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第11話★★
「ん……っは…ぁ、ん…っ……」
どこか遠くで、喘ぐ声が聞こえる。
それが自分の声だと気づいた時には、もう引き返せないほどの快楽に包まれていた。
「やっと起きた? おはよう」
囁くその唇が動く度、耳朶に触れて甘い痺れがゾクゾクと全身に広がる。
「は、はるっ……き……」
胸元に伸びた手のひらは、優しく先端を撫でたり、時折つまんだりして、僕は初めての快感に背中を浮かせて喘いだ。
「あっ…、ぃ、いや……」
「何がイヤなの?」
「ぁ……や……ぅ」
腰の奥が疼く。身を捩って逃れようとしても、晴樹の指先は逃してはくれない。
「ここ、好き?」
微笑む晴樹と目があった。僕は小さく首を横に振るが、それが嘘であることはバレバレで、晴樹はクスッと笑うと執拗に責めてきた。
「凌、好きだよ」
唇が重なる。息苦しさに口を開けば、晴樹の舌先が口の中を探るように動き、絡まり合う。そのねっとりとした甘い熱を受けて、僕は次第に溶けていき、やがて夢中になった。
顔を動かしながら味わっていると、晴樹の腕はゆっくりと下へ降りてきて――
「ここ、大変なことになってる」
「んっ……ぁ…」
下着の上から先端を撫でる。そこはぐっしょりと濡れていた。
「こんなに、とろとろこぼして……可愛いよ、凌」
恥ずかしくて顔を隠す。だが顔を隠したところで刺激が減るわけでもなく、僕の腰は勝手に動いた。
「隠さないで、イクところ見せて」
晴樹が僕の両手を掴み、頭上に持っていく。顔を隠したいのに、晴樹の左手で押さえつけられてびくともしない。仕方がないので申し訳程度に顔を背けた。
晴樹の右手は下着に潜り込み、僕のものを直接触った。扱く度に、ぐちぐちと音が溢れる。自分の身体から響く音に羞恥心を刺激され、僕は目をぎゅっと閉じた。
「や……もぉ、だ…っ、だめ……ぃっ…」
快感に耐えきれず、頭を振る。
「んっ……あぁぁぁっ……」
そして、あっさりと絶頂を迎えた。荒い息を吐き、脱力する。
晴樹は僕の手を解放すると、ぐっしょり濡れた額の汗を優しく拭ってくれた。
「可愛いな」
「はる、き……」
「大好きだよ」
「僕も……」
言葉は僕の意思とは関係なく溢れた。
「僕も大好き」
目の前にいるαが愛しくてたまらない。もっと唇を、身体を、重ねたい。ぐちゃぐちゃになりたい。その欲望に抗えないし、抗おうとも思わない。
本能がαを求めた。
「はぁっ…、んっ……」
晴樹の指先が、後孔に触れる。感度の高まった身体はびくんと跳ねた。
「こっちもすごいね……ほら」
くるくると入り口を滑らせていた指を、つぷんと挿入させる。ぞくぞくと甘い痺れが背中を走り、身体が震えた。
「あっ……ん、っ……」
首筋を舐められながら孔をいじられると、目眩がするほどの快感が湧き上がる。僕は思わず晴樹を抱きしめた。
「嬉しいな」
晴樹が微笑む。目が合うと、僕は晴樹の頭を自ら引き寄せて、貪るようにキスをした。
卑猥な音が響く部屋で、初めて味わう快感に酔う。
「ね…はる、きもちい…っ……」
「もっと、気持ちよくなろうか」
半身を起こした晴樹を見上げる。鍛え抜かれた肉体、その汗ばんだ肌は妙に艶めかしく、眺めているだけで腰の奥が疼いた。
「や……ま、まって……」
晴樹が自分のものを掴み出し、後孔へ宛てがった。それは自分のものとは比べ物にならないほど大きく、形も違う。
「これっ…こ、む、むりっ……」
「大丈夫だから、力を抜いて」
「やっ、む、むり……っん!」
ゆっくりと後孔を押し上げて晴樹が入ってくる。怖かったのは一瞬で、それが最後まで沈むと、僕は快感の渦に巻き込まれてしまった。
今までの刺激とは比べ物にならない。気持ち良すぎて何も考えられない。僕は、自分の身体の中に、こんなにも言う事を聞いてくれない場所があるなんて今まで知らなかった。
「んっ…っぁ……あうっ、ん……」
出し入れされる度に快感を得る。
「自分から腰を振るなんて、凌はエッチだなぁ」
「ち、ちがっ……んっ…」
「気持ちいい?」
「あっ…、んっ……っ」
「すごくいい顔してるよ、凌」
晴樹に話しかけられても、口から出るのは喘ぎ声ばかり。
「あ、ぁ……いっ……」
すぐに、またイってしまった。
そこを触ってもいないのに射精した自分に驚いた。身長を伸ばすために密かに飲んでいる亜鉛サプリの効果か、飛び散った白濁の量が凄い。
内壁がひくひくと痙攣をして晴樹に吸いつく。晴樹は何かに耐えるような顔をして、僕を見つめた。
「ダメだよ凌、そんなに締め付けたら俺もっ……」
吐息混じりの声がたまらない。必死に堪えている姿が愛しくて、僕はキスをねだった。
「んっ……ふ、っ……」
キスから漏れる自分の声と、僕の中で絶頂を前に膨らむ晴樹のその感触が、また新たな刺激となって中心を固くする。
時間も食事も学校も、何もかもを忘れて、僕は晴樹を求めた。何度も、何度も――
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