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第3話

ホシザキジュンの話 隣のベッドからは喘ぎ声が聞こえる。 しまった。思い切り失敗した。 なんで初対面の奴とシェアしているツインに(しかも狭い)、1日目から女を連れ込んでくるのかな。 シーツをかぶって、興奮する下半身をなだめにトイレに行く事も出来ずにいるのに、隣はギシギシ音を立てている。 思わず唾を飲み込んだら、 「shhh, he’s still awake(シー、まだ起きてるよ)」 押し殺した笑い声の後に小さな声で睦みあっていて、やめる気はないらしい。 そりゃあそうだろうけど、こちらもいたたまれないから思う存分楽しんでもらえるように部屋を出た。 「Enjoy(楽しんでね)」と嫌味は言っておいた。 12時を過ぎていたけど屋上にはまだ少し人がいた。小さな音でギターを弾いている人、写真を見せ合ってる女の子たち、ジャグリングをしてる人。 あー、何かこういうのいいな、旅だよなって思う。 今あったことを誰かに話したかったけど、折角の楽しそうな雰囲気を壊すのもなんだから、黙ってテーブルについてギターを聞きながらジャグリングを見ていた。 多分社会人、落ち着いた雰囲気、バックパッカーらしい服だけどセンスがいいのは分かる。 ボールのコントロールがうまいな、体をきちんとコントロールできるだけの筋肉がついてるんだろうな、と想像してちょっと鼓動が早くなる。 じっと見つめている自分に気が付くと、やっぱり自分は男が好きなのかもしれない、と思う。 昔すごく好きになった男の子がいた。何も行動は起こしてないけど。 彼女はいたけど旅行に来る前に別れた。 ちょっと離れたところに住んでいるから、会ってたのは月に2回ほど。盛り上がる訳でもなく、告白されてなんとなく付き合っていた。 彼女とセックスしている時に、気になっている男の子の事を考えた事もある。

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