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第10話
「いい子で待っているようにな。夕食も、楽しみにしている」
そう言うと、ラークは出て行った。
そしてこの日を境に、朝晩、僕はねっとりとラークに口淫され、泣き叫ぶまで射精させられるようになった。後孔には、毎夜、媚薬を塗り込められる。それは丸一日で効果が切れるかららしい。結果として、僕はずっと出したいという欲求を感じている状態になった。
――どうしてこんなことになったのだろう?
僕は、ただラークが好きだっただけで、ラークと恋人になれたと思って幸せだった。でも、ラークは僕を抱きたいと言ったけれど僕を抱く素振りはなく、朝晩僕を口淫して、美味しそうに飲み込んでは満足している。ラークにとって僕は、完全に食べ物のように思える。実際、そうなんだと思う。
「……っ」
両目から、筋を作って涙が流れていくのは、なにも出せないからではない。
家に帰れないからでもないし、家族や街のみんな、お客さん達に会えないからでもない。
ラークが僕を好きじゃなかったというのが、悲しくてたまらないからだ。
舞い上がった僕が、バカみたいだというのはあるが、一時でも好きだと言われて、本当に嬉しかった。僕は、今でもラークが大好きだ。それだけ長い間、ずっと片想いをしてきた結果だ。
実を言えば、ラークと一緒にいられると思うと、ラークの食べ物になるというのは、そんなに嫌じゃない。僕がいい子に食べられてさえいれば、ラークは僕に笑顔を向けてくれるのだと思う。実際には僕を食物だとしか思っていないのだとしても、頭を撫でて、キスしてくれるというのは、まるで恋人みたいで、僕にとっては嬉しいことだ。
でも――恋人になれなかったとしても、僕には夢があった。ラークと一緒にご飯を食べてみたいだとか、ラークと二人でデートに行きたいだとか、ラークと手を繋いでみたいだとか。ラークとたくさん話をして、ラークの顔をずっと見ていたかった。でも、それは叶わない。そう考えると、悲しくて悲しくて、僕は涙が止まらなくなる。
だから僕は、日中ラークが騎士団の仕事を果たしに行っている間は、ほぼずっと、泣いていた。食べ物の恋なんて、実るわけがなかったんだ。恋する食べ物だった僕は、なんて滑稽なんだろう。
この日も僕は、ボロボロと泣いていた。
すると扉が開く音がしたから、驚く。
「今日は急遽休みになって――……オリビア?」
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