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第3話

やたら、晶がしつこい。 「で、で、シンヤ、て?なんだあ、光も推しがいたとか、人のこと言えないじゃーん」 「や、推し、ていうか...」 うんうん、と晶が続きを待っている。 「単になんて言うか...タイプ、ていうか」 「俺だってそうだよー!目に入れても痛くない感じ!」 どんな感じだよ、とツッコミたくなりつつ、 「別にそんなんじゃないから」 「なに恥ずかしがっちゃってー!」 「...恥ずかしいとか、そんなんじゃないけど...」 「どんなところがいいな、て思ったの?」 晶に尋ねられ、うーん、と再び、宙を見上げ、思い起こす。 「...顔、とか?」 「うんうん」 「あと、体?こう、細身なんだけど、結構、筋肉もあって、笑うと犬歯が可愛いんだけど、ヤってる時は超男前だし、腰使いも凄くて、テクニシャンだなあ、とか。あ、爽やかな感じなのに、言葉責めする時のギャップがまたイイ、ていうか、でさ」 つい、思い出し喋り始めたら止まらなくなり、晶を見ると、晶の目が座っている。 「....それ。どこのシンヤ....?」 凍てついた声色にゴク、と喉を鳴らし唾を飲み込んだ。 「ゲ、ゲイビモデルの...」 冷ややかな眼差しが痛い。 「....変態」 え、と晶を見つめ、 「へ、変態、て。晶だってゲイビくらい見てたろ!」 「まあ、見てはいたけど?ゲイビモデルを推し、て...しかも、なに、ヤってる時がどーの、そんな細かく見る?普通」 う、と言葉に詰まる。 「....キモ」 ガーン。 が、直ぐに晶は悪戯っ子のように笑んだ。 「でも、アレかあ、光、言葉責めでガンガンヤられんの好きなんだあ?マゾなの?光」 「ま、マゾじゃない!」 「でも、言葉責めで感じたんでしょ?今まで」 「....まあ、わりと?」 また、晶から笑顔が消えた。 「...もっと派手にやんなきゃダメみたいだね。縛りは?」 「し、縛り?」 思わず、狼狽える。 怒っている時の晶の迫力はちょっと怖い。 「し、縛られたことはない、よ」 「嘘ばっか、動揺しちゃってんじゃん。...どつくよ?」 「す、すみません...」 「で、良かったの?縛り」 「ま、まあまあ?てか、手を拘束された、てだけで...あと、目隠しとか」 オロオロと否定するが、明らかに晶の機嫌が損なっているのが見て取れる。 「ふ~ん。手を拘束して、目隠し。ドMのド変態じゃん」 「あ、晶だって、あるだろ、それくらい」 きっぱりと、 「無いよ」 と眉を寄せ、細めた瞳に見据えられて体の熱がさあ、と冷めていくのを感じる...。普段は可愛いらしい顔の晶に恐怖を覚えた。 ...きっといずれ、いや、今夜にでも、晶に縛られ、目隠しされ、言葉責めされそう....。 さすがに晶には嫌だ、とは言えない俺でした...。

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