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第20話

ユウヤの話 デザインが決まったらもう僕の出番は殆どない。 個人の連絡先は交換してないから、彼からの連絡は途切れた。 いつも通りの日々が続く。 久しぶりに嫌な夢を見た。 夢の中で、また僕は失敗を繰り返していた。 泣きながら謝るヒロにずっと怒鳴り続ける自分の声が耳に残っている。 夢の中で昂ぶった感情のせいでアドレナリンが出て、心拍数が上がり無理やり目が覚めた。吐き気がする。喉に何か詰まっているみたいに気持ちが悪い。頭がめちゃくちゃクリアになる分、嫌な思い出が全部やってくる。 ...あれ、なんで怒ってたんだっけ? なんであんな声を張り上げてたんだっけ? なんで部屋中ぐちゃぐちゃになったんだっけ? ヒロは?ヒロはどこにいるんだっけ? 止まらなかった、大好きだったから、全部自分のものにならないと不安だった。 全聞いてくれて、全部受け入れてくれた人。でも自分に自信がなかった。 今なら言えるのに。 ヒロの代わりに別れを告げに来たあの男に殴られても、説明するべきだったのに。 焦点が勝手に合わなくなって、視界に薄い膜が張ってくるような感覚に襲われる。 あ、よくない兆候だ。 無意識に手にしていたスマホの画面をスライドさせていた手が止まる。 何で僕はここで手を止めているんだろう。しばらくして焦点が合い始めた視界に、印刷会社の名前と星崎くんの名前があった。 なんだっけ、何考えてたんだっけ? ぼうっとしながら、文字を打って送信していた。

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