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46 16年分の吐息

「ここは?」 「んっ、んっ」 「感じるか? ほら。固くなってきた」  乳首を舌先で捏ねられ、もう片方を指先で弄られる。  自分の手ではないものに触れられると、どうしてこんなに感じるのだろう。  きっと、脩一だからだ。 「どこが好きなんだ。教えろ」 「わ、分かん…な…」 「誰とも、こうしたことないのか」 「うん――。だって、しゅうちゃんのだから」 「理人」 「俺の全部…しゅうちゃんのものだよ…っ」  語尾が詰まってうまく言えない。脩一の唇が、突然強い力で胸元を吸った。  小さな花が咲いたように、赤い痕が残ったそこに残っている。 「これは、俺のもののしるし」 「いっぱい、ほしいな」 「次は……ここ」 「は――、んっ」  脇腹に降ってきたキスに息を詰める。  くすぐったいそこを舌先が撫で下り、腰骨を啄んで、足の付け根までなぞっていく。  そして脩一は、ぴったりと全身をくっつけるようにして俺を抱き締めた。 「理人。…理人」  裸の温もりを全身で確かめ合う。  ピッチを上げるばかりの心音は、脩一も同じだ。こうしていると、どちらの心音か分からなくなる。  ぎゅう、と腕の力を強くした脩一に、愛しさがこみ上げた。  今度は自分の方から彼にキスをする。教えてもらったばかりの、大人どうしのキス。  動き始めた時間は、16年間をひといきに取り戻そうと、倍のスピードで流れていくようだった。 「あ…っ」  キスに溶け合っているうちに、脩一の下腹部が、火傷をしそうなほどの熱を孕んでいく。  彼に腰を抱かれ、ほんの少し粗野に体を持ち上げられた。

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