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陽斗が日本語教師としてこの島に赴任して来て、およそ三ヶ月が経つ。知り合ったころはほとんど笑わず、会話もぎこちなかった陽斗だが、この頃は自然な会話や笑顔が増えてきた。
身長一七〇センチほどで平均的な日本人の顔立ちの陽斗は、もうすぐ二十四歳と知らなければもっと若く見える。
エミリーはキュートと言ったが、この国では高校生でも通じるだろう。
「海、荒れそうですか?」
「ああ。夜から波が高くなりそうだし、明日はもっとひどくなるから家から出ないほうがいいよ」
陽斗はこくりとうなずいた。
この島に来て以来、何度か嵐は体験した。
すさまじく荒れ狂う海と唸るような風の音。ただひたすら嵐が過ぎ去るのを待つことしかできず、自然の前では人間はなすすべがなく、本当にちっぽけなのだと思い知らされた。
「またね、ジョニー」
「ああ、お疲れさん。嵐が過ぎるまで、来なくていいぞ」
ジョニーがぞんざいに手を振った。
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