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第26話

母親はすぐにハッとして自分の腕から優人さんの手を振り払う。 「何なのあんた達!勝手に人の家に入って!警察呼ぶわよ」 なんて大声で叫ぶ するとかずさんが 「なつくんが入れてくれたんです。勝手に入ったわけじゃありません。」 そう言いながら僕の前に立ちながら言う 「あんた、、、こんな人達連れてきてどういうつもり!」 「もう、、、こんな事やめたい、、、」 そう絞り出すように言う。 こわくて手が震える。 するといつの間にか隣にきていた優人さんが俺の手を握ってきた それだけで安心感が僕を包んだ しっかりと立ち今度は母親の目を見てはっきりと伝えた 「俺はもう身体を売る事をしたくない。あなたの言いなりになりたくない。」 そう言えば僕に向かって近くにあった灰皿を投げつけてきた ガシャンと大きな音が鳴り響いた その瞬間部屋に数人の男性が入ってきた 1人の男が母親の前に立てば 「あなたに息子さんについて詳しく聞きたいことがあります。」 そう言って警察手帳を見せれば『連れて行け』と制服姿の人に声をかける その後に僕に近づくと 「なつくんだね。君にも聞きたいことがあるから来てもらってもいいかな。」 そう言われ僕は静かに頷いた。 それを見た男性は部屋を出ていく。 警察の人に腕を捕まれ連れていかれる時母親が大声で叫んだ 「こいつが勝手にやったんだ。私は何も悪くない。産んでやったんだから私にこれぐらいして当然だろう。それなのにこんな事して、、、やっぱりお前なんて産むんじゃなかった。 役立たず、お前なんか息子でも何でもない 今すぐ消えろ。」 そう叫ぶ母親に向かって 「産んでやったんだからこんな事して当然だと?ふざけるのも大概にしろよ。ろくに愛情も与えずに暴言暴力浴びせといて今すぐ消えろなんて、、、消えるのはお前だよ。」 そう優人さんが怒鳴ると 「オメガのこいつなんか愛せるわけないだろ。そんなに欲しいならくれてやるよ」 最後にそう吐き捨てて連れていかれた。 ふと手元を見れば優人さんの手が震えていた。顔を見上げれば今にも追いかけて殴りかかりそうなのを必死に抑えているようだ。 そんな優人さんの手を握るとこちらを見る。 『大丈夫だよ。』そう言えばまだ怒りを含んでいるけれど辛そうな泣きそうなそんな顔をする。 そして僕を抱きしめ『そんな顔しておきながら大丈夫なんて言うな』と震える声で言う。 そんな顔?と不思議に思っていれば優人さんが顔を覗き込んで『傷付いた辛い悲しいそんな顔してるんだよ。自分で気付かないのか、、』そう言われた そんなわけがない。だって物心ついた時から母親はあんなで愛情なんて貰えないと分かっていた。あんな暴言当たり前だったんだから、、今更言われて傷つくわけが、、、 そう思っていれば次々溢れ出してくる涙 おかしいな、、、なんで泣いてるんだろう そう思って必死に目を手でこする するとその手を優人さんが掴み引き寄せ思いっきり抱きしめた その瞬間僕は声上げて泣いた、、、

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