106 / 110

第106話

 僕を見下ろしている耀くんを涙目で見上げた。獰猛な光を含んだ綺麗な瞳。  赤い舌が唇を舐める。 「うん、分かったよ、碧。強く、速く、ね」  更に硬くなったものを身体の奥までぐいと捻じ込まれて背中が反った。そのまま腰を回されて快感が背筋を這い上がる。 「あ…あっ ようくん」  自分の口から出ているとは思えない、甘ったるい声が出た。  耀くんの動きが、さっきまでの焦らすようなものから僕を追い込むような激しいものに変わっていく。 「あ あ や…んっ、あぁ…っ」  声、止まんない  恥ずかしい 「声が濡れてる。いいね。俺の碧は全部可愛い…っ」  興奮で少し掠れた耀くんの声。  強く揺さぶられて頭が溶けそうになる。  気持ちよすぎてつらい 「…よう…くん、ようくん…ま…って、まって…」  必死で呼びかけながら背中にすがった。 「ゆっくりは嫌なんじゃないの? 碧」  ちょっとイジワルな声と表情。でもすごい格好いい。 「あ ん…だぁ…って、だってぇ、ようくん…っ」  僕が喋りやすいように動きを緩めた耀くんは、でも僕の一番感じるポイントをやわやわと刺激してくる。 「そんな…さ、れたら…、おかしくなっちゃう…」  涙がぽろりと流れた。耀くんが目尻に口付けてくれる。 「なっちゃえよ。それで…」 「ああん…っっ」  また激しく突かれて火花が散った。 「俺のことだけ考えて」  ぐいぐいと追い詰められていく。顎が上がって口が閉じられない。  もうとっくに、僕は耀くんのことしか考えてない。  3度目の頂点に(いざな)われながら、汗で滑る広い背中に指を這わせた。  身体中ビリビリして、全身が耀くんを求めてる。  頭の中も身体の中も、全部溶けてしまったように気持ちいい。  耀くんにすっかり作り替えられてしまった僕は、もう耀くんなしでは生きていけないと思う。 「…ようくんっ」  揺さぶられながら呼びかけた。 「ん?」  流れる汗に目を眇めながら耀くんが応える。 「ずっと…ぼくといて、ね。…あっ」    一際強く奥を突かれて最後の坂を駆け昇った。  身体の間で飛び散った薄い白濁のぬるい感触。  荒い息を吐く耀くんが僕を力いっぱい抱きしめた。 「俺が、碧を手放すわけ、ないだろ?」  苦しそうな声が耳に直接吹き込まれてぞくりとした。  繋がったままの場所が、ぐちゅっと音を立てる。  流れ出てきてる…耀くんの… 「…俺が、どれぐらい碧のことが好きか、もっと教えてあげようか?」 「え…あ、…ぁんっ」  再び身体を揺らされる。耀くんがぽたぽたと汗を滴らせながら僕を見下ろす。 「あ…ようくんっ、でも…もう…っ」  むり、という言葉はキスで塞がれてしまった。  耀くんの感触を身体に刻み込まれていく。  こんなに想ってもらって、僕はちゃんとお返しができてるのかな。  一瞬そんなことを考えたけど、すぐに何も考えられなくなった。  何も考えられなくて、すごく幸せだった。    

ともだちにシェアしよう!