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第14話 家にいるときのまま

校舎に入ると、林檎は皆から挨拶をされていた。 林檎は友達が多かった。 けど、林檎は僕しか見ていないようだった。 そして僕は、林檎の友達なんて興味がなかった。 教室に着いてからも林檎は僕にベッタリくっついてきた。 「でね、……蜜柑、聞いてる?」 「聞いてるよ」 本当は聞いてない。 ただ相づちを打つだけ、聞いていているフリ。 林檎の話はテレビの話やゲームの話で、僕には興味がなかった。 「林檎の奴、兄貴と同じクラスになってから……相手にしてくれなくなったな」 「あんなに可愛かったのに」 クラスメイトがコソコソと話していた。 多分林檎にも聞こえているだろうけど、本人は気にしてない様子だった。 「でも蜜柑は綺麗系だよ」 「今日初めて笑ってるとこ見たけど、綺麗だったな」 「双子でも雰囲気違うと見た目も違って見えるから不思議だよな。俺、蜜柑とお近づきになりたいかな」 僕を完成形にしてくれるなら相手になるけど、『林檎も一緒』なら嫌だ。 僕は無視を決めようとしたら、林檎が僕に抱き付いて、 「蜜柑に近付くなら、僕は友達辞めるけど?どうするの」 挑発していた。 これじゃまるで僕を縛って……『束縛』しているようで、僕は気分が悪かった。 「林檎は僕に友達を作らせない気なの?」 「蜜柑には俺だけいればイイじゃん。俺だけを見ててればいいんだから」 明らかに林檎は狂っている。 その僕への『執着』が怖かった。 それは僕だけが思っていたことでもなかったらしく、コソコソと話していたクラスメイトも林檎へ、 「林檎」 「お前、何かおかしいよ」 「どこが?俺はいつも通りだよ」 林檎は可愛らしく無邪気に笑って見せていた。 そうだ、こいつは『家にいるときの林檎のまま』なんだ。 一刻も早く『一つにならなきゃ駄目になる』。 僕は心の底から僕は思った。

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