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第4話

深夜12時。提灯をぶら下げて、社へ続く階段を上っていく要についていく。 周りは竹藪で、笹の葉がゆれるサラサラという音が竹林の中をこだましている。 緊張を隠すように、大きく一度息を吸い込む。 「大丈夫ですか?」 要が俺の手をぎゅっと握る。 「うん」 階段を上り切り、重く閉ざされた(やしろ)の扉を要が開ける。 中へ入ると、その光景に驚いて思わず足を止めた。 水面がずっと続いている。空に瞬く星をそのまま水面が写し取り、地面も夜空のようだ。 確かに建物の中に入ったはずなのに、どこまでも続く水面と星空が広がっている。 まるで宇宙のような空間に、白く光る観音開きの扉と、東屋(あずまや)が浮かんでいる。 「すごいな。神話の世界って感じだ」 バランスを崩さないようにして扉へ続く飛び石を渡っていく。 「俺も初めて来た時は、見惚れてしまいました」 扉は三メートルくらいの高さがあるだろうか。まるで門のような扉に巨大な閂がかけられている。 なるほど、閂という役職名はこれから来るのだろう。 扉の隣にある東屋に、立派な寝所があった。こっちもなるほど、と思う。 「じゃあ、開けますね」 「うん」 要が閂を動かす。力がいるのか、腕の筋肉がもりあがる。 この後、あの腕に抱かれるのかと思うと、胸がドキリとした。付き合いたてのカップルでもあるまいし、と恥ずかしくなる。 閂がはずされ、扉がゆっくりと開かれる。 まばゆい光とともに突風が体を駆け抜けた。 扉の向こうも夜空だった。雲が浮かんでいるのが見える。向こうの世界は上空らしい。 風は懐かしい匂いを運んできた。人の気配を感じる。 「う・・・ぐっ・・・・」 風を受けると要が腹を抑えてうめいた。痛いのだろう。眉間にしわが寄っている。 そのまましばらくこらえていると、風がやんだ。 それを見計らって、要が再び閂をかける。 「はぁ・・・・はぁ・・・・」 要の息があがっている。大きな体が痛みに震えているようだ。 「大丈夫か?」 「けっこう、厳しいです」 息を整えると、要が姿勢を正した。 「でも、やっと、抱ける」 掴まれた腕がぐっと引かれる。そのまま寝所に連れていかれ、押し倒される。 「蒼・・・」 名を呼ぶ要の目が怪しく光る。欲情しきった雄の目だ。我慢できないのか、唇からこぼれ出た唾液が光った。 「んっ・・・あぁ・・・・はっ・・・・」 執拗にからめとられる舌から逃れて、なんとか息をつく。 「あぁ・・・」 乳首をちゅっと吸われると、あそこが固くなるのを感じた。 「蒼、いっちゃダメですよ」 「う・・・・」 要のそれも大きくなって、俺の股に押し付けられる。その大きさに愕然とする。人間の比ではない。こんなもの、入るのだろうか? 「おっきすぎる・・・・」 「大丈夫、蒼の体がメス型になれば、すんなり入りますよ」 「メス型?」 「説明は後で。今は、俺に抱かれることに集中して」 「んっ・・・ひゃ・・・・」 要のその先端が少し入っただけで、声がもれる。 そのまま先端だけが出たり入ったりを繰り返す。 「ああ・・・蒼・・・濡れてきました」 「え?な・・・なに?」 「入りそう」 気が付けば、俺の穴からぐちゅぐちゅといやらしい音が聞こえてくる。そこから垂れる液がふとももへつたって流れる。 「ああああ!」 要の巨大なそれがぬぷっと入ると、快感がおしよせる。 「いっぱい・・・無理・・・おっきい」 「蒼、力抜いて。ぎっちぎちです。初めての時を思い出しますね」 「は・・・んん・・・・あぁ」 再び乳首を吸われると体がのけぞった。 そそり立つ俺の先端を要が指で塞ぐ。その指の感覚も快感で思わずイキそうになる。 「要、はやく・・・俺・・・もたない」 「じゃあ、残り半分、一気にいれますよ」 「あああああああ!」 半分、うそ?と思うと同時に、一気に突き上げられる。奥までつかれる快感で悲鳴があがる。 くちゅ、くちゅ、という音と共に、要のそれがなんども奥を責める。 「蒼・・・くっ・・・いきます」 「ひゃ・・・ああああああ!」 要の熱い液が注がれると、体に閃光が走った。頭から足の先まで、熱い何かが通るような感覚に襲われる。全身が快感で痙攣する。 要が抑えていた手を離すと、俺も激しく噴き上げる。 それと同時に、霧が霧散するように俺から出たはずだった精液が空中で蒸発し、キラキラと輝いて消えた。 「な、なにこれ!」 びっくりして、思わず自分の股間をみる。 「浄化ですね」 「まじか・・・・あ、要、黒いの無くなってる!」 要の腹にあったどす黒い痣のようなものが無くなっていた。 「すごいですね。二百年ため込んだ邪気が一回で消えましたよ」 「そ、そっか。よかった」 一気に緊張がとけて、崩れるようにして、布団に背中から落ちる。 「ちょ・・・まった・・・無理・・・」 「三百年待ちました。これで終わりなわけないでしょう?」 要が俺の足をぐいっと力任せに開くと、自身のそれをもう一度押し込んできた。 「ま・・あぁ・・・ひゃぁ・・・・おっき・・・・」 また腹の中が圧迫される。これでもかというほどの存在感に意識が遠のく。 「蒼・・・メス型の蒼、たまらない」 パンパンパンと要が容赦なく突き上げる。 「ひゃ・・・っん・・・あああああ!」 「トロトロですよ。すごい、俺のを飲み込んでく」 「やめ・・・・無理・・・もう無理・・・・」 「無理じゃないですよ。夜明けまで四時間あります。たっぷり犯してあげますからね」 「ああぁん・・・あぁ・・・あぁん・・・・あぁ・・・・あぁ・・・・だめぇ」 ぐちゅぐちゅ。パンパンパン。 いやらしい音と、満天の星空、欲情しきった要の顔、俺の喘ぎ声。 今、ここにあるのはそれだけだ。他の音は何も聞こえない。俺たち以外の何者の気配も感じない。 要からほとばしる熱に浮かされる。狂おしいほどの愛を隠さない要に恐怖を覚えて鳥肌が立つ。俺はこの世界でどんなふうにされてしまうのだろう。そんな不安に駆られながらも、快楽に溺れていく自分が怖い。

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