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第11話
披露目の儀式前日、左京も右近も儀式に参列するための自分達の用意があるそうで今日はいない。久しぶりに要と二人だけだ。
俺たちも午後から最終打ち合わせがあるのだが、午前は予定がないので山を散歩することにした。
あのあと幾度か山歩きをしたものの、四季桜の群れは見つからず、雪音が「時より迷い辿りつくことがあるという神の庭だったのでは?」と言ってくる始末だ。
そういうたぐいのものがあるかどうかは知らないが、どうしてももう一度見たい。俺がそう言うと、要は快く付き合ってくれた。
いつも通り赤松までは辿りつく。
ここから先がどうしても思い通りにいかない。
「ん?アジサイかな?」
大きな葉をつけた一群に気づく。アジサイがたくさん咲いている。
山で咲くアジサイは勢いがすごい。一群は俺の背丈をゆうに超えるほどに育っている。
「お、コアジサイもある。珍しいな」
さっそく筆と白紙の本を取り出す。
数種類のアジサイが咲いていたので、描き終わるのに時間がかかる。
ピューピュー
気が付くと、要が竹笛を吹いていた。
「要も作れるの?」
「はい。鬼兵隊の訓練生だったころ、左京がよく作って吹いていたので、俺も覚えました」
宝物庫で読んだ本に確かあった。鬼兵隊は国の警護を担う警察みたいな組織だ。
要はどうやらそこで左京と右近と知り合ったらしい。人でいう十五歳くらいの年齢で訓練生になれるから、ずいぶん若い頃の話なのだろう。
「俺にもやらせて」
要から借りて吹いてみる。
スースー
「音が出ないな」
「コツがいるんですよ。上唇を下唇に乗せて、薄く横へ唇を引くんです」
スースー
「難しいな。雪音は上手に吹いてたのに」
「あぁ、雪音さんか」
含みのある要の物言いに、おや、と思う。確か、雪音は弟に作ってやったと言っていた・・・・
もしかして、雪音と左京って兄弟?
「兄弟で番ってなれるの?」
「え?番ですか・・・・なれますね。あ、でも、平民だけですね。氏族は兄弟の番はご法度なはずです。子孫繁栄とは真逆の行為ですし、特に妖術が使える血の持ち主同士だと、人間のように子供に異変があるみたいです」
「そっか・・・」
「どうしました?」
「いや、なんでもない。描けたから次に・・・・あ!あれ、陽だまりだ!」
アジサイの葉が茂った向こう側に陽だまりが見えた。
「蒼、走ると危ないですよ」
焦る気をおさえて、陽だまりの方へ進んでいく。前回、四季桜を見つけた時も、山に光が指している場所を目指した時だった。胸の期待が膨れ上がる。あってくれ、頼む!
視界が開けると・・・・あった!四季桜の群れ!
「へぇ・・・・これは綺麗ですね」
俺の後から開けた場所まで来た要が感嘆のため息をはく。
「ここに、七色の四季桜があるんだよ」
嬉しくて走り出してしまう。
「ほら、これ・・・ん・・・要?」
四季桜の下まで来て振り返るが、要は少し遠くで止まったままだ。
それに、隣に黒い影が出ている。どうしたのだろう?
慌てて引き返す。
「どうしたんだ?」
「これ以上近づくと影が暴走しそうです」
要が何かを抑えるように、眉間に皺をよせている。
「え?」
「俺の影は本来、俺と同じ場所には存在できないんです。俺から見えない場所でしか発現できません。術には制約がつきものなんで。でも、今、勝手に出てきてしまって、制御できません。どうやら、気脈の力が強すぎるみたいですね。」
「そうなのか・・・確かに、庭のスズランよりずっと大きいもんな」
要の額から汗が流れている。それほど体に異変を感じているということだろう。
汗を拭いてやろうと、懐から手ぬぐいを出す。
腕を顔へ伸ばすのと同時に、後ろからぎゅっと抱きしめられる。
影だ。影が俺を抱きしめている。
「どうなってるんだ?」
「ここから離れましょう」
「うん」
しかし、体が動かない。影が俺を羽交い絞めにしている。
影と言っても要だし、邪険にすることもできず困っていると、影の手が衣の中へ入ってきた。
「ひゃっ」
「どうしました?」
前を行こうとしていた要が振り返る。
ことの事態に気が付いて目を見開く。
影の手の強さがどんどん増していく。乳首をぐりぐりやられる感触は、要にされるのとまったく一緒だ。
「か・・なめ・・・止めて・・・んっ」
手が下半身へ移動する。これじゃまるで・・・・
「蒼・・・・」
本物の要が近づいてくる。その顔を見てはっとする。こいつ、欲情してる。
「んっ」
濃厚な口づけがふってくる。
「はぁ・・・無理・・・こんなの・・・」
影に体をまさぐられ、本体に口を弄ばれる。
「おい・・・まった・・・かなめ・・・」
要の手も衣の中に入ってくる。
立っていられなくて膝を地面につく。
「はぁ・・・ああ・・・ん・・・・あっ・・・・」
要の指と影の指が入ってくる。
クチャクチャといやらしい音が響く。
「ああ・・・いや・・・まった・・・なにして・・・」
要の大きくなったソレが入ってくる。と同時に影のアレの先も穴の入り口に入ってくる。
前に要、後ろに影、挟まれて身動きができない。
「っ!!・・無理・・・無理・・・かなめ!」
大きな二本の要が体の中へぐいっと入ってくる。
「壊れる!・・・抜いて!・・・ひゃあん・・・っ」
息も絶え絶えに要にしがみつく。
「ああ・・・・蒼・・・すごい・・・影の気持ちよさも俺に帰ってくるから二倍の気持ちよさです」
「ああああああ・・・・・動くな・・・やめ・・・ひゃぁぁぁぁぁ」
ゆさゆさと揺れ始めた二人に体が悲鳴をあげる。
「蒼、たまらない」
俺の目からこぼれた涙を要がペロリと舐める。
「ああんああんああん」
奥をつかれる度に声がでてしまう。だらしなく口から涎がたれる。
「くっ」
要が限界を迎えて俺の中に欲を吐き出す。影からは出ないらしい。
やっと二つの巨根から解放されて、崩れ落ちる俺を要が抱き留める。
暴走は止まったのか、影はするりと主の影の中へ消えていった。
「ひどすぎる・・・・」
「すいません。でも、できちゃいましたね、二本挿し。蒼も気持ちよさそうでしたし。この場所、いつでもこれるようにしましょう」
「ふざけるな!」
要に抱き上げられながら、ボカスカ叩く。
とんでもないことになってしまった。なんて恐ろしいんだろう、影の妖術!
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