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クロという名の少年

孤児院に来たあいつは化け物だった。 俺の住んでいた孤児院は、化け物に出荷するための子供を育てる為にあった。迎えに来るのは、親となる人ではなくて吸血鬼。俺はそれを知っていた。 たまに子供が孤児院から消える。引き取られたからではない。唐突に忽然と消える。マザーは急に両親が迎えに来たんだと告げるが、俺は見てしまった。 吸血鬼が血を吸っているところを。 たぶん、味見で食べた子供をそのまま殺してしまったんだ。いや、たぶんなんかじゃない。俺は何度もその光景を見た。ガキだった頃は怖くて怖くて息を殺してバレないように見つからないように隠れていた。でも、吸血鬼に選ばれてから思う。 なんで、俺、あの時助けなかったんだろう。 殺される前の、寸前の、家族を。 こんなに死ぬのは怖いというのに……。 黒髪の吸血鬼は、リルリエールと名乗った。女みたいな名前だと思ったけど、身長は2メートルを超えていた。俺はまだ130センチしかなくて、見上げても顎しか見えなかった。 この吸血鬼に喰われるんだろうと思った。きっと、血を吸いつくされて、枯れて死ぬんだって思った。だけど、リルリエールは俺の血を吸わなかった。馬車に乗せられて連れて来られたのは村から離れた古い屋敷だった。 「なんだよ、ここ」 「お前の住む屋敷だ」 「お前の家なのか?」 「違う。私はこんな辺鄙なところに住む趣味はない。ここは、私の弟分の屋敷だ」 「弟分? 弟じゃなくて?」 「……同じ吸血鬼に血を分けられた。私の方が先に生まれ、先に吸血鬼になった。何もかもアルクは私より下になる」 「ふーん……、そのアルクって奴が弟なのか?」 「正確には名をアルクレート・ジエルという。皆、アルクと呼んでいる」 屋敷の中は豪華絢爛ではあったが、どこか淋しい感じがした。だけど、何故か子供の声が聞こえた。 「なんで子供の声が……」 「お前のように私が連れてきた餌だ」 子供は極端に痩せているわけでも太っているわけでもなかった。皆、普通に暮らしているみたいだ。 「なんだここ……」 下手すりゃ孤児院の子供より発育がいい。 赤髪の子供が近寄ってくる。 「リルリエール様。また新しい子供ですか」 「ああ、アルクはどこだ」 「今日はバラ園にいます」 「そうか」 子供が指差す方向へ歩き出す。 俺は、心臓の音を必死に押さえつける。 平気な顔をしなきゃいけない。 血を吸われるのを我慢しなきゃ。 血を与えたら、あの子供たちみたいに生かされる。 孤児院で見たように殺されないかも。 だから、だから…… バラの花びらが飛んだ。 「あ……」 それは、とても美しいもの。 バラ園の中に立つ美しい男。 アルクレート・ジエル。 今まで孤児を迎えにきた吸血鬼の中で一番美しく妖しい吸血鬼……。 「リルリエール。また?」 「またとはなんだ、またとは……。この前、ごっそり抜けただろ。その補給だ」 「そろそろいいよ」 「何がそろそろだ。黙って食ってろ」 「はぁ……、で? この子が新しい子?」 「孤児院で拾ってきた」 「黒髪黒眼なんて、普通の子だ。最近嗜好を凝らしてたけど、また元に戻った?」 「そろそろ元の味も楽しみたいだろ」 「別に、なんでもいいよ」 アルクレート、アルクレート、アルクレート。 俺はあれに血を吸われるんだ。 「えっ……、おい!」 知らない間に走っていた。怖かったのか分からない。ただ、走っていた。あの吸血鬼はダメだ。ダメだ。吸われたくない。触れられたくない。 「どこに行くの」 目の前にアルクレートがいた。