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第103話
「ほら、唇噛まないで、碧」
そう言った耀くんが僕の唇をぺろりと舐めた。その感触にもゾクゾクする。
「声、聞かせて。声も俺のものだろう?」
ふふっと笑って軽く唇にキスをして、それが顎に移動して、
「あっんん…っ」
首筋に何度もキスをされて息もできない。反らした首に、舌を押し付けるようなキスをされた。
「ここに痕、付けてやりたい」
さすがにやんないけどね、と耀くんが笑う。
それから徐々にキスが下に降りていく。さっき痕を付けられた鎖骨のあたりをまたキツめに吸われて背中が反った。相変わらず胸を触られていて、その感覚が少しずつ変わっていく。
この前は、こんなに触られなかった。
むず痒いような感覚が腰に響いてくる。
「や…っ、あ、あ…っ」
ずっと弄られていたのとは反対の胸の先を舌でねっとりと包まれた。
小さな突起を舌で転がすように舐められて、汗がぶわっと噴き出した。
耀くんの背中に回していた手が、力を失ってパタリと落ちた。
耀くんが、ふっと笑った息遣いを胸で感じる。
「ここも、綺麗に赤くなった…」
「…あっ」
ちゅっと音を立てて吸われて、身体がびくりと跳ねた。
力の入らない手で耀くんの肩に触れた。
「ようくん…、キス…して?」
「いいよ」
そう言った耀くんが、スッと顔を寄せてくる。
「あ、まって、ようくん」
「ん?」
その綺麗な顔をよく見せてほしい
両の手のひらで耀くんの頬を包んだ。
「碧?」
やっぱりかっこいいなぁ…
「どしたの」
耀くんが照れくさそうに笑った。そしてキスをしてくれる。
耀くんが離れてしまわないように首に腕を回して舌を絡める。飲み込みきれない唾液が口の端を伝って、それをぺろりと舐められた。
耀くんの大きな手のひらが、僕の薄い腹の上を思わせぶりに撫でていく。次に何をされるのか分かってるからもどかしい。
でも、触ってなんて言えない
言えないけど…
「ここ、もう苦しそうだね」
「や…っ」
隠しようがないほどの反応を見せている僕の身体を、耀くんが下からするりと軽く撫で上げた。それだけで先端が滲んできてるのを感じる。耀くんの手は、腹やその周辺をゆるゆると撫でている。
分かってて、焦らしてる。この前もそうだった。
涙の滲む目で耀くんを睨んだ。
「…ようくんのいじわる…っ」
この前は言えなかった言葉。
耀くんは僕を見て目を見張り、そして笑った。
「ごめんごめん。碧の我慢してる顔があんまり可愛くて、つい…」
意地悪したくなった、と言ってキスをした。
ごめんね、と僕の腕を抜けた耀くんに、素早くベルトを外されてあっという間に全部脱がされた。
そのまま覆い被さってくる耀くんのズボンに手を伸ばした。
「よ、ようくんもぬいで…っ」
ベルトに手をかける。耀くんだって反応してるの、分かる。
「…なんか、碧にベルト外されるのって、すごい背徳感あるな」
くすくすと耀くんが笑う。でも、少し息が上がってる。
他人のベルトなんか外したことがないから手間取ってしまう。緊張してるから手も震えてしまって上手くいかない。
「碧、ありがと。あとは自分でやるよ」
耀くんは僕の額にキスをして起き上がった。
「ようくん…」
手を伸ばすと指先にキスしてくれた。
「お待たせ、碧。可愛い顔見せて」
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