32 / 52

第32話

それから数日後の夕食。かずさんと過ごしていれば 「なつくんはさ、、、優人くんの事どう思ってる?」 そう聞かれた。なんて答えようか戸惑った 「それは、、、」 口ごもって話せずにいる僕にかずさんが続ける 「なつくんの事だから今までの自分の過去を気にしてると思うけど、自分の気持ちに正直になる事は大事だよ。相手の事を考えすぎて出した結果が必ずしも相手の為になるとは限らないことも覚えておいてね。」 そう言って頭を軽く撫でると片付けをしていく。 『相手の為になるとは限らないか、、、』優人さんは会う度に "大切だ。一緒にいたい" そう言ってくれる。その気持ちを受け取って自分もだと伝えてもいいんじゃないか。そう思う時もある、、、でも、、、本当に自分なんかでいいのか、お似合いの人がいるんじゃないのか、その気持ちがどうしても消えないんだ、、、 そんな状態で迎えたヒート予定 職場には事前に休みを伝えていたのでどう過ごそうかと考える ヒートがくるまでに家事を済ませておこうと洗濯物の前にたつ すると先週遊びに来た時に忘れていった優人さんのパーカーが見えた その瞬間ドクンと心臓が大きく跳ねる 震える手で優人さんの服を掴み鼻先へと持っていき匂いを噛んだ瞬間ぶわっと広がる甘い香り。 "あっ、ヤバい、、、" そう思った時には立っているのもやっとだった。 その時『なつくん!?』とかずさんの声が聞こえた。何かあった時の為と同じタイミングで休みをとってくれていたかずさんが駆けつけてくれた。 「どうしたの?今までここまでのなかったよね?」 「、、、はぃ、、、、」 かずさんの言うように立っていられなくなるほど強く出たことはない。匂いだって強い方ではあったけど近付いたら分かる程度だった。ベータのかずさんが離れていても気付く程なんてなかったのに、、、。 「とりあえず部屋に行こう。横になった方がいいだろう。」 そう言って僕を支えて部屋まで運んでくれる。 「少しだけ待ってて」 そう優しく言うと部屋を出ていき誰かに電話をかけたようで話し声が微かに聞こえる その時手に優人さんの服をもってきたままなのに気づく このまま持ってたら汚してしまう。早く手放さなきゃ。そう思うのに、、、もう少し、、あと少しだけ、、、そう思って離せない、、、 どれだけの時間が経っただろう 部屋のドアをノックする音が聞こえた 『は、、、ぃ、、、』なんとか声を絞り出し返事をすれば開くドア、そこに立っていたのは優人さんだった、、、 『な....んで......優人さん.....が?』慌ててる起き上がりながら聞けば、『かずさんから聞いた。』そう言いながらベッドに近付き腰を下ろす 「ねぇなつ、、、かずさんから聞いたよ。すごい匂いがして慌てて駆け付けたら俺の服握り締めながらヒート起こしてたって。しかもここまでなのは初めてだって。それって俺の匂いが原因だよね?今だって俺の服握りしめてさ、、、 」 そう言うと僕の頬に優しく触れる その瞬間後ろが濡れていくのが分かった 身体が優人さんを求めてる、、、 「なつ、本当の気持ち教えて。俺はもう今すぐにでも抱きしめてキスしてなつの全部を俺のものにしたいと思ってるよ、、、。」 それでも話せずにいる俺に優人さんは縋るように『お願い、、、答えて、、、』 そう言って抱きしめた 抱きしめられた事により優人さんの匂いに包まれた僕はもう何も考えられなくなって 「優人さんの事が、、、すき、、、、。」 そう答えていた。

ともだちにシェアしよう!