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第49話

 閉められたドアに拒絶を感じた。 「…碧、部屋入ろっか」 「うん…」  耀くんがドアを開けてくれて自室に入ると、さっきは気付かなかった布団が目に入った。  耀くん、泊まってってくれるって言った。  嬉しい 「さっきおばさんと何の話してたの?」  耀くんが僕をベッドに座らせながら訊く。 「え? あ…そうだ、お母さん。お母さんが、あの…、僕が…」  言いづらい。てゆーか恥ずかしい。  …覚えてない、し…  黙って俯いた僕を、隣に腰掛けた耀くんが覗く。  そしてくすっと笑った。 「もしかして、お前が俺に抱きついて寝てた話?」 「!」  思わず耀くんを見た。耀くんは何でもないような顔をしてた。 「碧が俺をがっつりホールドしたところにノックされて、そのままおばさんが入ってきたから、もうどうしようもなくてさ。でも、お前覚えてないだろうけど、今までにも碧が風邪ひいて俺が見てた時、ああいうことあったから」 「え…?」  ゆっくりと僕の頭を撫でながら、耀くんは低く、柔らかい声で懐かしそうに言った。 「小学校の頃とか、お前が学校で熱出して、でもおばさんがどうしても帰れなくて俺がおぶって帰ってきて。みんなで順番に見てたけど、寝てるお前の横で本読んでるうちにいつの間にか服掴まれて動けなくなって、結局俺がずっと見てることになったりさ」 「…そんなん知らない…」 「やっぱり覚えてないか。まあ、そんな感じのことが何回もあったから、おばさん的には「またか」って思ってるぐらいだと思うよ」  だから大丈夫、と耀くんが笑う。僕は記憶にない自分の行いに更に恥ずかしさが増した。  そこにトントンとドアがノックされて、母が耀くんにシャワーを勧めて、父のパジャマとタオルを持ってきた。僕には濡れタオル。 「じゃ、耀くん。シャワーいつでもどうぞ。碧は着替えだけね」  そう言って母は出て行った。耀くんは僕に濡れタオルを渡して、もう一度ベッドに腰掛けた。 「…さっきの続きなんだけどさ、そんな風に碧が俺の服を掴んだり、もたれかかって寝たりして動けないとか、そういうの今まで色々あって、それが俺は全然嫌じゃなかったんだ。むしろ可愛いなぁっていつも思ってた。だから、可能な限りそのままにしてた。普通は相手がすっかり眠ってしまったら離れるものだって言われたけど、眠ってる碧を見ていたかった。それに碧は他のやつにはそういうことしなかったから、優越感みたいなものもあったし」  耀くんが僕の頭をゆっくり撫でる。 「ほんと、俺、いつからお前のこと好きなんだろ…」 「よう…くん…」  そんなこと言われたら、また身体が熱くなる。 「はは、可愛いなぁ、碧。やばい、可愛すぎて。泊まることにしたの失敗だったかな」 「え?」

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