15 / 17
第15話 一人でトイレにいけない林檎
「蜜柑、俺トイレに行くんだけど一緒に行かない?」
昼休み林檎に声を掛けられて、ようやく一人になるチャンスが巡ってきたと思ったのに。
「林檎は一人でトイレに行けないの?」
僕はからかったが、林檎は即答した。
「少しでも蜜柑と一緒にいたいし、蜜柑と俺ははただならぬ仲だよね?」
林檎は真面目にそう言うから本当に嫌気がさした。
「トイレは一人で行って」
「じゃ、教室から消えないでね?」
まるで僕の行動を見抜いたかのようだった。
でも僕は林檎がトイレに行ったのを確認してから、お弁当とペットボトルのお茶が入ったランチトートを持って、図書室に走って向かった。
『早く篭の中に入りたい』、僕を選ぶ人のもとに早く行きたい。
林檎の『束縛』なんて嫌だ。
早く僕を『完全形』にしてください。
ともだちにシェアしよう!