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第13話

「お邪魔しまーす...」 コウに宛てがわれた一室の入口で光が小さく会釈する。 「ま、まあ、テキトーに座って」 「あ、はい。...て、飲むんですよね?」 「あっ、一応、酒あるはあるけど、無理ならいいよ、無理しなくて」 はは、とコウは笑う。 引き攣り笑いになっているのはコウ自身も正直わかっている。 が、何故か、光をあのまま、帰したく無かった、これが本音だ。 手持ち無沙汰でソファに座り、辺りをキョロキョロしている光を眺める。 そんなちょっとした仕草すら可愛いと思う自分...。 (いつから俺、ゲイになったんだ....) 心ではそう思うものの。そこらの女の子よりも光は可愛い。 素の状態の天然っぽいところも、ふっくらとした柔らかそうな白い頬もくりくりとした大きな瞳も、さらさらしてそうで、いい香りがしそうな髪の毛も。 男にしては小さい手も。 あまりにまじまじと見ていた為に、光が気がついた。 「...どうしましたか?」 「や、ううん。悪い、暇だろ」 にこ、と光が笑んだ。 「大丈夫です。憧れの人とこうして一緒にいれる、て光栄だし、嬉しいから」 思わず、ドキ、とした。 (憧れの人...。俺が...?) ごく、と自然と喉を鳴らした。 「あ。夜景。ここら辺、てまあまあ灯りあるから。実家とか田舎だから、全くなんですけど」 窓際に立ち、光が外の景色に目を輝かせている。 背後から抱き締めたくなるのを、ぐ、と堪えた。 例え、二丁目で勤務しているから、といえど、光がゲイかどうかは定かじゃない。 (...という言い訳だな、これ) 正直、男と致した事がない。それに、幾ら可愛くったって、付いてるもんは付いてるに違いないのだから...。 「どうします?飲みますか?」 明るい笑顔で光が振り向いた。 「あ、だね。ビールとハイボールがあるけど...あ、自販機にまだ他にもあるかもだけど、買いに行く?」 光は首を横に振ると、 「ビールでいいです」 と笑顔を見せた。 コウは冷やしておいたビールとハイボールを取り出し、ビールを差し出すと、 「ありがとうございます」 と光は満面な笑顔で受け取った。

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