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第27話
「俺は肝がつぶれるかと思ったぞ」
「どうしてです?」
腹が減ったのか、出された食事に要ががっついている。
格闘技大会が終わった後は、町中が祭りのように賑わい、食事処もどこも満席だ。
俺達は、閂御用達の店に連れていかれて、夕餉と酒を味わっている。
啓介が好んでいる店らしく、雰囲気は人の世界で言うところの居酒屋に似ている。
ガヤガヤとした雰囲気が、ショッピングがてら寄ったカフェとは大違いだ。
テーブルには小皿料理が所狭しと並んで舌を飽きさせない。華の子ども達も色々食べれて楽しそうだ。
「どうしてって、あんな戦い、俺は初めて見た」
「そう言われると、蒼はああいうの初めてでしたね。俺はもう子供の頃からなんで、なんとも思いませんけど。春桃国の試合は殺しは無しですし、遊びみたいなもんです」
そんな要を見てため息がでる。
育った差というか、転生の仕方の違いがはっきりと出ている。
こんな時、要は要なのだがやっぱり以前の要ではない、と感じてしまう。
少し離れた所で食事をしている雪音と左京も普段通りだ。
俺だけが、なんだかもやもやとして気が晴れない。
華も普通にしているから、きっと時が経てば慣れるのだろうけれども。
「どうかしました?」
「いや、無理はするなよ」
「はい。大丈夫ですよ」
「今日はよく食べるな。食べ盛りの高校生みたいだぞ」
気を取り直して、食事に箸をつける。
どの皿も少し濃い目の味付けだ。戦いが終わった後の戦士たちにはいいのかもしれない。
「戦いってエネルギー使うんですよ。アドレナリンもたくさんでますし」
「へぇ」
「興奮が収まらないんですよね。試合の後って」
要の目がギラついている。箸を止めて、俺を見る目が怪しく光る。
はぁはぁという荒い息遣いを感じるのは気のせいだろうか。
「や・・・やめろ・・・飯を食え!ほら、もっと食えよ」
「はい。蒼も食べたいですけど、後にします」
🔷
「あっ・・・やっ・・・」
パンパンパン
激しく突き上げられて息がままならない。
「蒼、蒼、俺、すいません、我慢できない」
「あっ・・・またっ・・・中、もういっぱい」
「出します」
「ああっ」
何度目だろうか。要の精液が腹から漏れ出して股の間がぬるぬるとしている。
「はぁはぁ・・・・ちょ・・・まって」
「無理です」
再び大きくなったソレが容赦なく中へ入ってくる。
「あっ・・・あっ」
「蒼、かわいい。そんなに締め付けないで。ほしいって言われてるみたいです」
「そんな・・・こと・・・・言ってな・・・あっ、ダメ、それ、ダメ」
「好きでしょう?」
体を持ち上げられる。要の膝の上に座るようなかっこうをさせられる。
まるで串刺しだ。体を上下にゆすられると、深く抜き差しさせられた要のソレが中をひどく擦る。
乳首をペロっと舐められると、体がビクっとのけ反る。
「あああっ」
「ん、またイク?」
「ひゃっ」
「かわいいですよ。好き?俺のこと好き?」
「あっ・・・ひっ・・・」
「鬼の俺も好きになってください」
「なに・・・言って・・・」
「蒼の体は鬼の俺を大好きですよ。大きいの好きでしょう?」
「やめろっ・・・」
「あぁ、中締まってる。感じてますね。ほら、俺のを離そうとしない。蒼、いい?気持ちいい?」
「やっ」
「言って、ほら。もっと足を広げて奥に入れたら、言えるかな?」
両足をさらに広げられ、高く持ち上げられる。腹の中まで要が入り込んでくるようだ。
「どうです?もっと?もっと深く?」
「無理、もう無理」
「じゃあ言って。俺が好きだって。大きいのが好きだって」
「好き・・・好きだから」
「何が好きです?」
「要・・・・要が好き」
「俺の何がすき?ね、ほら、もっと奥にする?」
「ダメ、無理、好きだから・・・大きいの好き・・・・大きいの好きだから」
「ほんと?じゃあ、たくさんあげますね」
「ひっ」
ベッドに押し倒されて、思い切り抜き差しされる。
尻を少し持ち上げられて、体を要の方へ引きずられると、さらに奥へと入ってくる。
クチュクチュ、パンパンパン。
いやらしい音が止まらない。
「ああん・・・ああっ・・・やっ・・・かなめぇ」
「ああ、やめられない。蒼、やめられないです」
「もう・・・無理・・・・かなめ・・・・」
「ダメです。許さない。まだ全然足りない」
🔷
「おまえ・・・さんざんやっただろ」
「そうなんですけど・・・」
後ろから抱き着いてくる要がうっとおしい。
もう寝たいというのに、さっきから乳首をいじられたり、もう大きくはならないアレを撫でられたりして、一向に眠れない。
「蒼、俺のこと好きですか?」
「んー・・・眠い」
「蒼?」
「好きだよ。今さらだろ」
「鬼の俺も好きですか?」
「好きだから。眠らせてくれ」
「蒼、俺、真剣に聞いてます」
要が語気を強めたのでびっくりする。
仕方なく後ろを向いて要と向かい合わせになると、要の表情は真剣で泣きそうな顔をしていた。
「どうしたんだよ?」
これが裸同士でベッドに寝転んで、抱き合っている顔だろうか?
何が不満だというのだろう。
「・・・・」
「黙ってたらわからないだろう?」
よしよしと頭をなでてやると、優しい口づけがふってきた。
そのまま離れると思ったら、舌が侵入してくる。
「んんっ・・・・要?」
唇が離れると今度はぎゅっと抱きしめられる。要の顎が額に付く。
「もっと、喜んでくれると思ってたんです」
「何?」
「試合で優勝したら、かっこいいって喜んで、ちょっと顔を赤くしてくれるかなとか思ってたんですよ」
「ん、かっこよかったぞ」
「蒼は喜んでくれませんでした」
「それは・・・・喜ぶってより、心配で・・・」
「俺との差を感じましたよね?」
「それはまぁ・・・・」
「やっぱり」
「でも、それは好きかどうかとは関係ないだろ。仕方がないことだ。お前は鬼としてこの世界で生まれて育って、俺は人として死んですぐこっちへ来たんだから」
「わかってます。でも、思い通りにならなくて、不安なんです」
「おまえなぁ、さんざん人を抱いといて、思い通りにならないってことはないだろ。俺はいつもお前の思う通りにさせられてる気分だ」
「でも、また、俺から離れていく」
「留学のこと、まだ根に持ってるのか?」
「俺は一秒だって離れたくないのに、蒼は平気なんですよね」
「それは・・・・。んー、でもさ、いい経験になると思うんだよ。他の国を見て、他の鬼を知って、そうやってなじんでいけば、今日みたいな差も減っていくだろう?」
「はい・・・」
「鬼の人生は長いんだから、そう不安がるなよ。俺がお前から本当に離れることなんて、もう絶対ないんだから」
「俺のこと好きですか?」
要の目がまっすぐにこちらを見てくる。
どこまで深く俺を愛しているのだろうか。
返したい、と思う。愛された分の愛を返してやりたい。
「好きだ、要」
そっと俺から口づけすると、要はようやくいつものさわやかな笑顔を浮かべた。
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