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第15話 一人でトイレにいけない林檎

「蜜柑、俺トイレに行くんだけど一緒に行かない?」 昼休み林檎に声を掛けられて、ようやく一人になるチャンスが巡ってきたと思ったのに。 「林檎は一人でトイレに行けないの?」 僕はからかったが、林檎は即答した。 「少しでも蜜柑と一緒にいたいし、蜜柑と俺ははただならぬ仲だよね?」 林檎は真面目にそう言うから本当に嫌気がさした。 「トイレは一人で行って」 「じゃ、教室から消えないでね?」 まるで僕の行動を見抜いたかのようだった。 でも僕は林檎がトイレに行ったのを確認してから、お弁当とペットボトルのお茶が入ったランチトートを持って、図書室に走って向かった。 『早く篭の中に入りたい』、僕を選ぶ人のもとに早く行きたい。 林檎の『束縛』なんて嫌だ。 早く僕を『完全形』にしてください。

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