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第29話
「建物の中はあったかいんだな」
「窓も二重になってますし、暖炉がありますからね」
繁華街にはいくつもの店が並んでいた。カフェ、服屋、雑貨屋といろいろある。
俺達は気になった店に入って、買い物を楽しんだ。たまにはこういうのもいい。
この国では俺を知っている鬼がいないから、普通の客として対応されるのもいい。
もちろん、時折視線を寄越される。たぶん、美しいメス型として見られているのだろう、要がやたらくっついて、自分の物アピールをするから、そういうことだと思う。
「白い花がモチーフになってる物が多いな。有名な花なのか?」
「雪花 っていうんです」
「そうなのか。実物が見てみたいな」
「咲く時期は短いですし、冬白国の南の雪が降らない時期がある地域のみで咲くので、見るのは難しいですね。大学の温室ならあるかもしれません」
「へぇ。そんな花があるのか。ユリに似てるな」
「あ、これどうです?ピアス、こっち来てから着けてないですよね」
「雪花のピアスか・・・俺がつけたら変じゃないか?」
「鬼の世界ではまったく変じゃないですよ。むしろすごく似合ってます。氷の女王って名前を思い出しますね」
「そんな風に呼ばれていた時期もあったな、女王に、姫に、俺につくのはとんでもない呼称だな」
「これ買いましょう。着けてくださいよ」
「まぁ、お前が気に入ったならいいよ」
要が会計を済まして戻ってくる。店員がにっこり笑って微笑んでくる。ピアスが売れたのがそんなに嬉しいんだろうか。
「蒼、着けてください。そこに鏡あるんで」
「もう着けるのか?」
「はい。この国にいる間は、俺だと思って毎日着けてくださいね」
「しょうがないな」
鏡を見ながら耳に付ける。耳に花なんて、どう考えてもメス型用だなと思うが、髪に隠れてあまり見えないし、まぁいいだろう。
「蒼、見せて」
要が俺の髪をかきあげてピアスを見る。顔が近い。
「可愛いです」
「ちょっ・・・んっ」
そのまま口づけされる。長くなりそうなキスを強引にひっぺがす。
店の中だということを忘れているのだろうか。ほら、みろ、店員がこっちを見て笑ってるじゃないか。
「バカ」
「蒼、唇冷えてますね。暖かい飲み物でも飲んでから戻りましょうか」
要が離れようとしないから、仕方なく腰を抱かれた状態で店を後にする。
恥ずかしいことこの上ない。
🔷
家に戻ると、荷解きが終わっていた。
秀英以外にメス型と思われる鬼が働いている。食事の世話や掃除などやってくれる現地スタッフといったところだろうか。
部屋の間取りはそれほど広くはなかった。一階建てで、俺の部屋、雪音の部屋、秀英の部屋の三部屋とリビングダイニングの共有スペースだ。
自分の部屋へ行ってみる。畳のない部屋が新鮮だ。靴を脱がないスタイルなのも夏青国とは全然違う。ベッド、チェスト、暖炉、マット、それと、やたら大きな姿見がある。その鏡に違和感を覚えてジロジロとみる。ベッドの前にあるし、なんだかこれだけ浮いている気がする。
「蒼、こっちきて」
「ん?」
要がベッドに座って手招きしている。仕方なくそちらへ行くと、膝の上に乗せられた。
こうしてみると、やっぱり鏡が気になる。ベッドと向かい合わせにする必要があるんだろうか?
「鏡見えますか」
「見えるよ。ってか、大きくないか、この鏡?」
「はい。特注なんです」
「お前の指示か」
「そうですよ。約束事をしないといけませんね」
「約束事?」
「留学する条件です。俺の言うことちゃんと聞いてくださいね」
「なんだよ・・・・」
「毎晩、寝る前に、裸でこの鏡に映ってください」
「はぁ?何言って・・・・」
「それで、こうやって、自分のを弄ってください。俺の名前呼びながら」
「ちょ、待った、何して・・・やめっ」
足を広げられる。袴の裾から要の手が入ってくる。
「ほら、こうやって足を広げて、丸見えにしてください」
「んっ」
要の手に弄ばれて、ソレが大きくなる。
「蒼は、見られるの好きですよね、カメラがあるとすごく敏感になっていたのを思い出します」
「はっ・・・やめ・・・・」
「大丈夫ですよ。ほら、イって。汚れないっていいですね」
要の手が激しく揺れ始める。
「あっ・・・かなめ・・・・」
「そうです。俺の名前呼びながらするんですよ。いいですか?言いつけは守ってくださいね」
「あぁ、でも、こっちは汚れちゃいますね」
クチュクチュっと要がもう片方の手で穴を弄る。
「ひゃっ」
前も後ろもいじられて、顔が熱くなる。
「かわいい、蒼、かわいいです」
「んっ」
首筋を舐められる。
「はぁ・・・・あっ・・・ダメ」
「ん、イケそうかな?」
要の指が中の敏感なところを激しく擦る。外も同じように激しく上下させられる。
「あああっ!」
「いい子です。中も外もイケましたね」
ぐったりと力が抜けて、要にもたれかかる。
「毎日は・・・・無理だ・・・お前だって、無理だって思うだろ」
「仕方ないですね。じゃあ、自分でするのは週一回でいいですよ」
それを聞いて胸をなでおろす。とてもじゃないが毎日するとは約束できない。
「え?何して・・・まって・・・無理」
これで終わりだと思いきや、要に袴を脱がされる。
「まだ時間ありますし。俺のも慰めてくださいよ」
「ひっ」
無理やりうつ伏せにさせられ、大きくなった要のソレが押し当てられる。
拒否などする暇もなく、中へ入ってきたそれに体がのけ反る。
あぁ・・・頭がおかしくなる・・・こいつの発情期は収まることを知らないのだろうか。
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