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第13話 交流
ーー金曜日、昼。
4限が終わった。
昼ごはんの時間だ。
移動しようと教室から出ると、宇月がいた。
「先輩!」
「宇月?」
「今日、お昼ご一緒してもいいですか?」
「ああ、もちろん。あ、二三月、いいか?」
「別に、いいよ。」
「すみません、お二人の食事の時間に押しかけて…でも。」
「別に構わない。前、よく一緒に食べてただろ?」
「……。」
二三月は黙っていた。
「最近、先輩忙しいから全然遊べないし、放課後一緒に勉強したりできないから。話せる時間、昼ぐらいしかないと思って。」
「ああ…ごめん、なんだか予定が入ってしまって。」
「忙しいのか?」
二三月が質問した。
「いや、そんなことはないんだけど、毎日予定が入ってしまって…」
「はは、それが忙しいっていうんだろ?」
「なんで先輩は、そんなにやることが多いんですか!まだ2年生なのに、塾もしっかり週2行ってるし…」
「親との約束だからな。」
「偉いな。…他の日は?」
「月木で塾に行って、金曜は学級委員の定期報告会が隔週である。火曜と土曜はバイトの日になったな。」
「バイトしてるのか。」
「ああ。2人とも、もし時間があったら、お茶しに来てくれ。」
「行きたいです!先輩、執事になってるんでしょ?絶対行きます!」
「執事?コスプレってこと?」
「執事喫茶なんだ。俺が執事で、お客様はお嬢様とお坊ちゃんだそうだ。」
「ははっ、面白そうだな。お前、スーツ似合いそうだね。」
「どうなんだろう。自分じゃわからないけど。」
「それで、僕は水曜に部活があるから、先輩と全然話す時間ないんですよ…」
「俺は…彩月の隣の席だから。」
「二三月先輩が超羨ましいです!というか、本当にすごい教室だと思います、2-1って。」
「二三月が最近学校に来てくれるから、休み時間も楽しいな。」
「! あ、そう…」
二三月は少し顔を赤らめた。
「ふーん、そうですよね、お二人は楽しいですよね…。」
「…拗ねてるのか?宇月。」
「そ、そういうわけじゃ。」
「今度、二三月とお前のクラスまで会いに行くよ。」
「え!?そ、それはひと騒動になりそうだから、ちょっと…!いや、すごく嬉しいですけど、でも。」
「……。」
こんな風に、普通に友達や後輩ができるなんて思わなかった。彩月は、いつも飾らない。誰に対しても同じ…それが俺は嬉しくて、でもなんだか物足りないと思うのはなんでだろう。
二三月がそんなことを考えていると、晃が声をかけた。
「二三月、そろそろ教室に戻ろう。」
「あ、ああ。」
「先輩、今週の日曜は何するんですか?」
「別の高校の友達と会う予定だ。」
「交友関係広いですね…さすが先輩。」
友達も多い。
当然だ、俺だけじゃない…。
「どうした、二三月?」
「なんでもない。」
昼の時間が終わり、教室に戻った。
眠くなりそうだけど、午後も頑張ろう。
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