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第8話
そして巨大な黒い椅子の上におろした。僕は背もたれに背を預けて、目を見開く。すると頭上にあった長い鎖についた手枷を、引き寄せたラークが僕の手首に嵌めた。
「え?」
その上、鎖の長さを調節したので、僕の両手首は、頭上で固定される形になった。
「結界魔法と首輪があるとはいえ、最初はあまり動かれるのは心配だからな」
「え、えっと……」
狼狽えていた僕の足を、それぞれ椅子にラークが拘束する。そうして椅子を操作した。すると僕は、M字開脚状態になった。足枷と手枷のせいで、僕は裸のままで、身動きができなくなった。これは、おかしい。僕はいよいよ焦り始めた。
「ラーク……? あ、あの……」
ラークは僕の目の前で、騎士団の正装のポケットから、小瓶を取り出している。
「これを使えば、そう辛くはないはずだ。これは、ケーキにしか効果が無い媚薬で、弛緩剤が入っている。ケーキをさらに美味しく甘くするために開発された薬だからな。本来はこの椅子も拘束具も、そしてこの媚薬も、魔族のケーキどもを尋問する際に用いるものだ」
「えっ、ま、待って? どういうこと? 僕は魔族じゃないよ?」
「安心してくれ。きちんと人間のケーキにも効果はある」
僕は、なにを安心すればいいのかさっぱり分からなかった。
そんな僕の前で、小瓶の蓋をあけて、液体を手に取ったラークは、その液体が絡まる二本の指を、僕の後孔から唐突に差し入れた。
「っ」
ビクリとした僕を見る、ラークの瞳は相変わらず優しい。
「大丈夫だ」
「ッッ……」
勿論男同士で体を重ねると言うことは、後孔を使うのだという知識は僕にもあった。だが、拘束されている現状には、僕の理解は追いつかない。思わず身をよじろうとした時――カッと内側から熱が全身を駆け抜けた。
「あ」
萎えかけていた僕の陰茎が、再び硬度を取り戻す。熱い。すぐにでも出てしまいそうだ。
震えた僕は、己の吐き出す息にすら感じ入った。
指を引き抜いたラークは、それから歩いてチェストの方へと向かう。指がなくなっても、僕の中はドロリとした液体が残っているせいなのか、どんどん体が熱くなっていく。
「んっ、ン……ぁ……」
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