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第17話 邁進
ーー月曜日。
カリカリカリ…
塾の授業は、段々と授業の先取りになってきた。
ペースは早いし、基礎をおさらいしたら、即応用。
授業の終盤は、応用問題中心のテスト。
授業でやったことをしっかり理解していないと、難しい。
最後に答え合わせ、正答率は6割。
大変だけど、学力は伸びそうだ…。
「あのー…テストどうだった?」
隣に座っていた女子が声をかけてきた。
前回の授業も、隣だった気がする。
「! あんまりだった…そっちは?」
「でも、ずーっとカリカリ書いてたよね。私はもー難しくて、全然できなくて死にそうだった。」
「難しかったな。レベルが上がった気がする。」
「先生さ、たまにすごい難問揃えてくることあってさぁ。よく分かんない不定期なんだけど…こんなんできたら、模試も余裕だよね。」
「たしかに。…ここは長いのか?」
「まだ3ヶ月ぐらい。ここ上のクラスだし、みんなデキるから焦っちゃうよ〜。下のクラス行こうかなぁ。」
「でも余裕があるより、頑張ってついていくほうが身につくんじゃないか?」
「あー…なるほどね。一理あるかも。」
「辛いのか?」
「いやぁ、別に耐えられないほどキツいわけじゃないけどさ〜。」
「じゃあ、ひとまずこのクラスでいいんじゃないか?」
「そうだねぇ、そうしよっかな。」
「…名前、聞いても?」
「雛松あかり。そっちは晃くんだよね。」
「ああ…よく知ってるな。」
「先生がそう呼んでるから。塾の先生ってさ、基本馴れ馴れしくない?」
「塾が初めてだから、よく分からない。」
「そうなの?でも、馴れ馴れしい感じが逆にモテるみたいだよ。」
逆に…?
「そうなのか?」
「ほら、あそこらへんの女子、授業終わったら毎回聞きに行ってるもん。」
「本当に質問があるだけなんじゃ?」
「わざわざ作ってんのよ!あの子達、頭良い組だもん。」
「雛松は?」
「私はー…中堅?」
「いいじゃないか。」
「うそうそ、このクラスじゃ下だよっ!ツッコミが不在!」
「じゃあ俺も下だな。」
「晃くんは上位組でしょ。質問ちゃんと答えられてんじゃん。」
「たまたまだ。」
「ご謙遜を〜。」
「毎回かなり体力使ってる。」
「わかる。ほんと、疲れるよね〜。集中力そんな続かないってね。さ、帰ろうかな。」
「俺も帰る。」
「どっち方向?」
「駅からだと、南口の方だ。」
「逆だー。」
チラッ
「……。」
無月は女子生徒に囲まれながら、教室を出ていく晃とあかりの後ろ姿を横目で見た。
雛松あかりと…?あの2人、仲良くなったのか。
「……。」
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