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翠鳳さま

ごほんと咳払いしたのち浅葱さんが、 「一年前、地震多く饑饉深刻となり天変地異の様相ありて。疫病流行りて」 と口にした。 「神の化身である八咫烏が、見目麗しい童が災禍から国を守るために空から降ってくると帝に伝えた。そのお告げ通り、寝所でお気に入りの女たちと逢っていた帝の上に降って参った。それが迅じゃ。神子としての力もさることながら、男なのにこの世のものとは思えないくらい美しく神々しい迅に帝も東宮もすぐに夢中になった」 「寵愛をいいことに好き放題。気に入らぬものは容赦なく排除。我が物顔でごさいます。天変地異の原因は我々あやかしにあると決めつけ滅ぼそうとした。りんさまとはえらい違いです」 「そりゃあそうじゃ。りんは翠鳳とわらわの娘じゃからのう」 迅が僕より先にこの世界に来ていたことにまずは驚き、現世と過去を行ったり来たりしていたことを知り二度驚いた。全然気付かなかった。 「神に選ばれし神子の持つ神通力というものじゃな。たとえ力がなくても、みなに平等に接するりんのほうがわらわは好きじゃ」

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