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第33話
午後はひたすら温室を探検した。カーンカーンという午後の部終了の鐘がなるまで粘ったため、雪音からは苦情が山のように来たが知らん顔を通した。
帰宅するとすぐに夕食で、風呂に入って部屋へもどると疲れでどっとベッドへ倒れこんだ。
しかし、いい疲れだ。楽しい、すごく楽しい一日だ。
ベッドに大の字になる、ウトウトしてくる・・・・うっかり手を伸ばして要がいないことに気が付いた。
あの体温がいつでも隣にあると思ってしまう俺の体はすっかり慣らされたものだと思う。
枕を抱きしめる。風呂で温まった体が少しずつ冷えてきて、寒さを感じ始める。
夏青国だと、要が隣にいると暑いと思うこともよくある。冬白国でこそ一緒に寝たら気持ちがいいだろうにと思う。
「うーん」
体は疲れているのに、なんだか冷えてきてしまってうまく眠りにつけない。もともとあまり寝つきがいいほうではないし、枕が変わるとどうも落ち着かない。
「蒼」
ん?今、呼ばれたような・・・・
「蒼」
む?要の声が聞こえる・・・。俺の体は幻覚を聞くほどおかしくされているのだろうか。
「蒼、鏡ですよ」
鏡、という言葉が耳に入り、少し体をあげてみる。
ベッドの向かい。鏡だったものに要の姿があった。
「要?」
驚いてがばりと起き上がる。
鏡の中に要がいる。寝間着姿だ。要の背景が夏青国の見慣れた寝所を映している。
どうなっているんだ?
「唐栗 一族に作ってもらったんです。30分ほどですが、テレビ電話みたいになるんですよ」
「そんなものあるのか・・・異様な鏡だとは思ったけど」
「大学はどうでしたか?トラブルはなかったです?」
トラブルと聞いてうっかりビクっとなる。
周瑜たちから聞いたあの薬の話は秘密にしておかなければならない。
「大丈夫。問題ない。楽しかったぞ。今日はハシリドコロを採取して毒を取ったんだ。温室がむちゃくちゃでかくてさ、人間の時の要の植物園くらいはあると思う。午後いっぱい歩いたけど、三分の一くらいしか回れなかった。」
「へぇ」
「・・・・・」
「・・・・・」
じっとこちらを見てくる要の視線に困る。そもそも俺は口下手だし、長電話なんかしたことがないので、何を話せばいいのかわからなくなる。普段、要と二人でどうやって過ごしていただろうか。
いつもは、少し話して、要がすぐに抱きしめたり、口づけしたりしてくるから、やめろって抵抗して、そうこうしている間に服を脱がされて・・・・。思い出して赤面する。俺達は何を毎日やっていたんだか。
「蒼」
「なんだ?」
「蒼のいやらしい場所、見たいです」
「・・・・。嫌だ」
でたな変態。この鏡を作らせたのもそれが目的に違いない。俺はしない。自分でするのを見せるなんて痴態プレイはしない。
「蒼、ちょっとだけ」
甘えた声で要が言う。声に似合わず目は射貫くような強い視線だ。
「やらない。もう寝よう」
「ダメですよ」
ふっと後ろに気配を感じると、ぬらりと黒い影が立ち上がるところだった。
影はあっという間に要の姿になり、俺を後ろから抱きしめる。
するりと寝間着の中に影の手が入ってくる。
「ちょ、やめろって何してるんだ!お前がいる所では、影は出せないんじゃなかったのか?」
「俺はそこにいないので、自由に出せますね。ふふ。蒼はね、精液ためると香りが増すんです」
「はぁ?」
「俺が仕事で忙しくて三日できなかった時があったでしょう?四日目の蒼の香り、すごく魅惑的でした。オスを呼ぶ香りです」
「なんのことだよ・・・ちょ…脱がすな」
「だから、毎日出さないといけません」
「何言ってるんだよ!頭おかしいだろ!いや、おかしいの知ってるけど!やめろって」
抵抗もむなしく、強引に寝間着をはぎ取られて、下半身があらわになる。
影が俺を抱きかかえて、膝の上にのせ、両足を無理やり開かされる。
「やっ・・・・」
これでは要に丸みえだ。
「うん。よく見えます」
恥ずかしさで俺は顔をそむける。影の肩の部分に顔をうずめると、要の匂いがした。
影のくせに、要の感触そのものだ。目をつぶると、要に抱かれている時と何ら変わらない。
「あっ・・・めっ・・・・」
影の腕が俺の膝を持ち上げ、ぐいと引く、さらに尻があがる。
そのまま俺の膝をかかえた腕を折り曲げて、俺の乳首を触り始める。
影の指が乳首の根元をぎゅっとつまみ、ぐいと引っ張る。
「ひゃっ」
