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第41話:優人side
今日も公園へ向かえばなつがいた
いつも通りの様子を見て "ヒート近いって言ってたけど今日は大丈夫そうだな" なんて思った後に あの人と過ごすんだろうかという考えが浮かぶ
またよく分からない感情が広がっていくのが分かり頭を振って考えないようにしてなるべく明るく声をかけた
いつから来ないかと聞けば明日からだと言う、今日来てよかったな、、、
そう思っていれば、なつの携帯が着信を知らせる
『ごめんね。』そう言って電話に出るなつ。電話の向こう側からは男性の声が小さくだが聞こえた、、、あの人なのかな、、、
ボーッとそんな事を思っていたら電話を終えたなつが戻ってきて『大丈夫?』なんて声をかけられたがなんの事だか分からなかったけど『顔が暗かった』と言われ、なんで自分がそうなってるのか分からなくてただ笑うしかなかった、、、
その後も変わらず話していれば『もう行かなきゃ』と立ち上がるなつ
やり取りのなかで一瞬出てきた『かずさ…』という言葉
あの男の名前か?なんて思えばどうしても知りたくなって、思わずなつの後を追うようにして公園を出ようとしたら見たんだ
『なつくん!』と呼びかけるあの時の男
それに笑顔で応えて車に乗り込むなつ
そしてそのまま走り去る車
じわじわと広がる何なのか分からない感情
2人は車でこれからどこに向かうんだろう
どんな話をしてるんだろう
俺がまだ知らないなつの事をあの人は知ってるんだろうか、、、
ズキズキと傷んでくる心に顔が歪む
なんなんだよこれ、、、
分からない俺は足早にその場を後にした
あれから2週間後公園へ向かえばなつがいた
そろそろ来るかなそう思って来たけど正解だったと上がる気持ち
するとペットボトルを額に当てて涼んでるのをみて先程買ったアイスを袋から出し静かに近づく
思い切ってなつの首元に当てれば『うわぁ!!』なんて大きい声を出すもんだから思わず笑ってしまう
怒りながら文句を言う姿に可愛いなと思いながら見ていれば、この前のあの男といる姿が頭によぎり気が付けば連絡先を聞いていた
この場所以外でもなつと繋がりたい、、、
いきなりの事に驚きながらも茶化してくるなつに誕生日の為と全然違う理由を告げる
交換が終われば満足して別れを告げた
夜に自分の家へ帰れば昼に交換したなつの連絡先をみてつい頬が緩む
浮かれる気持ちを隠すようにして文字を打ち送る
すぐに『平気』と返事がありさらに頬が緩んでいた
迎えたなつの誕生日当日。
いつものベンチに向かえば既になつが来ていた
近付けば無意識に頭を撫でていた
お祝いの言葉を告げれば下を向いてしまう
不思議に思って覗き込めば照れた様子で少し顔が赤くなっていて可愛かった。
でもこれじゃぁきちんとお祝いが出来ない、そう思って顔を上げさせる
プレゼントを渡せばすごく喜んでくれケーキを見せれば、さらに喜びを表現してくれる
2人でケーキを食べながら色んな話をする
それがすごく楽しくて、、、
そんな時なつの携帯がメッセージを知らせた
一瞬見えた画面にはかずさんの文字
さっきまでの楽しくて高揚していた気持ちがどんどん下がっていく
すると『一時間経っちゃったね』と俺が言っていた時間が経っていた事をなつが告げる
それには満足に答えずに気になってしょうがない事を聞く
「あのさ、この後ってその、、、今メッセージくれた人と、、、会うの?」
すると『うん』と頷くなつ
それになぜかガツンと頭を殴られたかのような衝撃をうける
それっていつまで?まさかこの後ずっと一緒に過ごすの?
そんな事をつい言ってしまいそうになるのを抑える
別に俺となつは友達みたいなもんだ
なつがこの後誰とどう過ごそうが関係ない
そう思うのに、、、何も言えず動けないでいる俺をなつが不思議そうに見ている
なつが何か言いそうになった時、これ以上あの男と関することは聞きたくないと思って慌てて立ち上がりろくにあいさつも出来ないまま離れた、、、
少しだけ振り返ってみればなつがまだ不思議そうに立っていたがやがてなつもあの場から離れた
俺はなぜか友達の家がある方向ではなくなつが向かった方向に歩いていた
すると公園の入り口のとこでなつが誰かを待っているように立っていた
しばらくするとあの日と同じ声でなつの名前が呼ばれなつが車に駆け寄る
そのまま乗り込めば楽しそうに笑っていた
運転席にはあの男が見えた
またじわじわと広がる嫌な感情
だけど俺はそのまま車が走り去るのを眺める事しか出来なかった
なつの誕生日から一週間ほぼ毎日来ているけど会えていない、、、
明日からしばらくは忙しくてこれないから今日会いたかったのに、、、
忙しさも落ち着きあのベンチへ来れた日、そこになつの姿はなかった
今日も会えないのか、、、なんて思いながら携帯を見て気付く、、、連絡先を交換していた事に、、、
すぐに文字を打ち込み送る
なかなかつかない既読に無理なのかなんて落ち込む
メッセージを送ってから一時間、、、
相変わらずつかない既読に落胆してもう帰ろうと立った瞬間
「優人さん!!」
と俺を呼ぶ声が聞こえた
みればなつが走って向かってきていた
会えた!その嬉しさに思わず『なつ!』と俺も大きな声で呼んでしまう
会えないかと思ったと伝えれば『見た瞬間返す前に走って来た』と答えるなつの髪はボサボサで。
その姿に笑いながら髪を整える
座るよう促せば『帰るとこじゃなかったの?』と言われる
帰るわけがない、せっかく会えたのに、、
するとなつの耳元がキラリと光った気がして髪を整えていた手を耳元に持っていく
すると緑色のピアスがついていた
耳あいてたんだ初めて見た、、、そう言えば『誕生日に貰ったんだ』と少し嬉しそうに答えるその姿がすごく面白くない
軽くピアスに触れそのまま移動させれば数回頬を撫でた
なんでこんなに気になるんだろう
"その人とは結構仲良いの?" そう問いかければ少しテンション高めに
『いいと思う。頼れるお兄ちゃんでいつも気にかけてくれて優しい。』そう答えた
頼れるお兄ちゃんみたいか、、、
そっか、、お兄ちゃんみたい、、、
それ以外の気持ちはないよね、、、?
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