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第11話

メンバーもスタッフもほぼ酔っ払い。 というのも明日、明後日はツアーはない。 明後日、別の会場に移動するだけだ。 居酒屋の前ですっかり酒で顔を真っ赤というより、色白な為かピンク色に頬を染めた光が、ご馳走様でした!お邪魔しました!と深々と頭を下げた。 「いーよいーよ、ダイチの友達だろ」 スタッフの1人が気さくに光に声を掛けている。 「じゃ、俺、帰ります」 と光は告げた、が。 「帰る、て、どうやって?」 尋ねたのはコウだ。 コウもあれから、光と喋りながらハイボールを煽り、結構、酔っているだろう。 「どう、て。...タクシーで」 「タクシー?近いの?ここから」 スタッフの1人が尋ねた。 んー、と光が顎に人差し指を置き、唸る。 「多分、5、6千円くらいで帰れるかな、て」 「泊まったら?」 コウの一言にユウが目を見開いた。 光も目を丸くしている。 「あ、いや。高すぎだろ、タクシー代。勿体ないし。ホテルさ、空いてると思うし」 「え?あ、でも...あのホテル、高いですよね、地元だから知ってるけど。タクシー代の方がやす...」 「それなら俺の部屋、泊まればいいし」 光の言葉を遮ったコウに、今度はユウだけでなく、背後にいたダイチも目を見開いている。 「あ、いや。ソファもあるからさ。俺はソファでいいし」 「え、でも、光司さん、ライブ後なのに」 光が戸惑っているのが見て取れる。 「や、ていうか、なんか飲み足りたいっていうかさ、実は。付き合ってくれたらなあ、て...あ!宅飲みな !て、ビジホだから宅飲みじゃないか、ホテル飲み?て、これも違うか...」 スタッフ達が笑い出した。 「帰したくないんだってよ、光くん、コウが」 きょとん、と光が立ち尽くしている。 「や、そうじゃ...まあ、その、話してて楽しかったから、まあ、まだその、飲み足りない、ていうか、うん」 「....俺、これ以上、飲んだら、変になっちゃう...」 (...わざとじゃないんだろうけど...光くんのセリフ、いちいち誤解させそう) ユウは2人を凝視しながらつくづく感じた。

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