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第42話:優人side

そして9月も終わりに近づいたある日の夜、友達の家で課題をした帰り道あの公園へ寄った いつもなつと会うのは明るい時間だから、今行ってもいないはずなのになぜか足が向かっていた するとベンチに腰かけるなつの姿が見えた こんな時間にどうしたんだろう、、、 そう思って声をかければ何だか様子がおかしい 『何かあったのか?』そう問いかければ『何でもない』と言うがこの様子でそれは無いだろう "頼って欲しい....." そう思って『本当に?』もう一度なつが話せるようそう言いながら頭を撫でたらなつが重い口を開いた 「安くするからさ、俺をかってくれない?」 そう言ったんだ、、、 瞬間心が冷えていくのが分かった 何だよそれ。お前は俺の事そんな風に見てたのかよ。俺はお前からそんな言葉聞きたくなかった、、、、言われたくなかった、、、、 そう思った事を一気に言えば何も言わないなつに苛立つ 何とか言えよ。いつもみたいに冗談、言ってみただけって、、、何で言わねぇの、、、気付けば『もういいわ』そう冷たく言ってその場を離れていた 家に帰った後、冷静になればいつもと違ったなつの様子がひどく気になり始めた あの言葉を言われた瞬間は自分の心が傷付いた事しか頭になくて、、、でも様子がおかしくて気になって何も言おうとしないなつに問いかけたのは俺なのに、、、 今まで一緒に過ごしてて、なつからそんな雰囲気を感じ取った事なんてなかったのに、、、 あの言葉を言ったのには何か理由があったのかもしれない、、、? そう思ったら家を飛び出し走っていた でもなつの姿はもうそこにはなかった、、、 翌日、朝から公園へ行き一日ずっとベンチにいたけどなつは現れなかった、、、 "明日は来てくれるだろうか....." そう思いながら帰る日を繰り返す それから何日経っただろう 変わらずなつには会えなくて、、、 何度か電話をしたけど機械音が流れるだけで繋がる事がなかった "今日も会えなかった、、、" そう思いながら駅を歩いていれば見た事ある後ろ姿に思わず足を早める 何とかその後ろ姿に追いつき肩を叩けばこちらを振り返った 「かずさんですよね?」 「、、、君は誰?」 「あっ、すいません。なつの、、、白雪なつの友達なんですけど、、、」 「なつくんの!?!?」 「はい。」 「そうだったんだ、なつくんは元気?」 「えっ?会ってないんですか?」 「連絡してるんだけど、、、繋がらなくてね、、、。その様子だと君も?」 「はい。電話もメッセもダメです。」 そう言って俺は項垂れる かずさんなら、、、この人なら今もなつと連絡も取っていて会っているだろうと思っていたのに、、、 もう会えないのか、、、そう思った時だった 「実はね、明日なつの家に行こうと思ってるんだけど一緒に来る?」 「なつの家に?」 「そう、何回か送った事があったから家分かるんだ。どうする?」 その問いに俺は「行きます!」と勢いよく答えた 翌日の夕方 車で迎えに来てくれたかずさんと一緒になつの家へと向かった ついたのは二階建てアパートの一階の一室 かずさんがドアをノックするけど中からはなんの反応もなくて、、、 「まだ帰ってないのかな、、、」 そうかずさんが呟いた時だった 後ろの方から足音が聞こえ振り返れば目に入るなつの姿 数日ぶりに見るなつは痩せていて顔は青白くて今にも倒れてしまいそうだった、、、 かずさんが駆け寄り声を掛けるけど一言も発しない姿に違和感を感じながらも声を掛ける 俺の姿を見た瞬間驚いた表情を見せた だけどなつが声を発することはなくて、、、 そのままなつが俺とかずさんから視線を逸らした時だった なつの体がそのまま崩れ落ちた

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