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第23話
少ししてかずさんが戻ってきた
泣きながら抱き合っている俺達をみてゆっくり近づけば、かずさんも抱きしめてくれた
少しビックリしたけど3人で抱きあっている光景が何だかおかしくって思わず小さく吹き出す
するとそれを聞いた優人さんが不思議な顔をする
「大泣きして3人で抱きあってって何だか.....今誰かきたら何事だ?ってなりますね。」
そう言ってクスクス笑えば、2人が顔を見合わせて『確かにそうだな。』なんて笑う
不思議だ。話す前まではあんなに不安しかなかったのに、、、ほんと2人には感謝してもしきれない。
母親の事でまだ不安が完全に消えた訳じゃない、、、
でも本当の事を知ってこうやって俺の為に泣いてくれる人がいる。それだけで少しだけ強くなれた気がした、、、
「明日また先生からどうなるのか話があるから今日はもう寝よう。」
そうかずさんが言う
「さっきまで寝てたから寝れない!」
そう子供みたいに言えば
「しょうがない。じゃぁ僕が子守唄を歌ってあげよう。」
なんて言う。しまいには優人さんが『俺、読み聞かせしようかな。』なんて乗ってくる。
『子供扱いしないでよ。』なんて不貞腐れて言えば『じゃぁ早く寝てくださーい!』なんて頬をつつきながら言ってくる
その1連の行動に3人顔を見合わせて笑う
ひとしきり笑った後に横になれば優人さんが頭を撫でてきて、かずさんがかけた布団の上から胸元を軽くとんとんする
『これ完全に子供扱いじゃないか、、』なんて思うけどそれがひどく心地良い。あんなに眠れないと思っていたはずが瞼がどんどん閉じていき眠りについた、、、
翌日目を覚ませば優人さんとかずさんの姿が見えなかった、、、
『どうしたんだろう』と思っていれば扉がひらきかずさんが昨日と違う服装で立っていた
「あっ。起きてたのか?」
「ついさっき起きた。」
「そっか、戻ってくるタイミング良かった。」
「どこか言ってたの?」
「病院泊まること出来なかったからね、昨日なつくんが寝た少し後に家へ帰ったんだ。」
「そうだったのか、、、」
きっと帰った時間も遅かっただろうにこうして早くきてくれたかずさんに嬉しくなる。すると
「優人くんは学校があるからね。どうなるか連絡をして夕方頃に会う予定だよ。」
俺が聞きたいけど聞けずにいた事を教えてくれる
「そっか、、、ありがとう」
すると先生がやってきて『今日のお昼には帰っても大丈夫』と言われた。お礼を言い先生が部屋を出るのを見送った後、かずさんが椅子に座りこちらを真剣な表情でみてきた
「今日のお昼に帰っていいって言われたけど、僕の家にこないか?」
そうかずさんが言ってきた。驚きで『えっ?』という言葉しか出てこなかった
「なつくんの体の事お医者さんから聞かれたよ、、、手首の縛られた跡に殴られた跡、それに、、、首にくっきり残ってる跡、、、病院側から警察に連絡がいってるんだ。だからごめんね、なつくんから聞いた話を少しだけ抜粋して軽く昨日の夜説明してる。なつくんからも落ち着いたら話を聞きたいと言っていたよ。」
その瞬間ドクドクと心臓が早くなる
「それでさ、昨日公園で倒れた時自分の家に居たくないと思って外で夜を過ごしてたんだよね?だからどうかなと思って。落ち着くまで、、、どうだろうか?」
あの家に帰りたくないのは今も変わらない。
でもかずさんにそこまでしてもらってもいいのだろうか。今までたくさん迷惑をかけただろうにさらにまた、、、そんな事を考えていたら
「なつくんは自分の家に帰りたい?それとも帰りたくない?」
「かえり……たく……ない…。」
「じゃぁうちへおいで。」
そう言って手をとり優しく微笑んだかずさんの手を僕は頷きながら握り返した
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