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『動き出した時計』 異世界に行かないオメガバースもない日常系BL小説シリーズ 2 新しい役員 | コギンの小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
『動き出した時計』 異世界...
2 新しい役員
作者:
コギン
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2 新しい役員
大新
(
だいしん
)
百貨店本部秘書室長、
新庄理人
(
しんじょうりと
)
。 首から下げる形のネームプレートが、俺の胸元で揺れている。 重役会用の資料を作りに、今朝も早めに出社した。 父はまだ自宅で優雅に朝食をとっている頃だろう。 だから社長室のドアをノックしたのは儀礼的なものだ。 「失礼します」 部屋の中は朝陽が射し込み、白い煌々とした光に包まれていた。 デスクの上に資料の書類を置いて、そこに印字されている名前を見詰める。
東亜
(
とうあ
)
銀行元ニューヨーク支店長、
紅林脩一
(
くればやししゅういち
)
。 先日株主総会で新任されたばかりの出向役員の名前だ。 メインバンクから役員を迎えるのは珍しくないが、今日着任するその人に、俺は少なからず興味を抱いている。 (…あのしゅうちゃんと、同じ名前) 子供の頃、隣の家に住んでいた、しゅうちゃん。 空手を習っていて、とても強くて、優しかった兄のような人。 後で気付けば俺の初恋だった、三つ違いの幼馴染と同姓同名の人がやってくる。 (本当にしゅうちゃんだったらいいのに) 幼馴染と離ればなれになって16年の歳月が過ぎた。 両親を亡くした俺が、新庄家に引き取られたのは、9歳の冬が終わる頃だった。
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コギン
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