震えた。血を吸われる。あの日みたいに、あの日の孤児のように。 「吸うなよ! 俺はヴァンパイアが嫌いなんだ! お前なんかに血を吸われて溜まるか!」 吐き捨てた言葉をそれだった。 「クロは私に触れたくないのか」 「ク、クロってなんだよ! 俺の名前はっ!」 「はぁ……、別に良いよ。名前言われたところで覚えられない。ああ……、そうだ。私は別に無理矢理血を吸う気はない。抵抗するなら尚更面倒だ。リルリエールは急用で帰ったから、今度来る時に君を送り返す。その間は、アカかシロに面倒を見てもらうと良い。私は行く」 去っていくアルクレート。俺は冷や汗を掻き、足から崩れ落ちた。 うそだ、あんなの嘘だ。怖い、怖い。化け物だ。あんなの化け物だ。だって、俺、こんなにバクバク心臓いってる。あれに近づいたら最後、俺は変わっちまう。関わるべきじゃないんだ! 「君がクロ?」 突然声をかけられて顔を上げる。兎みたいな男が目の前にいた。 「なんだよ、お前。俺はクロなんかじゃ!」 「でもアルク様が言ってた。君はクロ。ここではクロ。それだけ。僕はシロ。よろしく」 「なんだよ、お前……、怖くねーの……」 「怖い? 何が?」 「あいつだよ! あの吸血鬼!」 「アルク様はとても優しいよ。とってもね」 洗脳されてんのかよ。怖くねーとかおかしい。 吸われるんだぞ、血を。死ななくても痛いだろ。 「狂ってやがる」 「ふーん……、君もそっち側なんだ」 「そっち側って?」 「ううん、こっちの話。それなら、いいよ。僕が色々教えるよ」 俺は黙ってシロについて行く。庭で遊んでいた子供もそうだが、同年代が集められているようだった。俺とシロも同い年か違っても大差ないだろう。背丈的には俺の方が年上だろうか。でも、俺、身長高い方だし当てにならないな。そういえば、吸血鬼の居場所を教えてくれた赤髪の子は群を抜いて年上だったな。と言っても2、3歳の差だろうけど。 「クロ、あそこが寝室ね。みんなで寝てるから夜はあんまり騒いだらダメだよ? トイレはこっち。キッチンはこれ。アルク様は人間のご飯は食べないから僕たちの食べるものだけ作ってる。因みにご飯は週に何回か料理人が来る。掃除とか洗い物は自分でやるって決まってるんだ」 「孤児院と一緒だな」 「孤児院がどんなシステムだったか知らないけど、たぶんそう」 シロは誰かが落としたカスをゴミ箱に捨てる。俺はなんだか複雑な気分になった。 「そうそう、アルク様を怖がるのは仕方ないからいいけど、僕のアルク様にそれなら近寄らないでね」 「な、んだよ……、それ」 「今までリルリエール様が何人も子供を連れてきたんだ。僕は1年くらい前にここにきた。みんな、突然来て突然いなくなった。なんでだと思う?」 「そ、れは……、吸血鬼に喰われたんじゃねーのかよ」 孤児院を思い出して恐る恐る尋ねた。シロは思っていた回答と違ったようで首を傾げた。 「……? アルク様はそんな無慈悲な人ではないよ。子供達は元の場所に戻されただけ。戻された子供はね、みんなアルク様に血を吸われることを嫌がった子達なんだ。だから、君も何もしなかったら、血は吸われないし元の場所に戻れるから」 「お前は、血を吸われるの嫌じゃないのか」 「僕は元の場所よりここにいた方がずっと楽しいし、アルク様のこと好きだから」 こいつやっぱり洗脳されてる。こんなところにいて楽しいはずがない。吸血鬼は怖いものなんだ。血を吸われたら最後殺されてしまうかもしれないんだ。 そうだ、俺があの吸血鬼を退治してみんなに気付かせるんだ。 俺は決意した。あの吸血鬼を殺すことを。 俺の作戦はこうだ。吸血鬼にストレスを与える。