようと足掻くがだんだんと力が抜け、その場に崩れる。
意識を失う前に、フィガロは自分の身を守る為、獣化をしたのだった。
あー、そうだった。
僕何か飲まされたんだ・・・。って事は、この吐き気って・・・。
そう思い当たった時には、籠の隙間から顔を出して、フィガロはケロロォォと毛玉を吐いていた。一瞬、歩いていた足が止まるが、フィガロを一瞥しまた歩き始める。
吐いてスッキリしたフィガロは、ゆっくりと自分を運んでいる獣人へと視線を向けた。
・・・本当に、僕にそっくりだ・・・。
耳の先から尻尾の先まで、観察するように見る。
その隣を歩く、仮面を付けたモノたち。
あの地下で見た檻に入れられていた、自分に似た様な獣人も、彼らと同じモノだったのかな?
フィガロが籠の中で、丸くなる
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