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第2話

 城前の異能力には時間が止まる以外にも特徴がある。まず第一に、時間が止まるのは部屋の中だけの話であり、部屋の外は通常通りに動いている。次に、中に入ったら何人たりとも城前の許可なく外に出ることは許されない。  つまり今、宮田は部屋の外に出ることができず、宝勝の上に乗った城前の背中を見ている。 「はあ……はあ……ああうう」  城前が宝勝の体を弄り、丁寧に愛撫し、ナニを口に咥えて勃たせて己の尻を濡らすのまで宮田は全部見ていた。逃げ場がない。重たい吐息と粘着質な音に部屋の体感湿度が上がっている。実際に密着している2人はもっとだった。  宮田のことなんて忘れて城前は腰を振っている。 「はあっ……尻、掴んで」  男に対面座位の姿勢で乗っかられ、宝勝は眉根を寄せて息を荒くしていた。先程までと違う城前のおねだりをする口調にぐっと喉が詰まる。所在なさげにしている宝勝の両手を取り、城前は自分の尻の膨らみそれぞれを握らせた。パンツをずらしてハメてるから、左手はパンツのつるつるとした触感、右手にはもっちりした生肌の感触がある。上から自分の手を重ねて、穴を左右に開く。 「あっ」  外側から無理矢理開いたから、反射的に内側が元に戻ろうと、きゅうと締まった。その刺激に宝勝の手にも力が入る。シルクの薄いメンズパンティにシワが寄った。すべりやすい布地を押さえつける指圧で尻を鷲掴みにしている。そのまま城前が腰を前後にすると、自然と宝勝の手も同じように動いて城前をサポートした。1人でするよりもずっと安定して動ける。 「あっ、ああっ、あっ、いい、いい……っ!」  仰け反って支えなく腰を動かし、人を殺すために鍛えた筋肉全体でセックスする。その動きそのものは男のものだが、目が大きく、顔のパーツが均等に配置された城前の顔立ちは丁寧で中性的だ。その顔が快楽に歪むから、宝勝もつい手を伸ばした。  口の中に指を2本いれる。 「んう、ふう、んむ」  あたたかい。運動して城前の体温が上がっている。宝勝はくちゅくちゅと城前の舌をいじったあと、パーカーの中に手を這わす。濡れた指先でくりくりと乳首を転がすと「あ〜〜〜っ」と間延びした声を上げて城前が倒れ込んだ。でかい尻が宝勝の太ももにぺったり乗る。 「う、ふうう、あっ、んん〜っ」 「……っ、くそっ」  乗っかったままぐねぐねと動き、奥の柔らかい部分を押し付けてくる尻に我慢できず、宝勝が体をそらした。ぐぽん、とちんぽが抜ける。  城前の体はもう女と同じだ。乳首をつねれば泣くし、尻を濡らしてちんぽをくわえる。尻の快感にかまけて自分のちんぽは放置して、半勃ちのままぶらぶらさせている。  どうしてこんな男を恐ろしいと思ったのか。  宝勝は城前の体を押すと机に手をつかせ、後ろから挿入した。 「俺が、お前を抱いているのだ!」 「んあっ、あっ」  異能力を前に、宝勝は脅しに屈した。暴力では勝てない。宝勝が他に城前に勝てる要素を持つとすれば金くらいだが、この部屋の中では使い道がない。後はセックスしかなかった。宝勝はセックスでイニシアティブを取ろうとする。 「うああ、あんっ、ああっ、あっ」  宝勝のちんぽは大きく亀頭が膨らんで、勃起してもその重さで少し垂れてしまう。その分カリ高で、その段差で中の膨らんだところを削られると、城前はたまらず甲高い声を上げた。自由に動けるようになった宝勝がばつんばつんと腰を振る。  ぞくぞくと感じ入り、城前は短い息を吐き出しながら喘いだ。 「くっ、ふうう……あー……ッ……そこぉ……」  涎がチョコレート色の机に垂れる。拳を握って両手をつき、城前は尻だけを突き出していた。