そして吸血鬼の本性を暴く。子供達にその姿を見せる。恐ろしい存在だと認識させる。そして、子供達を全員ここから避難させる。 俺はまず、吸血鬼の部屋に水を撒いた。水浸しになった部屋を片付けるのは骨が折れるだろう。無意識のうちにストレスが溜まるはず。 窓からこっそりと様子を伺った。 「……まぁ、いいか」 吸血鬼は水浸しのベッドに横になり寝た。 俺はあんぐりと口を開けた。 な、なにが、まぁいいかだ! よくないだろ! その後、アカが部屋に入ってくると頭を抱え、寝ている吸血鬼を退かしていた。 次だ次! 次は吸血鬼の服を泥だらけにした。着る服全てが泥に塗れている。吸血鬼は服を見て、うーんと唸る。流石に困るだろう。嫌だろう。ストレスだろう。 「まぁ、いいか」 服を投げ捨て、パンいちのまま眠り始めた。 その後、またしてもアカが部屋に入ってきて、服くらい着ろと説教していた。 つ、次の作戦! 強硬手段だ。あいつも血が目の前で流れたら吸いたくなるだろう。そして言ってやるのだ。 『吸血鬼なんて蚊と同じ』だって! 俺はバラの水やりをしているように見せかけて、バラの棘で血を流すんだ。 「いって!」 思った以上に痛かった。でも、目の前には吸血鬼がいる。 ほら、見ろ。血を見るなり、近寄ってきた。俺の指を手に取った。やっぱりこいつも孤児院で来ていた吸血鬼と同じ…… 「え?」 「アカ、アカはいる?」 「はい」 「クロが怪我した。手当して」 「分かりました」 俺の傷を見て、アカを呼んだ。吸おうなんて素振り一切見せないまま。 「な……んで……、なんで、なんでだよ!」 「なにが……?」 「お、俺の血、吸いたくねーのかよ。血が目の前で流れてんだぞ! 普通は無理矢理襲って吸うだろ」 「私は別に、興味がない。君が今までどんな吸血鬼を見てきたか知らないけど、たぶんその吸血鬼は始祖の血から遠く離れたただの下級吸血鬼だ。始祖の血を引く吸血鬼は、多少吸血行為をしなくとも生きられる。私はリルリエールのお節介で血には困っていない。君の血を無理矢理奪う気はさらさらない」 「なんだよ、なんなんだよ!」 俺は見たんだ。見てきたんだよ。 『お兄ちゃん! 僕ね、里親決まったんだ!』 『そうなのか! おめでとう! やったな』 『うん! ほら、あそこ! 僕、明日出て行くんだ。だから、見送ってね』 『当たり前だろ』 そう言って、あいつは吸血鬼に血を吸われて死んだ。 マザーは近くでそれを見ていた。 俺は、本当はいけないのに、一番仲良かった奴が出て行くって言うから見送ろうとして見てしまった。吸血され、そのまま死んだあいつの顔を。 それから、よく孤児院を観察するようになった。そしたら、頻繁に不自然に子供がいなくなった。 里親に出されたわけではない子供も、ある日突然いなくなった。そういう日はこぞって、前日に孤児院を見学しに大人が来ていた。 怖くて、恐ろしくて、それでも気になって、馬鹿だけど、どうせ何も出来ないけど、俺は里親に呼ばれた子供の後をこっそり追いかけた。何度も何度も、血を吸われて死んでいた。 「吸血鬼なんかみんな一緒だ。どうせ、俺達を食糧としか思ってないんだ。俺が、俺が殺してやる!」 その日の夜。寝静まった屋敷。俺はこっそりとベッドから這い出て、吸血鬼のいる部屋に入った。吸血鬼の上に跨り、夕食で使ったナイフで喉元を刺そうと振り上げた。 「私を殺すの」 「なっ……」 目があった。 どうしよう、どうしよう、どうしよう……。 殺される、失敗した、殺される! 「し、死ぬ!」 ナイフを落として、衝撃に備えた。 何も、痛みが襲って来なかった。 「なんで……」 「殺したいなら殺せばいい。