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第8話
「怖くは無いよ」
腹側のプックラと膨らんでいる場所を触る。
「ここに俺のものがある」
「うん。分かるぅ」
「この奥に、一杯注いであげる」
「奥にぃ?」
「ああ、俺の精液を沢山飲んで」
「待って、ちょっと待って」
「こんなに硬くしておいて、待ったは無いだろう」
四つん這いにされたまま、中心をやわやわと揉みしだかれ、はだけた着物の隙間から、胸の突起を弄られた。
「もっとその声が聞きたいな」
そう言うと、結合部を密着させたまま体を反転させた。
小さくとがった胸の突起を甘噛みし、それに反応するように、ひと際高い声が漏れた。
「いい声だな」
「中で大きくしないで」
お腹がパンパンに張ってペニスの形がくっきりと浮かび上がった。
「見える?」
背中の下に着物を丸めて詰め込まれ、上半身が少しばかり高くなる。そのままお尻が引けるのを防ぐように、土方が怜音の細腰をむんずと掴み、さらに中にあてた。
「見て」
土方が無理やり怜音の視線を腹に落とさせた。
「ほら動いているよ。奥をトントンってしてるだろ」
「恥ずかしい」
「この奥にある子宮がお前が感じる度に、下に下がってくる。だから怖がらないで感じて」
「土方様、僕、あなたが大好きです」
「俺も、お前を愛しているよ」
それからは何も話す余裕もないほどに、セックスをし続けた。何時間も奥をつかれ、声がかれるほど喘がされた。
「逝く、逝く、いっちゃう――」
「逝けよ。好きなだけ。愛している、怜音」
お腹がすけば、廊下に置いてあったおむすびを食べ、寝る以外はすべてセックスにあてた。
子宮の中に大量の精子を注ぎ込む。
◇
「おぎゃあ」
元気な産声があがった。
「僕の赤ちゃん……」
嬉しそうに抱っこする手は小刻みに震え、顔はまさに聖母のような微笑だった。
「約束の二年まであと少しですね」
「怜音……」
「なんならもう少し掛け合ってこようか」
びっくりするような発言をする土方に、沖田ですら目をぱちぱちと、何度も瞬きした。ものを知らないなぁと怜音は肩をすくめて、苦笑いするしかなかった。
「土方様」
「なんだ」
「そんなに甘い世界ではないんですよ。次に何か言えば、もう身請けに話が流れます」
少しだけ膨らんだ乳房からつんと乳首がとがり、赤ん坊が匂いにつられるように乳首に吸い付いた。
「ん、あっこら、そう言えば名前、土方様考えて下さいましたか」
「なぁ、怜音……さっきの話……」
「もう、そんなことより名前、いつまでも赤ちゃんじゃおかしいですよ」
怜音にせっつかれ、聞きたいことも聞けないまま、土方は着物の袂から一枚の紙を出した。
紙には【礼緒】と書いてあった。
嫌そうな顔をする怜音に、沖田も同情した。
「一応聞きますね。これ、なんて読むんですか」
怜音がそう言うと礼緒 だと、土方は弓なりに口をカーブさせ、はっきりと言った。
「却下です。わかりづらいですよ」
ん? 首をかしげる土方に沖田が横から声をかける。
「どっちを呼んでいるか分からないじゃないですか、という意味だ。本当にバカな人ですね」
「でも名前は大切なものだ」
土方がはっきりきっぱり言い切った。
「それはそうだが、他にもあるだろう」
「それしか思いつかん」
土方の声が存外不安そうで、周りは時が止まるように、静かだった。
「土方さん……」
「なぁ、総司、思いつかないんだ。呼びたい名前が、それしかないんだ」
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