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第28話
どうしたらいいのか、、、パニックになりかけた時に玄関で音がするのが聞こえた
驚き恐る恐る向かい覗き込めばかずさんが帰ってきていた
俺の姿を見れば「なつ!よかったぁ、、、メッセも電話も何も反応がないから心配した」その言葉に慌てて携帯を見れば1時間ほど前に連絡がきていた
"全然気づかなった......"
そう思っていれば「何かあった?」と優しく聞きながら俺をリビングのソファへ座らせる
言うべきか、、、だけど言われた所でこんな話重いだろう、、、でも1人で抱えるには大きすぎて、、、
悩んでいる間かずさんは静かに待ってくれていた
俺は意を決して伝える事にした
手に持っていた携帯のメモ機能に文章を打ち込んでいく
〈最後にきてから3ヶ月が経つけどヒートがこないんです。〉
その文章を見せれば目を見開き驚くかずさん
俺の手を掴み「今すぐ病院に行こう。」そう告げ俺の事を立ち上がらせ玄関へ向かう
かずさんに付き添われ近くの病院へ駆け込み検査をする
先生に説明している時、待合室で結果を待つ間ずっと不安で、、、
"もし出来ていたら......もちろん子供に罪はない、、、だけど、、、どうしたらいいのか分からない、、、"
思わず握っていた拳には力が入りすぎて爪が食い込む。だけどそんな事気にならなくて、、その姿をみたかずさんがそっと手に触れ力を緩めるよう言う
その瞬間名前を呼ばれ診察室へ
椅子に座り先生と向かい合う、視線が合い見つめるその表情はよめなくて、、、、
先生が口を開くその瞬間思わず唾を飲み込んだ
「白雪さん、妊娠はしていませんでしたよ」
先生のその一言にホッと胸を撫で下ろした
「発情誘発剤を飲まされたとの事なのでそれが原因で少し周期がおかしくなってしまったのかもしれないですね、、、もう少し様子を見てみるのもいいかもしれません。」
そう言われ「ありがとうございます。」と、かずさんがお礼を伝えた後に俺は頭を下げ診察室を後にする
会計を終えカズさんの家へ帰った後は安心感からソファに座り込んでしまった
そんな俺の頭に優しく手を置いて「今日は疲れただろ、、、ご飯は何か頼もう。」そう声をかけた
それに頷けば「お風呂先入っておいで」と目線を合わせて伝えてくる
先にお風呂に入らせてもらいデリバリーしたご飯を食べ終えた後には眠気に襲われ、「片付け全部しておくからもうベッドに横になってきな。」と言うかずさんの言葉に甘える事にした
それから数日後の昼下がり
かずさんが仕事に行っている間に家事をしようと掃除を終わらせ、今度は洗濯でもしようと洗濯機に仕分けをしながら服を入れている時だった
昨日俺の様子を見に来てくれた時に忘れていった優人さんのパーカーが見えた
ほんの出来心だった
大学が忙しくて会う頻度が減ってしまいメッセージでのやり取りばかりだったから、、、
昨日会えた事が嬉しくて、、、だけどすぐに帰ることになってしまったのが悲しかったから、、、
だから思わず優人さんの服を掴み抱きしめた、、、鼻先をくすぐる優人さんの匂い
その瞬間ぶわっと広がる甘い香り。
"あっ、ヤバい、、、" そう思った時には立っているのもやっとだった。
どうしよう、、、ヒートだ、、、
誰もいない。連絡をしようにも携帯はリビングで、ここからリビングまでいけるか、、、
そう思って歩き出そうとした瞬間足元から崩れ落ちた
"あぁダメだ.....力が入らない....."
疼く身体はアルファを求めて濡れ始める
どんどん高揚していく様にどうする事も出来なくて
自分の指で後ろを慰め始めるけど
"あぁ.....足りない......ほしぃ......もっと....ゆう....とさん"
頭の中で俺に笑いかけてくれる優人さんの姿を思い浮かべながら1人でするけど全然足りなくて、、、
"ゆ....うとさ......ゆぅ......" だんだんと視界がぼやけていく中で必死に優人さんを求めながら俺はついに意識を手放した
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