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「そんな下向いたらキスできない」
指先で顎を持ち上げられて、目を合わせるのが恥ずかしくて閉じたら、まるでキスをねだるみたいになってしまって、ますます頬が熱くなる。
重なった唇がやわらかくて、舌先で口を開けるようになぞられる。緊張して固まっていると、何度も角度を変えてキスされた。ちゅ、ちゅと触れるだけのキスを繰り返して、陽斗を待ってくれている。
そっと下唇を甘噛みされた。その誘いに乗っておそるおそる口を開いたら、するりと舌が入ってきて口蓋を舐められる。
背筋がぞわぞわして逃げたいような、もっとされたいような混乱した状態で舌を絡め合わされて、何が何だか分からなくなった。
「陽斗、ちゃんと息して」
唇が触れる距離で大倉がささやいた。
息を止めていたようで、はふっと息をはいて吸う。
「大丈夫?」
「は、はい……」
ほかの人を知らないが、大倉はとてもキスがじょうずなんじゃないだろうか。気持ちよくて、心がふわふわする。
いつの間にかソファに押し倒されていてシャツのボタンが外されていることに驚く。胸に手を当てた大倉が「すごいな」手のひらに伝わる心臓の音に笑う。
「めちゃくちゃ早い」
素肌に触れられてますます鼓動が早くなり、頬がカッカとする。そのまま指で小さな乳首をこねられた。
「ひゃあっ?」
色気も何もない声に、大倉が吹き出した。
「す、すみませんっ」
「いや、いいよ。うん、ほんと陽斗はかわいい」
髪にキスをしながら、くっくっと喉でまだ笑っている。と思ったら体を起こした。
ああ、やっぱり気を悪くしたんだ。あんな反応じゃその気を無くすよな。陽斗が身を固くして反省していると、大倉は手を引いて陽斗を立たせた。
「一緒にシャワー浴びようか」
「え? シャワー?」」
思いがけない言葉が聞こえて、首をかしげた。
「そう。まずは触りっこから慣れてもらおうか」
陽斗があんまりガチガチなので、気を使ってくれたのだ。
「触られるの、嫌?」
「嫌じゃないです。緊張するだけで」
「本当に? 無理してない?」
「してないです」
「じゃ、おいで」
夢心地のまま、バスルームに連れ込まれた。
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