ぐいぐいと引っ張られ、摘ままれ、すっかりよく伸びるようになってしまっている乳首が前後に動く。
「んっ」
「あぁ、蒼、勃ってきましたね。乳首もすっかり可愛くなってますし。俺ががんばった成果ですね」
鏡の中の要がいやらしく言う。
「はっ・・・ん・・・あっ」
乳首を弄られ続ける。ジンジンと体が疼き始めるのを感じながら、止めることができない。
「あぁ、愛液がこぼれてきましたよ。穴がほしそうにヒクヒクしてます」
「か、かなめぇ・・・ああ・・・んっ」
たまらず名前を呼ぶ。
「蒼、影がやれるのはここまでですよ。俺自身が触れないのに、影に相手をさせる気はないです」
「え?だって、二本挿しの時は・・・」
「あの時は俺のも入れれましたから。でも、影だけはダメです。影に蒼の大事な部分は触らせません。乳首はまぁいいですけど」
「そ、そんな・・・」
「ほら、自分の手を使って」
要の意図していることに気づいて青ざめる。こいつはあくまで、俺にさせるつもりなのだ。
俺が自分でしているところを堪能したいのだ。
「ば、ばか!」
そうやっている間にも、乳首は弄られ続けて、俺のアレはガッツリと固くなる。
「早くしないと、乳首を弄られてイクっていうもっと恥ずかしことになりますよ?俺はそれも見たいですけど」
「うぐ・・・・」
最低だ。最低の変態だ。
仕方なく、右手で自分の固くなったアレを握る。
その感触にビクっとする。そういえば自分で触るのはいつぶりだろうか。自慰なんて行為、要がいると必要なくて、ずっとしていない。
「あれ、やり方忘れちゃいました?なら、俺がいつもやるようにさすってください」
「くそっ・・・・」
強めに握ってピストンさせる。快感が襲ってきて、思わずのけぞる。
「はっ・・・あっ・・・・んっ」
「・・・・」
要の視線が刺さる。じっとこちらを見ている。要の顔を凝視できなくて、ちらっとそちらを見ては視線を外す。
「う・・はっ・・・んっ」
「・・・・」
どうしてだろう。しばらく続けたが、うまく射精まで行かない。気持ちいいのだが、吐き出すほどまで体の快感がやってこない。
「蒼、穴もいじらないとダメそうですね」
「え?」
「本当はわかってるんじゃないですか?だって、すごい液垂れてますもん」
「う・・・」
「蒼、言うこときけないなら留学は無しですよ。オスを誘惑する香りを放ったまま大学なんていかせられません」
「卑怯だ」
「卑怯じゃないです。番として当然の管理です。それとも他の鬼に犯されたいんですか?」
「そんなことあるわけないだろ」
「じゃぁ、指使ってください」
「ぐ・・・・」
おそるおそる左手の指を穴へ持っていく。少し触れると、ネタっとした液が指についた。
濡れている。きっとものすごく濡れている。
もう諦めるしかない。こうなった要に抵抗する手段は無い。そんなことはわかりきっているのだから。
「あっ・・・んっ」
俺の穴は、俺の指を簡単に飲み込んだ。思わず声がもれる。
「いい子です。三本入れて、お腹の方に関節を曲げて。しこりを探してください。俺がいつも可愛がっているところです」
言われた通り指を増やし、気持ちがいい場所をさがす。
「ひゃっ」
コリっと指があたると、体がビクんと反応した。
「そこです。そこを擦って。あ、右手も忘れないで」
「ああん・・・ひっ・・・やっ・・・みるな・・・」
「見ないと意味がないでしょう?」
「ああ・・・・ん・・・ふあ・・・・」
知らず指の動きが早くなる。ずっと弄られ続けている乳首の快感も限界で、俺は理性を失い、ただひたすら快感を求めて擦り続けた。
「んっ・・いいですよ、蒼、俺のも見て」
鏡に視線を戻すと、要が自分のを弄っている。大きな要のソレをみると、俺の体がビクんと物欲しそうに反応する。
あぁ・・・欲しい・・・あの大きいのが本当は欲しい・・・・。
朦朧とする意識の中、要のアレを思って擦り続ける。
「あああ!」
ビュっと液が飛び、空中でキラキラと輝く。
要も絶頂を迎えたのか、俺の後ろの影が急に消えて、俺はベッドへ倒れこんだ。
「蒼、愛してます」
そう聞こえた後、鏡を見ると、普通の鏡に戻っていた。タイムオーバーらしい。
「はぁ」
大きくため息を吐き、俺は太ももへ垂れた液をふき取るべく、トイレへ向かった。
これ、たぶん、毎日だな、と思うと、頭がクラクラする。
どこへ行っても解放されない。その深い深い狂った愛に、俺は身震いした。
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