4 / 50
第4話
深夜12時。提灯をぶら下げて、社へ続く階段を上っていく要についていく。
周りは竹藪で、笹の葉がゆれるサラサラという音が竹林の中をこだましている。
緊張を隠すように、大きく一度息を吸い込む。
「大丈夫ですか?」
要が俺の手をぎゅっと握る。
「うん」
階段を上り切り、重く閉ざされた社 の扉を要が開ける。
中へ入ると、その光景に驚いて思わず足を止めた。
水面がずっと続いている。空に瞬く星をそのまま水面が写し取り、地面も夜空のようだ。
確かに建物の中に入ったはずなのに、どこまでも続く水面と星空が広がっている。
まるで宇宙のような空間に、白く光る観音開きの扉と、東屋 が浮かんでいる。
「すごいな。神話の世界って感じだ」
バランスを崩さないようにして扉へ続く飛び石を渡っていく。
「俺も初めて来た時は、見惚れてしまいました」
扉は三メートルくらいの高さがあるだろうか。まるで門のような扉に巨大な閂がかけられている。
なるほど、閂という役職名はこれから来るのだろう。
扉の隣にある東屋に、立派な寝所があった。こっちもなるほど、と思う。
「じゃあ、開けますね」
「うん」
要が閂を動かす。力がいるのか、腕の筋肉がもりあがる。
この後、あの腕に抱かれるのかと思うと、胸がドキリとした。付き合いたてのカップルでもあるまいし、と恥ずかしくなる。
閂がはずされ、扉がゆっくりと開かれる。
まばゆい光とともに突風が体を駆け抜けた。
扉の向こうも夜空だった。雲が浮かんでいるのが見える。向こうの世界は上空らしい。
風は懐かしい匂いを運んできた。人の気配を感じる。
「う・・・ぐっ・・・・」
風を受けると要が腹を抑えてうめいた。痛いのだろう。眉間にしわが寄っている。
そのまましばらくこらえていると、風がやんだ。
それを見計らって、要が再び閂をかける。
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
要の息があがっている。大きな体が痛みに震えているようだ。
「大丈夫か?」
「けっこう、厳しいです」
息を整えると、要が姿勢を正した。
「でも、やっと、抱ける」
掴まれた腕がぐっと引かれる。そのまま寝所に連れていかれ、押し倒される。
「蒼・・・」
名を呼ぶ要の目が怪しく光る。欲情しきった雄の目だ。我慢できないのか、唇からこぼれ出た唾液が光った。
「んっ・・・あぁ・・・・はっ・・・・」
執拗にからめとられる舌から逃れて、なんとか息をつく。
「あぁ・・・」
乳首をちゅっと吸われると、あそこが固くなるのを感じた。
「蒼、いっちゃダメですよ」
「う・・・・」
要のそれも大きくなって、俺の股に押し付けられる。その大きさに愕然とする。人間の比ではない。こんなもの、入るのだろうか?
「おっきすぎる・・・・」
「大丈夫、蒼の体がメス型になれば、すんなり入りますよ」
「メス型?」
「説明は後で。今は、俺に抱かれることに集中して」
「んっ・・・ひゃ・・・・」
要のその先端が少し入っただけで、声がもれる。
そのまま先端だけが出たり入ったりを繰り返す。
「ああ・・・蒼・・・濡れてきました」
「え?な・・・なに?」
「入りそう」
気が付けば、俺の穴からぐちゅぐちゅといやらしい音が聞こえてくる。そこから垂れる液がふとももへつたって流れる。
「ああああ!」
要の巨大なそれがぬぷっと入ると、快感がおしよせる。
「いっぱい・・・無理・・・おっきい」
「蒼、力抜いて。ぎっちぎちです。初めての時を思い出しますね」
「は・・・んん・・・・あぁ」
再び乳首を吸われると体がのけぞった。
そそり立つ俺の先端を要が指で塞ぐ。その指の感覚も快感で思わずイキそうになる。
「要、はやく・・・俺・・・もたない」
「じゃあ、残り半分、一気にいれますよ」
「あああああああ!」
半分、うそ?と思うと同時に、一気に突き上げられる。奥までつかれる快感で悲鳴があがる。
くちゅ、くちゅ、という音と共に、要のそれがなんども奥を責める。
「蒼・・・くっ・・・いきます」
「ひゃ・・・ああああああ!」
要の熱い液が注がれると、体に閃光が走った。頭から足の先まで、熱い何かが通るような感覚に襲われる。全身が快感で痙攣する。
要が抑えていた手を離すと、俺も激しく噴き上げる。
それと同時に、霧が霧散するように俺から出たはずだった精液が空中で蒸発し、キラキラと輝いて消えた。
「な、なにこれ!」
びっくりして、思わず自分の股間をみる。
「浄化ですね」
「まじか・・・・あ、要、黒いの無くなってる!」
要の腹にあったどす黒い痣のようなものが無くなっていた。
「すごいですね。二百年ため込んだ邪気が一回で消えましたよ」
「そ、そっか。よかった」
一気に緊張がとけて、崩れるようにして、布団に背中から落ちる。
「ちょ・・・まった・・・無理・・・」
「三百年待ちました。これで終わりなわけないでしょう?」
要が俺の足をぐいっと力任せに開くと、自身のそれをもう一度押し込んできた。
「ま・・あぁ・・・ひゃぁ・・・・おっき・・・・」
また腹の中が圧迫される。これでもかというほどの存在感に意識が遠のく。
「蒼・・・メス型の蒼、たまらない」
パンパンパンと要が容赦なく突き上げる。
「ひゃ・・・っん・・・あああああ!」
「トロトロですよ。すごい、俺のを飲み込んでく」
「やめ・・・・無理・・・もう無理・・・・」
「無理じゃないですよ。夜明けまで四時間あります。たっぷり犯してあげますからね」
「ああぁん・・・あぁ・・・あぁん・・・・あぁ・・・・あぁ・・・・だめぇ」
ぐちゅぐちゅ。パンパンパン。
いやらしい音と、満天の星空、欲情しきった要の顔、俺の喘ぎ声。
今、ここにあるのはそれだけだ。他の音は何も聞こえない。俺たち以外の何者の気配も感じない。
要からほとばしる熱に浮かされる。狂おしいほどの愛を隠さない要に恐怖を覚えて鳥肌が立つ。俺はこの世界でどんなふうにされてしまうのだろう。そんな不安に駆られながらも、快楽に溺れていく自分が怖い。
ともだちにシェアしよう!