後ろから見る城前はまるで売春婦と同じだ。 「はあっ、この、淫売っ、いつもこんな客の取り方をしてるのか……っ!」 「うーーーっ、んふうぅ、あうう」  一際大きく宝勝がちんぽを突き入れる。丸く膨らんだ先端が奥の壁をつき、城前はきゅうきゅうとまとわりつくように締め付けた。そのまま小刻みに揺らされるとハッハッと短く息を吐き、段々と間隔が追い詰められていく。 「あっ、だめ、駄目だ、ケツでいくっ、あっ、やだ」 「何が駄目だ、ケツの方が良いんだろう!」 「ああっ、やだ、いぐいぐいぐ……あっ、いっ……!」  宝勝が後ろから抱きついて城前の乳首を引っ張った。それと同時に城前は自分のちんぽを握りしめて泣き始めた。尻が気持ち良すぎて前が勃たない。玉だけはパンパンに膨らんでせり上がってるのに、中身が出せない。苦しいのに尻はぎちぎちに宝勝を締め上げた。 「く……っ、お前はオンナだ、マンコでいってりゃいいんだ!」 「あ〜っ、んうぅ、ん〜っ」  きゅんきゅん震わせて感じ入った。宝勝が手を回して城前のへその横を押さえつけると、中のちんぽと挟まれて強い快感が生まれる。目を見開いた。  精液を作ってるところが押さえ込まれて、グツグツと煮詰まったものがせり上がってくる。 「ハッ、ハッ、いぐ、いぎだい、もう、いきだ……っ」  ぐりぐりと親指で城前は自分のちんぽの頭を磨き上げる。それでもまだいけない。後ろはずっといってるのに。だからケツでいくのを嫌がったのだ。もどかしいのにずっと気持ちがいい。 「はっ、どうせお前みたいな変態は見られて興奮するんだろう」 「っ」  宝勝が後ろから城前の髪を引っ張り上げた。顔が上がって前を向く。  目の前には宮田が居た。 「はははッ、締まったぞ、見られて興奮するか?」 「あっ、はっ、あ」 「ほら、自分の犬にお願いしろ」  宮田は両手をポケットに突っ込んで立ち、犬さながらに全身の毛を逆立てている。キャップの下で城前を睨みつける顔は人を殺すときのそれと同じだ。随分と怖い顔をしている、と城前はゾクゾクと悪寒を走らせた。尻が締まる。 「言え!」  ぎゅうぎゅうに締め付ける穴に宝勝もそろそろ限界が近い。ずんっと中を突き上げて、城前の喉につっかえていた息を吐き出させた。 「お、お願いします……」  城前は顔を真っ赤にして、食いしばっていた歯をなんとかほどく。 「俺が、女みたいにいくところ、見ていてください」  もう後ろから突かれないといけない。  宝勝に腰を叩かれ、バチンと肌同士がぶつかった。 「あああぁ……っ」  一番奥をちんぽに殴られている。 「ああっ、あっ、くだ、くださいっ、んんっ」 「ぐう、ほら、いけ!」 「あっあっあっ、ああっ、う〜ッ……!」  最後は唸って城前はびゅっと精液を吐き出した。まだ宝勝が後ろでガタガタ腰を打ち付けているため、それに合わせてびゅっびゅっと断続的に吐精する。その度にうねる中の様子に、たまらず宝勝も唸って城前の中に出した。 「はあ……はあ……おい」  城前が体を起こし、ずるりとちんぽが抜け出る。自分の体にもたれるようにしていた宝勝の体を押して、体勢を整えた。涙と汗でぐちゃぐちゃになった前髪をかき上げると、そのまま机の上に座った。 「サービスしたんだ。……はずめよ、報酬」  サービスタイムは終わりだ。  城前が小さく「解除」と呟くと部屋が元に戻る。セックス特有の青臭さも熱気も消し去り、空調に垂らされたアロマ剤の香りが広がる。空は色づき、外の秘書が働く雑音が耳に入った。  机と床に落ちた精液だけ、生命の一部として残る。 「……ああ……分かった」  宝勝はドサッと椅子に音を立てて座り込み、仕方なく頷いた。

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