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第11話『バイトデビュー】
健と橘さんのおかげで、とりあえず、どこを刺激すると気持ちいいのか分かった。
まだまだ自信なんてないが、今日初めてのお客さんを相手にする。緊張しながらバイトの時間までを過ごすのは辛いが、今日を乗り越えなければ…
それにしても、健はすごい。あの後、もう一度健の手によってイかされた橘さんは俺がしていた時よりも気持ちよさそうで可愛い声で鳴いてた。最後の瞬間、いつものように橘さんに覆い被さり片方は前立腺を刺激し、片方は橘さんの首の下から回し抱きしめ合いながらイかせた。そこに愛があるように感じるほど、こちらが幸せな気持ちになる。
「お、いよいよデビューだな」
「うん」
「おい、緊張してんな」
「そりゃーするよ」
「今、緊張してもしょうがないって」
「そうだけど…健もいないし、俺一人で気持ちよくできるか心配」
「大丈夫だって。橘さんもイってたし」
「でも、健の時とは…」
「あーあーお前、俺と比べてどーすんだよ。お前にはお前の良さが絶対あるから大丈夫だって」
「そうかな…」
「俺だって最初っからあんな風に出来てた訳じゃないし」
「最初はやっぱ緊張とかした?」
「そりゃーもちろんしたさ」
「てかさ、何でこんなバイトしてんの?」
「お前、ホント今更なこと聞くな?」
「だって、今思ったんだもん」
「言ってなかったけど、バイト先、俺の兄貴の店なんだよ。たまたまスタッフが少なくて、俺に出来ないか聞いてきて、それでやってみたら、案外しっくり来て続けてるって感じ」
「あっ、だから見学何度もさせてくれたの?」
「そうゆーこと」
「てか、お兄さん…自分の弟にこんなバイト…」
「俺も軽くお前に言っただろ?あんな感じだった」
「さすが兄弟…」
「まぁ、合わなければ無理して続けなくていいし、気楽にいけよ」
「うん…分かった。橘さんみたいな人だったらいいな…」
「あの人は、俺が知る中で一番可愛いからな、でも可愛くなったって言った方が正解かも」
「どう言うこと?」
「まぁ、俺のテクニックかな」
「えーそうなんだ。すごーい」(棒読み)
「だから、それやめろ!」
「でもさ、練習した日に初めてお互いの顔見たんでしょ?」
「そうだな。店ではバスローブに着替えた後に、兄貴とか、この前紹介した正志(まさし)さんが目隠しして、俺たちは後から中に入る形だから、スタッフとお客さんは顔合わないようになってるからな」
「だけど初めてて感じしなかったよね」
「橘さんが、すぐ目隠ししてくれたしな。どっちにしても、相手は新規って聞いてるから、相手も初めてだから誰かと比べられることもないし、千秋らしく頑張れば悪いようにはならないよ」
「うん。頑張るよ」
「おう。初給料出たら飯奢れよ」
「え?そこは、よく頑張ったなって先輩が奢るのが普通でしょ?」
「何言ってんだよ!普通は手取り足取り誰も教えねーぞ
」
「分かったよ。俺が頑張れたら焼肉な?」
「おう。是非とも頑張って下さい」
たわいもない話をしてるうちに緊張は取れて、その日の講義が全て終わってからバイトへ向かった。
健は、相手も裸だからと言う理由でパンツのみのほとんど裸で行っていたが、筋肉でがっしりした身体にパンツが映えてカッコよかった。かと言う俺は、ピタっとしたTシャツにパンツで準備する。俺も筋肉は結構ついている方で、所謂細マチョな身体つきだが、裸になるのは抵抗があり、たくさん悩んでこの格好に落ち着いたのだ。
健からは千秋らしくていんじゃない。と言われたが、気持ちは落ち着かないでいた。
お客さんが入って呼ばれて部屋に入ると、目隠しをされた人がベットに座っていた。
俺の、初めてのお客さんは、同じ歳くらいの多分大学生。金田「かねだ」さんだ。
「金田さん。今日はよろしくお願いします」
「よろしくお願いします…あの…俺こーゆーとこ初めてで…」
「そうなんですね。ありがとうございます。緊張してますか?」
「はい…」
「手を触りますね」
「… 」
手のマッサージから始め、健に教えてもらった手順で施術をする。
「はぁはぁ…」
「金田さん気持ちいいですか?」
「はぁっ、はぃ…あっ」
敏感で感度が良く、すごく気持ちよさそうに何度かイかせることができた。
「金田さん、お疲れ様でした」
「あっありがとうございました。…なんか最初はすごく緊張したし、こんな所に来るなんて自分がおかしいのかなって、あっ、ごめんなさいっこんな所って、悪い意味ではなくて…」
「大丈夫です。続けて下さい」
「はい…その…自分が変なのかなって…男の人に触られたいって思うのは…だけど、色々考えてたけど、途中から考える余裕がなくなるほど気持ちよくなって、今日来てよかったなって」
「それなら、よかったです。誰かに触って欲しいって思うのはおかしいことでも何でもないと思います。それが、女性でも男性でも」
「また来てもいいですか?」
「もちろんです。お待ちしてますね」
「あの…またあなたを指名しても…?」
「ありがとうございます。お待ちしてます」
目隠しをする金田さんは俺のことが見えていないのに、また指名すると言ってくれた。素直に嬉しかった。
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