そんなナイフ一本で私は死なないけど。痛みを与えたいなら、左胸に突き刺すといい」 「どうして、どうして!」 「私は君に興味がない。だから、何をしても何をされても襲わないし、殺さない。ただ、一つ。私がすることはリルリエールに君を返すことだけだ。分かったなら帰るといい。面倒だが、明日にリルリエールを呼ぼう」 俺、返されるんだ。孤児院に。孤児院に。また、また俺だけ殺されないで、みんなを助けないで、一人逃げ帰るんだ。 「……えよ、吸えよ! 俺の血! んで、殺せよ! 吸い殺してくれよ……」 「君は私と同じだね」 「は?」 「死に急いでいる。私は生かされてしまっているし、君も生かされている。復讐心もそっくりだよ。だけど、人間の命は短いんだ。私と違って死ぬ時は死ぬ。なら、精一杯生きることをオススメするよ」 「んでだよ、んでだよ、俺の血は吸わないのかよ、シロの血は吸ってたじゃん、他の奴らの血は吸ってたじゃん。俺はダメなのか、俺はなんでダメなんだよ!」 「……? 君は私に血を吸って欲しいのか?」 「ちがっ!」 「死にたいだけなら、他を当たってくれ」 どうして……、俺はただ、あいつらのために…… なのに、なんで……、俺、明日にはここを出ていかないといけないのかよ。俺、まだ何もしてないのに。みんな血を吸われてるのに、俺だけ、なんで、なんで吸ってもらえないんだよ! 「お……、れ……、おれは……」 「はぁ……、おいでクロ。大丈夫、頭を撫でるだけだ。孤児院は過酷なところだったんだね。私にはよく分からないけど、同胞がすまない。だけど、君は生きるべきだよ。死を急ぐのは早すぎる。例え、友人が殺されても、家族が殺されても、君はそれでも必死に生きるべきなんだ。もし孤児院に戻りたくないなら、別の場所を探そう。安心するといい、リルリエールは顔が広いから。きっと吸血鬼の住まうことのない場所で君を送り届けられる。明日まで我慢するんだ……」 涙が出てきた俺の頭をアルクレートは撫でてくれた。憎い相手なのに、俺を俺を……。 朝、目が覚めたら、アルクレートがいた。 びっくりして叫び出しそうになったけど、必死に口を押さえた。 長いまつ毛だな、綺麗だ。やっぱり孤児院に来た吸血鬼と比べても、いや比べられないくらい綺麗だ。 なんか、ドキドキする。どうしよう、なんかむずむずしてきた。俺、すごい、変だ。 「んっ……、クロ? おはよう」 「おは……、朝ごはん食べて来る!」 俺は走って部屋から出た。 「ねぇ、クロ、どうして今日朝いなかったの?」 シロが聞く。俺は顔を背けて、誤魔化す。 「今日でいなくなるんでしょ?」 「なんで、それ……」 「アルク様が言ってたから。さっき廊下ですれ違ってね、珍しくリルリエール様に電話してた」 昨日の話……本当に……、俺をここから出すつもりなんだ。当たり前だ、俺が、望んだから。 「……、早く出て行く準備していた方がいいと思うよ。まぁ、あまり荷物もないと思うけど」 チクチクと刺さる。 俺は、俺は、血を吸われないまま、無傷のままいなくなるんだ。 「や……、いやだ……」 「何か言った?」 「お前は吸われたことがあるんだろ」 「うん、今日も僕の当番だよ、ご飯食べに行ったら吸ってもらうんだ」 なんで……、なんで……、俺の血は吸わないくせに、こいつだけ……。俺じゃダメなのかよ。 「クロはいるか?」 「あっ、リルリエール様だ。ほら、クロ。迎えに来たみたいだよ」 「飯食ってるのか。昨日の今日だから仕方ないか。早く食って行くぞ」 リルリエールが俺を急かす。だけど、俺はゆっくり飯を食った。シロはその隙に食べ終わっていて、洗い物をしているようだった。 