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第44話:優人side

いきなり腕を掴まれた事で驚きなつの髪を離した瞬間、俺のすぐ後にきたかずさんによってなつが母親の側から離された その後母親は大声で色々と叫んでいたが 「もう、、、こんな事やめたい、、、」 なつが俯きながらそう呟いた その姿は震えていて、、、俺はすぐになつの側へ近寄り手を握る すると顔を上げ母親の方をみて言ったんだ 「俺はもう身体を売る事をしたくない。あなたの言いなりになりたくない。」 それを聞いた母親はおもむろに近くにあった灰皿をこちらに向かって投げた。その瞬間鳴り響く大きな音。幸い誰にも当たらなかったようで安堵する。 するとそれが合図だったかのように数人の男性が入ってきた 一人の男性が母親の前に立ち警察手帳を見せて話し始める 驚いていればかずさんと目が合う。かずさんはニヤリと笑って携帯を見せる かずさんが連絡していたのか、、、ほんと頼りになる人だな、そう思った その時母親が大声で叫んだ言葉につい我慢出来ず言い返してしまった するとそれを聞いた母親は最後に 「オメガのこいつなんか愛せるわけないだろ。そんなに欲しいならくれてやるよ」 そんな言葉を吐き捨てていった、、、 頭に血が上るのが分かる 今すぐにでも追いかけて、なつがこれまで感じた痛みを味わわせてやりたい こんなにも人を憎いと思った事はない そう思うと自然と拳を握っていた でも僅かに残る理性がそれを必死に止める するとそんな手を握られた なつの方を見れば『大丈夫だよ』そう言う そんななつを俺は抱きしめた 全然大丈夫なんかじゃないだろ 今にも泣きそうな顔してるのに お前まだ体震えてるんだぞ そんな強がるなよそう思って 大丈夫なんて言うなと言ったのに なつは何が?と分からない顔をする 自分で気付かないのか? そんなに辛そうな顔してるのに、、、 それを伝えれば "まさかそんな" という顔をする でもだんだんと涙で滲んでいく目元 それを慌てて手で擦り抑えようとするなつを俺は先程よりも強く抱きしめた すると声を上げ泣き始めた その姿に今までなつが抱えてきた物の重さを思い知る しばらく泣いていたなつがふと顔を上げる 『もう大丈夫!』と少しだけすっきりした顔のなつ。目元の涙を拭い『良かった』そう呟く すると急に俯いた。その行動になるべく優しく問いかければ、何でもない!と言いながらかずさんのとこへ行こうと俺の背中をおす 気になったがかずさんにも明るく答えるなつを見て "大丈夫なのか..." そう思った そしてそのまま話をしに行く為に警察へ 部屋に案内され証拠を見せる為になつと一緒に入る それらを見せればなつの驚いた顔が微かに見えた 全てを話し終え家に帰ればなつが早速聞いてくる それに説明をすればなつが勢いよく飛び込んできた 驚けば『本当にありがとう。』そう呟く 堪らず俺も抱きしめ返す その後にかずさんにもお礼を伝えるなつ かずさんは "何もしてないよ" なんて言う でもこれまでの中でやってこれたのはかずさんのおかげだと伝えるのを聞いていれば 『僕には抱きついてくれないのか、、、』なんて言うもんだから思わず笑ってしまう かずさんのこういう所が良いんだろうな.... その日の晩ご飯は俺が作りその後は 他愛もない話をしながら3人で並んで眠った 翌朝気持ちよさそうに眠るなつの姿を見てから学校へいく用意をする 準備が終わった頃になつが起きてくる まだ少し眠そうな表情がかわいい 見送られ学校へ向かう すると後ろからクラクションがなり振り返ればかずさんが車の中から手を振っていた 『送っていくよ!』その言葉に甘えて乗せてもらう 少し話をした後に気になっている事を聞いてみた 「かずさんは、、、なつの事どう思ってますか?」 「僕にとってなつは大切な弟みたいな存在だよ。だからそう心配しないで。」 なんて言って微笑む その言葉に安心する 正直この短い間にかずさんに対する印象は良すぎた 頼りになる大人の人で俺にはないものをたくさんもっている そんな人がライバルだったら、、、敵わない そう思っていたから、、、 そう思っていたら学校に着きかずさんにお礼を伝える すると『優人くんなら僕も安心だよ。決めるのはなつだけど、、、僕はなつが君の手を取ることを願ってるから、応援してる』そう言ってくれた、、、 朝にそんな事があった数時間後、連絡があり聞けばなつの母親の事で相談があるとの事だったので夕方にまた会うことになった 学校が終わり『終わった!』と連絡すればなつからの『迎えにきたよ!』 一気にテンションが上がるのが分かる 走っていけば学校を出たすぐの所になつの姿が見えた 『なつ!!』そう呼んだ時の俺の顔はきっとだらしなく緩んでいただろう。 それ程嬉しかったんだ でも、、、かずさんとドライブ、、、してたのか、、、 かずさんからはその気はないと朝聞いていても、なつがどうなのかまだ分からないから少しの不安は残る でもうじうじしててもしょうがない そう思って『行こっ!』そう言ってなつの手をとった かずさんの所へ行けば繋がれた手をみて笑顔を見せる それに気づいてなつが離そうとするけどそんな事させないそう思ってさらに強く握った ご飯を食べた後に俺の家へ向かう 実家だと言う俺になつが手土産とかないよと慌てる中かずさんが紙袋をちらりと見せてくる さすがだな、、、ほんと、、、 家へつき中に入ろうとすればなつがどこか緊張した様子で立っていた 『親は仕事で遅くなるからいないよ』と言えばどこかホッとするなつ それに『紹介出来なくて残念』なんて言えば驚きの顔を見せる その様子にかずさんがからかいなつが少しだけ赤くなる その姿を見てさらに追い打ちをかけるように『紹介はいつかね』なんて耳元で言えば一気に真っ赤になる、、、かわいいな、、、 それに思わず自分の顔も赤くなるのが分かってさっと家の中へ入った そのやり取りの様子を既に中に入っていたかずさんが見ていた 赤くなる俺を見てニヤニヤとしている かずさんすごく落ち着いた大人な人と思っていたけどそんな事ないのかもしれない、、、そんな事を思い始めた

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