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第10話

「光司さん、てずっとビールなんですねぇ。ビール好きなんですかぁ?」 酒で赤らんだ顔で光がコウを見上げる。 背丈も違う為に、座高の差があり、なんとなく上目遣いのようになる。 コウも飲みすぎたのか、顔が赤い。 「あー、そろそろ変えよっかな」 「メニュー見ます?」 光がメニューを渡し、コウの顔にくっつきそうな距離感で互いにメニューを見ている。 チラ、とユウはそんな2人を眺めた。 「...なんかいい感じ?」 「無いだろ。コウはノンケだし」 あっけらかん、とそう言うと、ダイチは冷酒を煽った。 「俺もなんか食べよっかなぁ...。光司さん、ししゃも好きですか?」 再び、尋ねる為に光が上目遣いでコウを見上げる。 「え?あ、ああ。嫌いじゃないけど」 「なにが好きですか?」 「え」 「だから。好きな食べ物。魚よりお肉とか?」 「え、んー、どっちも好き、かな」 光がそっか、と笑顔を浮かべた。 「じゃ、ししゃもとー、あと、このカルビ、気になってたんですよねー、あと、あ!だし巻き玉子!」 「細いのに良く食べるね。お腹空いてた?」 ううん、と口元を綻ばせたまま、光が首を横に振る。 「好きなんです」 「えっ...?」 光が満面は笑みを浮かべた。 「食べるのが!料理は苦手なんですけど。痩せの大食いっていうか」 「あ、ああ、そう」 ははは、とコウが笑っている。 「ユウさーん!ダイチも一緒に飲みましょうよー!て、あ、そっか」 ふふ、と光は笑い、 「ご馳走様でーす」 とにこやかに声を掛けられ、ユウとダイチは再び、飲んでいたものを吹き出した。

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