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第44話:優人side

母親はいきなり腕を掴まれた事で驚いた表情を見せたが、すぐに俺の手を振り払った すぐ後にきたかずさんによってなつは母親の側から離されていた その後母親は大声で叫びながらなつに近付こうとした その瞬間かずさんがなつの前に立ちはだかり阻止をする なつを見れば震えていて、、、俺はすぐになつの側へ近寄り手を握る するとなつが震えながらも母親に1枚の紙を手渡した [俺はもう身体を売る事をしたくない。あなたの言いなりになりません。] 見た瞬間母親はその紙を破り捨てながら懲りずに叫び続けた。 その内容に我慢出来ずに声を荒らげてしまう それでも尚、言葉続ける目の前のこの女に思わず拳を握りしめる 何とか耐えていればその手をそっとなつの手が包んだ 思わず視線をなつに向ければ、あれだけの言葉を浴びせられ傷ついているのに、それでも俺を気遣う姿にたまらず抱きしめた いくら母親でも自分の子供を物のように扱うこの女を到底許す事などできない なつのこれまでの苦しみや辛さを同じ、いや、それ以上に与えてやりたくてしょうがない でもなつは優しいから、、、そんな事はきっと望まないだろう だから俺がするのはここまで するとタイミングよく入ってきた男性達 一人の男性が母親の前に立ち警察手帳を見せて話し始める 驚いていればかずさんと目が合う。かずさんはニヤリと笑って携帯を見せる かずさんが連絡していたのか、、、ほんと頼りになる人だな、そう思った 母親が連れていかれる姿を見ていれば 「お前なんてやっぱり産むんじゃなかった」 そんな言葉を吐き捨てていった、、、 頭に血が上るのが分かる こんなにも人を憎いと思った事はない そう思うと自然と再び拳を握っていた でも僅かに残る理性がそれを必死に止める するとそんな俺をなつが抱きしめた そんななつの背に手を回し抱きしめ返す しばらくそうしていればなつがメモを取り出し文字を書いていく 近くにきていたかずさんと静かに見守っていれば 〈2人のおかげでこの地獄から抜け出す事が出来ました。本当にありがとう。俺はもう大丈夫。〉 そんな言葉が書かれていた その顔はどこかすっきりしていた 3人外に出れば青空が広がっていて なつに目をやれば深呼吸をしていて、目が合えば笑顔を向けてくれる その姿に俺も笑顔を見せた そしてそのまま話をする為に警察へ 部屋に案内され、俺も話をする為に一緒に入り全てを説明する 集めた証拠を見せればなつの驚いた顔が微かに見えた 話が終わり、驚きで戸惑っているなつを何とか車まで移動させれば早速聞いてくる 軽く説明をすればさらに驚いた表情をするけど、すぐにペンを持ち始めるからそれを止める 本当ならあの日救えたはずなのにそれが出来ずにさらに深い傷を負わすことになった事への罪滅ぼしみたいなものだった だから、、、お礼なんていいんだよ。 その後にかずさんにも視線を向けたなつにかずさんは "何もしてないよ" なんて言う だけど、これまでやってこれたのはかずさんのおかげだと伝える様子に思わず俺まで涙ぐんでしまった その後は3人で夕食を食べ、かずさんのご好意に甘えて泊めてもらう 他愛もない話をしながら3人で楽しく過ごした 翌朝起きれば少し静かな様子に不思議に思ってリビングへ行けばソファでなにやら考え込んでいるなつの姿があった 声をかければ思っていた以上に驚いた事でこっちも驚いた 少しだけ、浮かない表情のなつを気にしながら準備を終わらせ学校へ向かった それから数日後の事だった かずさんからいきなりの連絡 [なつ、ヒートきた。すぐ来れそうか?] そのメッセージに俺はかずさんに電話をかけながら走りだした

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