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第5話
ホシザキジュンの話
なんとなく聞いていた会話が予想外の展開になり、うっかりツボに入ってしまって笑いが止まらない。
「すごい撃退法ですね」
でも、こんなに笑ったら失礼だったかもしれない。
多分この人、地はきっついんだろうな、それをあの優しそうな顔で隠してるんだろうな。
「一人旅?」
「はい、そちらも・・お一人ですよね」
「ん、あの、敬語じゃなくていいよ。旅先だし。僕はユウヤ、名前は?」
「俺はホシザキです、ホシザキジュン。大学3年です。ユウヤさんは、いくつですか?」
何も考えず、いつもの流れで年齢を聞いた。
ユウヤさんは、さっきと同じ飛び切りの笑顔で言った。
「年齢聞いてどうするの?」
あ、これも地雷だったのかと思った俺の心を見透かしたように、ユウヤさんは続けた。
「僕は27、でもみんななんで年齢聞くのか謎だよね」
「そうですね。とりあえず次の質問を思いつくまでの時間稼ぎになるからじゃないですか?」
バカな若者だって思われたくなくて、焦って思いついたことを言葉にしてしまった。
「質問に答えてくれたの、ホシザキ君が初めてかも」
ふーん、って大人の表情で目を細められて、あ、俺この顔好きだなって思う。
ユウヤさんは隣のギターを弾いている人にも軽く挨拶して握手した。
それからまた日本語に戻って俺たちは話し始めた。
部屋をシェアしたら一日目から相手が女を連れ込んでやり出したせいで屋上にきたこと、学校の話、別れた彼女の事、ユウヤさんの田舎の話、きたるべき就職の話…
気が付くと周りには誰もおらず、二人だけになっていた。
眠くはないけど、深夜過ぎると体が夜モードになるせいか、視界に入る全ての輪郭が柔らかくなる。柔らかい表情のユウヤさんが俺を見て聞いてきた。
「ホシザキくん、眠そう」
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