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第21話
どれだけ寝ていたのだろう、、、
目が覚めると先程と同じように優人さんがベッドに頭を乗せる形で俺の手を握ったまま眠っていた
少し体を起こし時計をみれば19時をさしていた
ずっと側にいてくれたんだろうか.....
こんな自分の為に....
そう思うと涙が溢れてくる....
"ここ最近心が弱くなったな、、、泣いてばかりだ。身体を売るようになってから1年半、何も感じなくなったと思ってたのに、、、"
そんな事を思いながら泣いていれば、優人さんが起きた。
泣いている俺を見て焦った顔で「どこか痛むのか?大丈夫か?」そう心配そうに聞く
だけど俺は泣きながらただ首を横にふることしか出来なかった
「なつ、、、体調はどう?平気?」
優人さんに尋ねられるけど声が出せないから答えられなくて、、、
何とか話そうと口を動かすけど声が出ることはなくて、、、
"どうしよう....." そう困惑していれば
「なつ、、もしかして声がでないのか.....?」
その言葉に静かに頷けば
顔を歪めた優人さんが俺を抱きしめた
優しく、だけどしっかりと抱きしめるその腕の暖かさに止まりかけていた涙がまた溢れ出す
すると耳元で鼻をすする音が聞こえてくる
慌てて優人さんの顔を見れば目に涙をため泣くのを必死に堪えていた
その姿に、優人さんの顔に手を持っていき今にも涙が零れそうな目元をそっと拭えば、優人さんがその手を掴み頬を擦り寄せてくる
「あの後からなつと連絡が取れなくなって心配した。なつがあの日なんであんな事言ったのか理由も聞かずに責める言い方して後悔してた、いや今もしてる。ごめん、、ほんとにごめん。」
最後には項垂れながら謝る優人さんの顔を両手で上げ目線を合わせればゆっくり首をふった
"優人さんが謝ることなんて何もない。あの日俺があんな事を言ってしまって優人さんだって傷付いたはずだ、、、実際に一瞬その表情を見せたのを俺は見た。だから謝らないで、、、"
そう伝えたいのに伝えられない
首をふる事しか出来ない事が悔しい
ぼろぼろと溢れてくる涙を優人さんの手がゆっくりと拭う
「大好きだよなつ、、、あの時友達って言ったけど違った、、、何かあったのなら力になりたい、傍で支えたい、、、」
俺の目を見て伝えてくる言葉に戸惑い驚く
思いがけない言葉に涙も止まり固まる俺を見て「あっ、涙とまった。」なんて笑いながら言う
「今言ったことは本当だよ。俺はなつが好き。あの場所で一緒に過ごしてきて自分でも気づかないうちに好きになってた。」
なんて言うと少し眉を下げながら最後には「今思えばかずさんにも嫉妬してたな....」なんて言う
"かずさんに嫉妬?なんで?どうして? "
そう思っていれば「恥ずかしいから深く言うつもりはないけど、、、」とこぼす
優人さんから出てくる言葉にずっと驚きっぱなしで涙は完全に止まりかわりに戸惑いが隠せない
するとノックの音が聞こえて扉が開かれる
白衣を纏ったかずさんが顔を出し「なつくん様子はどうかな、、、?」と心配そうに聞いてくる
すると優人さんが「なつ、、、声が出ないらしいんです。」と応えてくれる
その言葉に驚いた後に優人さんと同じように顔を歪め悲しい表情を見せる
そのまま俺に近づけば診察をする
「顔色は倒れた時に比べたらマシになってるけどまだ弱ってる状態だから無理はせずに伝えて。紙とペンここに置いておくから、、、絶対だよ。」
真剣な顔で伝えてくるかずさんに俺も頷いて応える
それを見て安心した表情を見せるかずさんに『ありがとう』とどうしても伝えたくて口を動かす
すると口の動きで伝わったのか笑顔を見せた
だけどかずさんがすぐに少し言いにくそうに口をつぐむが覚悟を決めた顔をする
「君の体の傷跡もみた。」
"やっぱり見られたんだ。そりゃそうだよね、、、なんて思ったかな、、、こんな体、醜いよね、、、" そんな事を思えば
「さすがに酷すぎて見過ごすことは出来ない。伝えられる時でいいから教えてくれないか?」
そう問いかけられる。
"どうしよう、言ってもいいのだろうか、でもこわい、知られたくなんかない、、、"
「なつくんがどうしても言いたくないなら無理に聞こうとは思わない。でも少しでも話したいと思う気持ちがあるなら話して欲しい。心配なんだ。」
そう優しく言われる
すると黙っていた優人さんが口をひらく
「あの日俺にあんな事を言ったのも関係しているのか、、、?なにか理由があるなら話して欲しい。」
「僕達2人はなつくんの味方だ。君に何かあっても嫌いになる事なんてないよ。むしろ助けになりたいんだ。」
そう言って真っ直ぐに俺を見つめる2人に止まったと思っていた涙がまた溢れ俺は俯いた
俺の心はもう限界だと叫んでいた。それでも見ないふりをして過ごしていた。そうしないと絶望に呑み込まれそうで生きていられなかったから。
でももう我慢しなくていいのだろうか。
俯いた顔を上げれば2人は変わらず僕を見つめただ静かに待っていた。その姿に全てを伝える事に決めた、、、、
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