「おら、お前も早く飯を食って、行くぞ」 「俺、ちょっと荷物まとめてくる!」 逃げるようにそこから立ち去る。俺、いなくなるんだ。いなくならないといけないんだ。 来た時と同じ鞄を使う。服を詰め込んで、あとは別に何もない。何もない……。 「漸く出てきたか。飯はいいのか?」 「片付けなきゃ……」 分かってる。片付けたらもう、俺はさよならだ。この屋敷からも吸血鬼からも。 「あ゛!」 声が漏れた。それはアルクレートの部屋からだった。シロの首筋に牙を突き刺し、ジュルジュルと吸っている。アルクレートが血を吸う姿を見るのは初めてだった。シロの見た目も相まって、とても神秘的な儀式に見えた。 なのに、どうして、どうして……。 「あっ、おい!」 ドアを思いっきり押した。血を吸っていたアルクレートと目が合う。 「なんで、なんでだよ!」 「どうしたの?」 「なんで、俺の血は吸わないのに、シロの血は吸うんだよ! なんで、なんで俺の血は吸ってくれないんだよ! なんで、俺をここから出すんだよ! なんで、なんで! なんで、俺のことは無視するんだ」 矛盾してるって分かってた。だけど、悔しいんだ。どうして自分は吸ってもらえないんだ。どうして自分は牙を立ててもらえないんだ。どうして引き止めてくれないんだ。嫌なことしたのに、いたずらしたのに、気付いてただろ。なのになんで、怒りもしてくれないんだ。 ただ、俺は……、この美しい吸血鬼に血を吸ってもらいたかっただけなのに……。 「アルク様……?」 「シロ、ごめんけど、今日はこの辺に」 「でも、僕の番」 「明日、またね……?」 「……分かりました」 シロは乱れた服を元に戻して俺の横を通り過ぎた。俺は怖くて、下を向く。 「クロ、おいで」 恥ずかしくて仕方ない。けど、足が前に進む。 「俺、変だ」 「うん、そうだね」 「吸血鬼、怖いのに、吸って欲しいんだ。アルクレートに吸って欲しいんだよ」 「……、そう」 「出て行きたくない。ここにいたい。謝るから、悪戯沢山したの謝るから、いさせて欲しい。血を吸って欲しい」 アルクレートは俺の頭を撫でる。俺もアルクレートの胸に顔を埋める。 「そういうことで、リルリエール。ごめん、やっぱりなしで」 「おい、俺は使いっ走りじゃねーんだぞ」 「分かった。分かった。今度、埋め合わせをするよ。リルリエール、分かってくれるだろ? 嫌がる子供を無理に行かせる方がひどい奴ってもんだ。私も君も置いていかれた身なんだから……」 リルリエールはため息をついて部屋を出て行く。俺は顔を上げてアルクレートの顔を見た。 「アルクレート……、俺の血を吸うのいや?」 「クロ、服をずらせる?」 「うん」 シロがしていたみたいに、首元を露出した。 「痛いよ」 「うん」 チクリと刺す痛み。 「あっぐ!」 「力を入れないで。大丈夫」 血が吸い取られる。なんだこれ、痛い。痛いのに……。気持ちいい……。 「アルクレート、俺、おかしい?気持ちいいんだ」 「吸血行為には催淫作用が含まれてるから。みんな同じだよ。だからあまり吸ってあげられない。癖になったらよくないから」 アルクレートは俺達のことを考えてくれてるんだ。なんだ、やっぱり、アルクレートは違うんだ。孤児院に来てた吸血鬼と、いや、あそこにいた大人達全員とも違う。純粋に俺達のことを考えてくれてる。 「アルクレート、アルクレート、俺、アルクレートが好きだ。ずっと一緒にいて」 「……、初めての吸血だったからね、少しお眠り」 「うん」 俺はアルクレートに抱かれて眠った。

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