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6-2
「どういたしまして。でも陽斗のファンが増えて困るなー」
「ファンなんていないのに」
そのお世辞に陽斗は笑った。学生が陽斗に懐いているのは確かだけれど、ファンなんて言いすぎだ。でも大倉は眉を寄せた。
「自覚なしなんだもんな……」
腰を引き寄せられてキスされると、密着した下半身の状態がダイレクトに伝わって陽斗は真っ赤になった。
文化祭の興奮が残っていて、体が熱くなるのは早かった。大倉の巧みな手で導かれて、すぐに高みに引き上げられてしまう。
「あ、あっ、ん……、それ、やだッ」
体の奥の自分でも知らない領域に指を入れられて、隠されている欲望を暴かれる。何度かされたからどこで自分が感じるのか、陽斗もすでに知っている。ぞくぞくと背筋を駆けあがるのが快感だともうわかっていた。
「うん。でもホントはいいよな?」
大倉はキスで陽斗をなだめながら、もう一本指を潜らせた。
「ほら、ここ。わかるだろ?」
「ああっ」
はっきりと快感を与えられて、体がしなった。
鮮烈な感覚に戸惑ううちに十分に潤いを与えられ、やわらかく開かされていく。体内のどこかを探られて、急激に射精感がこみ上げた。
「あ、や…、もう、出る……っ」
焦って腰をよじったら「まだダメ」と引き延ばされて、うつぶせにされた。大きなクッションを抱え込むようにして腰を引き上げられる。
手首に巻き付いていた帯はすでにほどけてしまっていた。
「こっちのほうが楽だと思うけど、無理だったら言って」
耳元でささやかれて、かぶりを振った。無理なんかじゃない。
押し入ってくる熱さに背筋が震える。
「どう? つらい?」
「平気。……もっと来て」
「そんなことをうかつに言わないように」
思い切って言ってみたら、苦笑する気配とともに大倉がゆったりと体を揺すり始めた。すこし奥まで入ってきて、引いていき、慣らすようにまたゆっくり入ってくる。
波に揺られているみたいだと思う。一緒に潜った海を思い出す。
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